文献情報
文献番号
200500554A
報告書区分
総括
研究課題名
心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用
課題番号
H17-循環器(生習)-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 横出 正之(京都大学医学部附属病院探索医療センター臨床部)
- 松澤 佑次(住友病院)
- 齋藤 康(千葉大学大学院医学研究院細胞治療学)
- 松﨑 益德(山口大学医学部循環病態内科学)
- 佐々木 淳(国際医療福祉大学)
- 田中 宏暁(福岡大学スポーツ科学部)
- 上島 弘嗣(滋賀医科大学福祉保健医学)
- 鄭 忠和(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学)
- 鳥羽 研二(杏林大学医学部高齢医学)
- 宮崎 俊一(国立循環器病センター心臓内科、内科系集中治療科)
- 田中 喜代次(筑波大学人間総合科学研究科)
- 大藏 倫博(筑波大学人間総合科学研究科)
- 秋下 雅弘(東京大学大学院医学研究科加齢医学)
- 田中 誠(京都大学医学部附属病院地域ネットワーク医療部)
- 船橋 徹(大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学)
- 久米 典昭(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
- 荒井 秀典(京都大学大学院医学研究科加齢医学)
- 堀内 久徳(京都大学大学院医学研究科循環器内科学)
- 稲垣 暢也(京都大学大学院医学研究科糖尿病栄養内科)
- 宮崎 滋(東京逓信病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
56,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
メタボリックシンドローム(MS)は心血管イベント発症リスクが増加する疾患として注目を集めているが、我が国における頻度や運動療法等による血清脂質値の改善効果など不明な点が多く、MS患者の心血管イベントのリスクを明らかにする必要がある。本研究では現在診断基準として用いられているウエスト周囲径に代わる客観的指標としてインピーダンス法による内臓脂肪蓄積の評価を行うとともにMS患者を対象に食事療法・運動療法がいかに臨床検査データを改善するかを検討する。
研究方法
今回日本において新たに作成されたMSの診断基準によるMS患者の頻度を調査するとともに、運動・食事療法による介入によりこれらのマーカーがどのように変化するかどうかをも検討した。また、現在MSの診断基準のなかで必須項目となっているウエスト周囲径に将来代わりうる内臓肥満の診断項目としてインピーダンス法による内臓肥満の評価を行うことにより、この方法が内臓肥満の指標として使用しうるかを検討する。
結果と考察
MSの一般住民における頻度については、男性12.1%、女性1.7%、全体で7.8%であった。MSの頻度は男性において顕著に多かった。また、男性においては内臓肥満と診断される人が約半数に達した。高脂血症、高血圧、耐糖能異常いずれも男性においてその頻度が高かった。男性においては30歳代から増加し始め40歳代以降の頻度はほぼ同程度であった。女性においては閉経前に診断基準を満たす人はほとんどおらず、閉経後に診断される人がほとんどであった。また腹部インピーダンス法による内臓脂肪量はCTスキャンによる内臓脂肪量と極めて良好な相関を示した(r=0.88)。これはウエスト周囲径(r=0.77)、BMI (r=0.62)より相関性が高かった。MSに対する運動療法、食事療法による介入により体重を平均8%減少させ、それに伴い、ウエスト周囲径、血圧、高脂血症、耐糖能異常などの改善を認めている。これらに伴って、危険因子の保有率も男女ともに大幅に低下した。
結論
今回私どもは日本における新しい診断基準を用いて日本人におけるMSの頻度を明らかにした。また、現在必須の診断項目となっている腹囲に代わる新たな診断マーカーの開発を進めている。さらにはMS患者に対して運動・食事による介入を行い、危険因子がどの程度減少するかを検証する。
公開日・更新日
公開日
2006-04-28
更新日
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