脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬HMG-CoA還元酵素阻害薬の予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200500541A
報告書区分
総括
研究課題名
脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬HMG-CoA還元酵素阻害薬の予防効果に関する研究
課題番号
H17-心筋-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松本 昌泰(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 寺山 靖夫(岩手医科大学医学部)
  • 北 徹(京都大学大学院医学研究科)
  • 内山真一郎(東京女子医科大学医学部附属脳神経センター)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター)
  • 井林 雪郎(九州大学大学院医学研究院)
  • 高木 誠(東京都済生会中央病院)
  • 北川 一夫(大阪大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【心筋梗塞・脳卒中臨床研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
31,598,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平均的な血清コレステロール値を有する虚血性脳血管障害の既往患者を対象とし、多施設共同臨床試験(J-STARS)により、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)による脳卒中再発予防のエビデンス確立を目指す。
研究方法
本研究は、プラバスタチン投与群と非投与群の2群で平均5年間の追跡調査を行う多施設共同無作為化非盲検比較試験である。エンドポイントは脳卒中再発、再発脳卒中の病型分類、認知機能障害や日常生活機能障害等の比較検討を行う。横断的予備調査研究(J-STARS-C)による虚血性脳卒中患者の臨床的背景を参考にプロトコルを完成し、研究組織編成、Web症例登録報告システム完成等の実施体制整備を経て平成16年3月より症例登録を開始し、今年度も研究者対象の地区推進会議、全体会議や市民公開講座開催、重要事項の周知、学会発表等の研究推進活動を行った。また、縦断的予備調査研究(J-STARS-L)の症例集積を終了し、最終解析を実施した。付随研究として高感度CRP検査研究および頸動脈エコー検査研究を実施した。
結果と考察
J-STARSは引き続き研究推進活動を行い、平成18年3月までに研究協力施設135施設中121施設で倫理委員会承認を得て750例の登録を完了したが、目標症例数3000例達成のため、更なるプロモーションを図ることを目的として、症例登録期間を1年延長し、平成19年2月末とすることが決定した。またJ-STARS-Lは平成15年9月から平成17年8月までに452例の有効症例を集積した。J-STARS-Lの最終解析結果より、虚血性脳血管障害の既往を有する患者において、次に生じる心血管イベントの多くは脳血管障害であること、また高脂血症がその危険因子となる可能性が示された。更にスタチン投与による、脳血管イベントを中心とするイベント発症抑制効果が示唆された。今後、J-STARSでスタチンの脳卒中再発予防に対する有用性の確立が期待される。
結論
J-STARSは更なる症例登録集積のために症例登録期間を1年間延長し、精力的な症例登録推進活動を行う予定である。また、J-STARS-Lは高脂血症が脳卒中再発の危険因子であること、スタチン投与による脳血管イベント等のイベント発症抑制効果を示唆する結果を得た。本研究の完遂により脳卒中再発予防の新しい治療法が確立し、国民福祉の向上と医療費の軽減に繋がることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-01-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500541C