メタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカイン異常を標的とした心血管合併症治療・予防法の確立

文献情報

文献番号
200500556A
報告書区分
総括
研究課題名
メタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカイン異常を標的とした心血管合併症治療・予防法の確立
課題番号
H16-循環器(生習)-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
下村 伊一郎(大阪大学大学院生命機能研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川浩二(国立病院機構京都医療センター 展開医療研究部)
  • 沢村達也(国立循環器病センター研究所 脈管生理部)
  • 船橋 徹(大阪大学大学院医学系研究科 )
  • 佐藤哲子(国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内臓脂肪蓄積(VFO)による糖尿病、高脂血症、高血圧を合併するメタボリックシンドローム(MetS)が動脈硬化疾患の基盤である。個々リスクファクターに対する治療を超えたVFOとそれによるアディポサイトカイン分泌異常を標的にした治療法・予防法の開発が急務である。本研究では、我々が見出したアディポネクチン(ADN)、脂肪組織由来酸化ストレス(Fat ROS)、酸化LDL受容体LOX-1などのMetSの心血管病における意義を明らかにする。
研究方法
ヒト臨床研究(MetSや動脈硬化性疾患患者での血中濃度測定・治療介入による変化の検討。)および動物実験による治療的意義の検討
結果と考察
アディポネクチンと脂肪組織由来酸化ストレスの臨床的意義の検討:喫煙が血中ADN濃度を下げ、(Hypertension2005)、ADNが心筋虚血・再潅流による心筋障害を抑制し、 (Nature Med 2005)、低ADN血症が冠動脈攣縮に関っていた(Circ J2005)。また肥満で増加したFat ROSが、アディポサイトカイン分泌異常を引き起こした(J.Clin.Invest.2004)。ROS(尿中8-epi-PGF2a)がMetS症例において高値を示し、VFOがROS産生に強く寄与していた(投稿中)。血中ADN濃度、ROSがMetSの疾患マーカーとなる可能性があり今後エビデンスを積み上げることが重要である。また、インピーダンス法を用いた内臓脂肪測定装置を開発した(Diabetes Care 2005)。
アディポサイトカイン血中濃度測定と治療効果の検討に関する研究:減量による動脈硬化指数の低下が、ADNの上昇と相関し、α-GIによる糖尿病治療が動脈硬化を改善した(Metabolism2005)。
ライフスタイル改善によるVFOの減少に加えて、MetS治療・進展予防に適する薬剤をアディポサイトカイン異常是正の観点から探索している。
動脈硬化発症と酸化LDL受容体LOX-1に関する研究:LOX-1がROS産生を通じて血管内皮細胞障害・動脈硬化進展に関わっていた(Circ Res 2005)。
結論
腹部生体インピーダンス法により測定したVFOおよびアディポサイトカインの分泌異常をMetSの疾患マーカーとして早期にとらえ、また治療標的として臨床応用することが、血管病を最終ターゲットとしたMetSの包括的な予防および治療に繋がる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-21
更新日
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