がんの腹膜播種に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500535A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-がん-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
白尾 国昭(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は腹膜播種を伴う進行胃がんを対象にMTX-5-FU時間差療法と5-FU単独持続静注療法の第Ⅲ相無作為化比較試験を行い、標準的治療法を確立することである。
研究方法
MTX+5-FU時間差療法と5-FU単独持続静注療法とのランダム化比較試験を行う。Primary endpointは全生存期間、Secondary endpointは登録時経口摂取可能例が経口摂取不能となるまでの期間(経口摂取可能生存期間)、登録時経口摂取不能例における経口摂取改善割合、有害事象発生割合、および重篤な有害事象発生割合である。対象は切除不能または術後再発胃癌症例であること、腹膜転移を有すること、年齢は20歳以上かつ75歳以下であること、performance status (ECOG)は 0, 1, 2であること、主要臓器機能が十分に保たれていること、本試験の参加に関して同意が患者本人より文書で得られていることなどである。5-FU持続静注療法は5-FU 800 mg/m2/day、5日間持続静注を4週1コースとして増悪まで繰り返す方法であり、MTX+5-FU時間差療法はMTX 100 mg/m2/day 急速静注(day1)、5-FU 600mg/m2/day 急速静注(day 1: MTX投与3時間後)、ロイコボリン 10mg/m2 x 6 静注または経口(day 2-3, MTX投与24時間後より開始、6時間ごとに6回投与)を、1週1コースとして増悪まで繰り返す方法である。
結果と考察
本研究は平成14年から開始されており、現在順調に登録が行われている。当初予定した160例の登録が平成17年7月に終了したが、その後症例追加を行い、予定症例数236例(各治療群118例)、全登録期間4年に計画を変更した。平成18年度には236例の登録を終了する予定である。
結論
手術不能または再発胃癌のような高度進行胃癌において、約半数が腹膜転移を有すると考えられている。このような腹膜転移例での臨床試験は未だ不十分であるが、これは腸管狭窄や腹水が抗癌剤の毒性を遷延・重篤化させることがその理由の一つになっている。従って、今回施行される本研究の意義は極めて高く、これにより胃がん腹膜播種症例に対する標準的治療法が決定されれば、本疾患で悩む多数の患者に対し、最も効果的でかつ安全な治療を行うことが可能となり、大きな利益をもたらすものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-06-14
更新日
-