文献情報
文献番号
200500542A
報告書区分
総括
研究課題名
各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果の総合的検討
課題番号
H16-循環器(生習)-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井口 昭久(名古屋大学大学院医学系研究科老年科学)
研究分担者(所属機関)
- 林 登志雄(名古屋大学医学部・付属病院老年科)
- 井藤 英喜(東京都医療公社・多摩北部医療センター)
- 山田 信博(筑波大学 大学院・臨床医学群代謝内科)
- 川嶋 成乃亮(神戸大学大学院医学研究科呼吸循環器学)
- 久保田 潔(東京大学大学院・医学系研究科薬剤疫学)
- 佐藤 貴一郎(国際医療福祉大学・医療経営学)
- 渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学)
- 服部 良之(独協医大医学部・内分泌内科)
- 吉栖 正生(広島大学大学院医歯薬研究科循環病態学)
- 大類 孝(東北大学大学院医学研究科老年科学)
- 遠藤 英俊(国立療養所中部病院包括医療部)
- 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院分子内科)
- 梅垣 宏行(名古屋大学医学部・附属病院老年科)
- 野村 秀樹(名古屋北病院・在宅医療部)
- 曽根 博仁(お茶の水女子大学大学院・生活科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病性心血管病は,耐糖能異常の時から進展し,高齢罹患者を初め、冠動脈病変の合併の著増が懸念される。合併する高脂血症等の治療に血糖降下療法に匹敵する冠動脈病変発症予防効果が期待されている。本研究は申請者を主任研究者とする全体研究として各種高脂血症治療薬の糖尿病性心血管病進展予防効果を検討する
研究方法
代謝内分泌学,循環器学,老年学,臨床薬理学専門医14名,12施設,40関連病院からなる研究班を結成した。17年3月末までに自立している糖尿病患者(4014名),耐糖能異常者(306名),正常群(1112名),計5432名を登録した。3)nested case control cohort試験として,虚血性心疾患発症,死亡/同入院,CVD,ASO発症総死亡をエンドポイントに検討している。
結果と考察
糖尿病,耐糖能異常,正常群に各々75.9%,70.8%, 52.6%の高脂血症罹患者を認めた。高脂血症合併糖尿病,耐糖能異常,高脂血症単独群の日本動脈硬化学会脂質管理目標達成率は32.7%,45.5%,46.5%に留まった。高脂血症薬は68.2%,65.8%,69.7%に処方されておりスタチン製剤が85%と最多で薬剤別の達成率の差が小さく,合併高脂血症に対し医師が管理目標値より高値を想定している可能性が示唆された。5)初年度イベント発症率は部分集計(糖尿病3800例集計時点)で2.3%で従来の高脂血症単独が対象の本邦のいずれの研究成績よりも高率であり、有効な予防法の確立の重要性が示唆された。現在,I)(本邦又は欧米の)血清脂質管理値達成によるイベント予防効果,II)高脂血症病態(メタボリック症候群,閉経等)による差異,III)脳血管障害への効果,IV) V規高脂血症薬の安全性と多面的作用V)医療経済効果を検討している。個別研究は,高齢者総合機能評価,冠動脈再狭窄への影響,血管内皮機能,痴呆発症(脳白室病変等), 薬剤トランスポーター変異等を検討している.
結論
糖尿病合併高脂血症の脂質治療レベルは本邦では高くなく、心脳血管合併症発症頻度も高く更に管理していく必要性が示唆された。第3年度に治療目標の再確認を行い、検討を進めていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2006-04-28
更新日
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