進行卵巣がんの集学的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200501408A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣がんの集学的治療に関する研究
課題番号
H17-チーム(がん)-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん化学療法を受ける患者のQOLに大きな影響を与えているものとして、タキサン系薬剤による末梢神経障害、筋肉痛、関節痛があり、患者の日常生活に多大な支障をきたしている。また白血球減少に対して連日通院しG-CSF投与を受けざるをえず、社会生活復帰に大きな影響を及ぼしている。このような副作用の軽減対策の一つとして漢方薬が注目される。このような西洋医学に東洋医学を組み込む医療に対するEBMの確立は日本からこそ発信されるべきであるが、国内ではまだ臨床試験実施体制が整っていない。逆に米国では漢方や鍼灸を取り入れた統合的医療がNCI主導の国家的プロジェクトとして動き出している。そこで本研究では、外来化学療法を受けるがん患者のQOL改善のために、西洋医学のみでは対策に難渋する副作用軽減を目指してランダム化比較試験を施行する。
研究方法
本研究は漢方薬の副作用軽減効果を科学的に立証する臨床第III相試験を目標としたランダム化第II相試験である。ランダム化比較試験では、卵巣癌および子宮癌で外来化学療法(主にタキサン系薬剤、カルボプラチンを使用)を施行する患者200名を対象とする。患者をランダムにA群とB群に振り分ける。A群の患者には、抗がん剤投与後に漢方薬を投与し、B群は従来から使用されている西洋薬を投与する。解析は、A群とB群での比較を行う。また副次的研究として、1)抗がん剤の効果を化学療法施行前に予測するためのCD-DST法による薬剤感受性試験、2)タキサン系の副作用を予測するための薬剤代謝経路に関与する遺伝子の遺伝子多型検索、を施行する。
結果と考察
平成17年度には「骨髄抑制の軽減に関する十全大補湯の有用性に関する研究」の試験計画書を作成し、登録を開始した。十全大補湯 7.5g/日あるいはアデニン(商品名ロイコン)20mg/日を投与する。副次的研究の「抗がん剤の効果を化学療法施行前に予測するためのCD-DST法による薬剤感受性試験」に関しては、22例を登録した。また「タキサン系の副作用を予測するための薬剤代謝経路に関する遺伝子多型解析」を13例で施行した。
結論
本研究のように婦人科がんの副作用軽減を目指した漢方薬のランダム化比較試験は国内でまだ施行されていない。本研究は化学療法のfeasibilityを上げるのみならず、G-CSFの使用を押さえて医療費削減にもつながる可能性を持つ。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-