難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500536A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(がん)-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(国立大学法人浜松医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,972,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
未治療慢性期慢性骨髄性白血病(CML)におけるイマチニブの有効性・安全性、長期予後の検討および、イマチニブにより十分な効果が得られなかった患者に対するイマチニブとIFNαまたはcytarabine ocfosfate併用の有効性と安全性の比較検討
研究方法
JALSG成人慢性骨髄性白血病プロトコール(CML202試験)では、未治療慢性期CMLにおいてイマチニブ1日400mgの有効性・安全性ならびに長期予後を検討するとともに、イマチニブを使用したにもかかわらず大細胞遺伝学的効果が得られなかった症例に対し、イマチニブ+IFNα併用またはイマチニブ+cytarabine ocfosfate併用療法のランダム化第II相試験を行い有効性と安全性を比較検討した。イマチニブ単独群および各併用療法の主要評価項目はそれぞれ全生存期間、細胞遺伝学的効果とした。本臨床研究実施チームではCML202試験の実施と解析の一部を行った。
結果と考察
CML202試験は2006年3月で480例が登録され、2例が併用群に二次登録され終了した。271例での中間解析では、9ヶ月時点での有効性は完全細胞遺伝学的効果80%, 部分細胞遺伝学的効果12%であった。大細胞遺伝学的効果に到達しない症例およびイマチニブ不応症例は多くは有害事象のため十分にイマチニブを使用できなかった症例であり、この事が併用試験への登録が少ない原因と推定された。有害事象は多彩であるものの重篤なものはまれであった。また市販後の自主報告における27例の薬剤関連間質性肺傷害の報告では、その画像パターンの解析から早期の適切な治療により良好な予後が示された。イマチニブ療法中のRQ-PCR法による経時的な検討ではBCR-ABL mRNAは3相性の対数的減少を示し、12ヶ月で51%の症例に3log以上の減少を認めた。またTMA(Amp-CML)法はRQ-PCR法とよく相関し、この結果をもとにTMA法によるBCR-ABL mRNA測定は2004年11月保険適用となった。
結論
イマチニブ1日400mgは本邦においても90%以上の症例に大細胞遺伝学的効果が得られ、またBCR-ABLの3log以上の減少も1年時点で51%の症例に認められ、標準的な治療法となると考えられた。重篤な有害事象はまれで、薬剤関連間質性肺障害は0.5%程度に発症するものの予後は良好である事が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-