冠動脈不安定粥腫の同定とその効果的破綻予防、治療法の開発に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
200500545A
報告書区分
総括
研究課題名
冠動脈不安定粥腫の同定とその効果的破綻予防、治療法の開発に関する多施設共同研究
課題番号
H16-循環器(生習)-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山岸 正和(金沢大学大学院医学系研究科・循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 水野 杏一(日本医科大学千葉北総病院循環器内科)
  • 椎名 毅(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
  • 小宮山 伸之(埼玉医科大学循環器内科)
  • 浦澤 一史(北海道大学大学院医学系研究科循環器内科)
  • 森井 功(国立循環器病センター心臓血管内科)
  • 細川 博昭(国立病院機構豊橋医療センター循環器科)
  • 廣 高史(山口大学医学部第二内科)
  • 山田 直明(国立循環器病センター診療放射線部門)
  • 角辻 暁(泉佐野市立病院りんくう医療センター循環器内科)
  • 高山 忠輝(日本大学板橋病院循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,658,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
不安定狭心症、心筋梗塞など、急性冠症候群と一括して呼称される冠動脈病態は、一旦発症すると、急性期には今尚高い致死率を呈し、例え救命し得ても、慢性期での心機能障害や狭心症の残存する。本研究では既に一定の実績を有する複数の施設において、血管内超音波法を用いて不安定粥腫候補部位を同定登録し、経過を追跡することにより、各同定基準の精度を検証するものである。
研究方法
各施設における診断的冠動脈造影、冠動脈形成術施行に際して、冠動脈硬化病変部位を血管内超音波法で観察する。この際、所定の基準に合致する冠動脈局所を暫定的な不安定粥腫として引き続き同定登録するかかる諸病変を平成18年度として550症例を目標として追加蓄積し、前年度までの登録分と合わせて“前向き”追跡を継続する。また、一部の症例ではCT,MRIによる冠動脈粥腫の評価を同時に行い、血管内超音波所見との対比により、非侵襲的診断への指標とする。
結果と考察
初年度以来前年度までに、各施設において血管内超音波法により観察され、所定の基準に合致する冠動脈局所を暫定的な不安定粥腫として882例の登録を完了し、“前向き”追跡を開始した。各個研究においては、高周波信号解析による組織性状情報のデータベースから薬剤反応性を検討した。また、組織弾性画像への実用化に着手した(アメリカ合衆国心臓学会 2006)。(3)治療との関連においては、血中脂質値や糖尿病重症との関連を明らかにしつつある(Tex Heart Inst J 2205;32:108, Int J Cardiol 2005)。(4)頚動脈において内膜剥離術により摘出した標本との対比を行った。その結果、粥腫内での出血と不安定性との関連が示唆された(アメリカ合衆国心臓協会学術集会 2005)。CT法による冠動脈粥腫の検出を試み、少なくとも狭窄病変での粥腫の観察は可能であることが示された(日本循環器学会学術集会 2006)。
結論
各施設において血管内超音波法により観察され、所定の基準に合致する冠動脈局所を暫定的な不安定粥腫として882例の登録を完了し、“前向き”追跡を開始した。平成18年度は上記プロトコールでの登録を継続する一方、一部の症例ではMRIまたはCT法による非侵襲的検索を施行し、血管内超音波所見と対比しつつ、登録症例の経時的観察を行う。最終的には登録症例数1500(3ヵ年)を目標として解析に供する。このように、当初の研究計画は全体、各個研究とも着実に成果を挙げつつあるといえよう。

公開日・更新日

公開日
2006-05-17
更新日
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