早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500537A
報告書区分
総括
研究課題名
早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(がん)-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田村 孝雄(神戸大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,755,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期胃癌に対する治療法として従来のEMRに代わり、ESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)は大きさや潰瘍瘢痕の有無に関わらず、腫瘍の一括完全切除を可能にし、外科手術に比べQOLがきわめて優れた画期的な方法であるが、手技の修得が困難で出血や穿孔といった偶発症も多く、一般化させるためには問題点が多い。現在は1チャンネル内視鏡先端にアタッチメントを付けたり、2チャンネル内視鏡を使用したりして術野の確保に努めている(Single scope-ESD)が、術者の技量に依存するところが大きい。そこで、粘膜下層剥離の際には、外科医の左手とも言うべく、病変把持専用に極細径内視鏡や把持鉗子を用い、オーバーチューブ内を通して2本の内視鏡を操作することで十分な術野を保ちながら安全に手技を行う方法(Double scope-ESD)を考案し、従来のSingle scope-ESDと比較しその有効性と安全性を検証するために本研究を計画した。
研究方法
適応拡大した早期胃癌症例「腫瘍径問わず、ul(-)、分化型、M癌」、「3cm以下、ul(+)、分化型、M癌」のうち、重篤な合併症や生存期間、有害事象に影響すると考える重複悪性疾患を有さず、体型的にも太径オーバーチューブ挿入可能な症例に対してESDを行い、一括切除率、施行時間、偶発症(後出血、穿孔等)発生率をエンドポイントとして並行群間比較試験を行う。Double scope-ESD:病変把持用の極細径スコープ(N260;Olympus)と病変切除用の処置用スコープ(Q260J;Olympus)をオーバーチューブ(太径ダブルタイプor 新開発ダブルルーメンタイプ;Top)下に胃内に挿入し、ITナイフ等によるESDにて病変切除を行い、一括切除を原則とする。Single scope-ESD:従来通り、1本のスコープを使用し同様にESDにて切除を行う。
結果と考察
Double scope-ESDはいわゆるESD困難症例に対して既に数例実施し良好な成績を得たために第78回日本胃癌学会総会、第71回日本消化器内視鏡学会総会、2006. ASGEにて発表予定である。細径ダブルルーメンタイプオーバーチューブにより体型を問わずより安全に挿入・操作可能になると考えられる。また病変把持専用スコープの操作性は改良検討中である。今後多施設共同研究を目指し関連病院2施設にも導入検討中である。
結論
早期胃癌に対するESDの適応拡大を図る上でDouble scope-ESDは安全で有効な方法であると予想される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-