弓部大動脈全置換術における超低体温療法と中等度低体温療法のランダム化比較試験

文献情報

文献番号
200500558A
報告書区分
総括
研究課題名
弓部大動脈全置換術における超低体温療法と中等度低体温療法のランダム化比較試験
課題番号
H17-循環器(生習)-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
荻野 均(国立循環器病センター心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
  • 数井 暉久(浜松医科大学第一外科)
  • 田林 晄一(東北大学心臓血管外科)
  • 岡林 均(小倉記念病院心臓血管外科)
  • 大北 裕(神戸大学呼吸循環器外科)
  • 八木原 俊克(国立循環器病センター心臓血管外科)
  • 長束 一行(国立循環器病センター脳血管内科)
  • 新澤 正秀(国立循環器病センター麻酔科)
  • 宮田 茂樹(国立循環器病センター輸血管理室)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病センター研究所病因部)
  • 松田 均(国立循環器病センター心臓血管外科)
  • 湊谷 謙司(国立循環器病センター心臓血管外科)
  • 佐々木 啓明(国立循環器病センター心臓血管外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
弓部全置換術は、様々な脳保護手段が開発され、著しい成績の向上をみた。しかし、いずれの方法も20℃以下の超低体温の不利な条件下に成立している。一方、生理的灌流であるSCP下では必ずしも超低体温を用いる必要がなく、最近では28℃中等度低体温下手術が試みられている。しかし、超低体温下手術と中等度低体温下手術を厳密に比較した報告は未だない。本研究は、28℃中等度低体温と20℃超低体温における多施設共同前向き調査研究を行い、それぞれの弓部全置換術の特徴を明らかにしようとするものである。最終的には、得られた利点のいくつかを主要項目として、より厳密に二群間でランダム化比較試験を行うことを予定している。
研究方法
SCPを脳保護手段とした弓部全置換術において、28℃中等度低体温と20℃超低体温における多施設共同前向き調査研究を行い、各々の特徴を明らかにする。緊急、再手術を除いた待機的弓部全置換術患者を対象とする。手術は、胸骨正中切開下にSCPを脳保護手段として、4分枝人工血管を用いた弓部分枝個別再建法により弓部全置換を行う。各群のSCP圧、SCP量は① 膀胱温20℃ SCP圧 30-50 mmHg → 10 ml/kg/min、 ② 膀胱温28℃ SCP圧 ≧50 mmHg → 15?25 ml/kg/min。評価項目は、1) 術後30日以内死亡、および脳・脊髄障害、心臓障害、肺障害、腎障害、出血、感染、などの合併症の発生割合、および2)臨床データ: ① 手術方法 ②出血量 ③循環動態計測 ④呼吸状態 ⑤脳神経機能 ⑥腎機能、肝機能 ⑦凝固機能 ⑧その他 
結果と考察
本研究は2月末から開始され、現在10名の症例登録がなされているが、解析に至っていない。それ以前に、国立循環器病センターにおいて2002年以降に待機的弓部全置換術を施行した患者114例を20℃、25℃、28℃の三群に分け、レトロスペクティブに比較したが、手術死亡、脳合併症の発生に差を認めなかった。28℃群で、復温、心筋虚血時間の短縮が得られ、血小板使用頻度が少なく、ICU帰室時の体温が高く、乳酸値が低い傾向にあった。この結果を踏まえ、より詳細にデータを収集し厳密に比較検討すべく、今回の多施設共同前向き調査研究を企画した。目標症例数は100例を予定している。
結論
症例登録中で、未だ明らかな結論に至っていない。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
-