文献情報
文献番号
                      200500560A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      全国患者登録データを用いたわが国の慢性心不全患者の急性増悪・難治化要因の解明と効果的治療法の確立
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H17-循環器(生習)-005
                  研究年度
                      平成17(2005)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 北畠 顕(カレスサッポロ(日本循環器学会理事長))
 - 米澤 一也(国立病院機構函館病院 臨床研究部)
 - 白土 邦男(医療法人社団仁明会 齋藤病院)
 - 永井良三(東京大学大学院 循環器内科学)
 - 和泉 徹(北里大学 内科学第2)
 - 小川 聡(慶應義塾大学 内科学)
 - 横山 広行(国立病院機構静岡医療センター 循環器科)
 - 藤原 久義(岐阜大学 第2内科学)
 - 友池 仁暢(国立循環器病センター)
 - 堀 正二(大阪大学大学院病態情報内科学(日本心不全学会理事長))
 - 横山 光宏(神戸大学大学院 循環呼吸器病態学)
 - 吉川 純一(大阪掖済会病院)
 - 松﨑 益德(山口大学大学院器官制御医科学(日本心臓病学会理事長))
 - 今泉 勉(久留米大学 第3内科)
 - 松本 高宏(国立病院機構九州医療センター 循環器内科)
 - 山崎 力(東京大学クリニカルバイオインフォマテイクス)
 - 溝上 哲也(九州大学大学院 予防医学)
 - 岸 玲子(北海道大学大学院医学研究科 公衆衛生学)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
                  研究開始年度
                      平成17(2005)年度
                  研究終了予定年度
                      平成19(2007)年度
                  研究費
                      29,600,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            本研究は、わが国において初めてとなる慢性心不全患者を対象とした全国規模での患者登録データを構築することによって心不全の急性増悪・難治化要因を解明し、効果的治療法の確立を目指すものである。
      研究方法
            急性増悪のために入院治療を行った慢性心不全患者を対象とした全国規模での患者登録データを構築する。インターネットにホームページを開設し、ユーザーIDとパスワードを付与された各施設の医師がホームページから直接患者データを登録する。本研究は、前向き登録研究であり、治療への介入は行わない。多数の患者を対象として、臨床像と予後との関連、特に治療内容と予後との関連を解析する。
      結果と考察
            全国の日本循環器学会研修施設のうち患者登録システムの継続的運用が可能な施設において2800例近くの症例登録がなされた。このような全国レベルでの患者登録は、循環器領域では初めての事業であるが、登録は順調に進捗し、ほぼ目標症例数に達した。さらに、患者データ登録用のホームページの運用やデータサーバーの管理運営も問題は発生していない。
登録された慢性心不全患者の平均年齢は71歳で、65歳以上の高齢者が70%を占めた。特に女性の高齢者の占める割合が高かった。心不全の原因となる基礎心疾患は、虚血性心疾患が32%と最も多く、弁膜症、高血圧、拡張型心筋症が続いた。心臓超音波にて測定した左室駆出率の内訳では、40%以下の収縮不全が60%を占めるのに対し、50%以上と比較的保たれた患者も23%であった。このような患者は、近年拡張不全による心不全として注目されているが、収縮不全に比し、より高齢で、女性に多かった。収縮不全では、虚血性心疾患と拡張型心筋症が主たる基礎疾患であるのに対し、拡張不全は、高血圧性心疾患を基礎疾患とする患者が45%を占めた。また、拡張不全では約40%に心房細動をみとめた。
本研究は現在進行中であるが、登録時データの段階でも、慢性心不全患者を対象としたわが国初の大規模な登録研究として高く評価された。本年度の研究成果は、論文として発表するとともに、日本循環器学会・日本心臓病学会・日本老年医学会のシンポジウムなどにおいて公表した。
      登録された慢性心不全患者の平均年齢は71歳で、65歳以上の高齢者が70%を占めた。特に女性の高齢者の占める割合が高かった。心不全の原因となる基礎心疾患は、虚血性心疾患が32%と最も多く、弁膜症、高血圧、拡張型心筋症が続いた。心臓超音波にて測定した左室駆出率の内訳では、40%以下の収縮不全が60%を占めるのに対し、50%以上と比較的保たれた患者も23%であった。このような患者は、近年拡張不全による心不全として注目されているが、収縮不全に比し、より高齢で、女性に多かった。収縮不全では、虚血性心疾患と拡張型心筋症が主たる基礎疾患であるのに対し、拡張不全は、高血圧性心疾患を基礎疾患とする患者が45%を占めた。また、拡張不全では約40%に心房細動をみとめた。
本研究は現在進行中であるが、登録時データの段階でも、慢性心不全患者を対象としたわが国初の大規模な登録研究として高く評価された。本年度の研究成果は、論文として発表するとともに、日本循環器学会・日本心臓病学会・日本老年医学会のシンポジウムなどにおいて公表した。
結論
            本研究によって、わが国の慢性心不全患者における急性増悪・難治化要因の解明や各種治療法の効果の判定など極めて貴重な情報を得られると期待される。
      公開日・更新日
公開日
          2006-04-21
        更新日
          -