文献情報
文献番号
200500562A
報告書区分
総括
研究課題名
未破裂脳動脈瘤の要因、治療法選択におけるリスク・コミュニケーションに関する研究（臨床研究実施チームの整備）
課題番号
H16-心筋-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻脳病態生理学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究 【心筋梗塞・脳卒中臨床研究】若手医師・協力者活用に要する研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,328,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
脳動脈瘤とクモ膜下出血による社会の疾病負担を軽減するために、リスク情報の整備とそれに基づいた臨床医と患者間のコミュニケーションの視点からの新たな知見を得、新しい患者支援プログラムの開発を目指す。
研究方法
未破裂脳動脈瘤患者の治療方針における決断分析、費用対効用分析の有用性を過去のデータから検討する。脳動脈瘤の発生要因を症例対照研究とコホート研究により宿主要因と環境要因の面から同定する。脳動脈の脆弱性につきコホート研究を行う。未破裂脳動脈瘤患者に対して質問票とインタビューを併用して患者側の心理的負担、必要としている情報を調査する。患者意志決定支援ツールを作成し、意志決定に与える影響を評価する。脳動脈瘤治療に関連する臨床諸状況の効用値を求め、費用効用分析を行う。未破裂脳動脈瘤大規模前向きコホート研究UCAS Japanを継続発展させ、未破裂脳動脈瘤の自然歴、患者のQOL解析を行う。医師側の治療法決定の現状と妥当性についてWeb上での症例呈示により解析する。以上のための臨床チームを整備する。
結果と考察
国際共同研究などの報告に基づき未破裂脳動脈瘤における決断分析、費用対効用分析の有用性の評価を行い、本邦におけるリスク整備の重要性を確認し、各リスク情報の解析と意志決定支援に必要な因子の探索を行った。家族性脳動脈瘤30家系190名について連鎖解析を行い、脳動脈瘤関連遺伝子候補領域として3領域を同定し、脳動脈瘤関連遺伝子についてhaplotypeの同定を行った。UCAS Japan（現段階で6646症例）において、研究の質的整合性の改善、予後調査の徹底をおこない、未破裂脳動脈瘤の自然歴・治療リスクの把握解析を行った。また前向きQOL調査を開始した。意思決定支援ツール開発に関して、医療側の視点からの未破裂脳動脈瘤治療方針決定支援ビデオツールの作成を行い、有効性の検討を行った。至適治療法選択におけるばらつき検討のためにウエブサイトを立ち上げ、医師による治療法決定のvariationの検討を進めた。患者側のニーズアセスメントを行うため、治療方針を決定する際に求める情報、患者個人の効用値を明らかにするインタビュー調査（患者、家族44名）を実施した。未破裂脳動脈瘤をもつ患者の意思決定を支援するリスクコミュニケーションツールの基本コンポーネントを作成した。
結論
本臨床研究チームにより、頻度の高い未破裂脳動脈瘤が患者の健康、QOLや医療経済におよぼす影響を科学的に検証するための臨床データが得られる。
公開日・更新日
公開日
2006-04-27
更新日
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