若年者骨髄性造血器腫瘍を対象とした骨髄破壊的前処置と骨髄非破壊的前処置を用いた同種末梢血幹細胞移植の比較的検討(第Ⅲ相ランダム化盲検比較試験)

文献情報

文献番号
200500529A
報告書区分
総括
研究課題名
若年者骨髄性造血器腫瘍を対象とした骨髄破壊的前処置と骨髄非破壊的前処置を用いた同種末梢血幹細胞移植の比較的検討(第Ⅲ相ランダム化盲検比較試験)
課題番号
H16-チム(がん)-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ミニ移植において移植前処置の方法論が確立されていない。フル移植の標準的前処置とされるブスルファン(BU)+シクロフォスファミド(CY)からBUの量は軽減せず(16mg/kg)、主に宿主の免疫抑制に働き、拒絶予防として使用されているCYを、より安全性の高いフルダラビン(Flu)に変更する移植前処置による臨床試験を20-65歳と言う幅広い年齢層に施行し、その成績を評価する。本臨床研究の目的は、Flu/BUによる骨髄破壊的な移植前処置による同種移植により、前処置関連毒性が軽減されること、生着が遅延しないこと、再発が増加しないことを確認することである。
研究方法
対象症例は年齢が16歳以上かつ65歳以下の同種造血幹細胞移植が通常適応となる造血器疾患患者で、HLAのA/B/DR座が完全一致した同胞または血縁ドナー、またはHLA-A/B/DR遺伝子型6/6一致非血縁ドナーもしくはHLA-A/B遺伝子型一致DRB1遺伝子型1座不一致非血縁ドナーを有するものとする。主要評価項目は移植後100日の時点での生着生存率に設定した。対象疾患は、非寛解例を除く急性白血病、急性転化期を除く慢性骨髄性白血病、白血病に転化していない骨髄異形成症候群の症例とする。
結果と考察
平成17年度に本研究計画書を完成した。虎の門病院と国立がんセンター中央病院との2施設共同研究として、倫理委員会にて申請する段階である。CYの使用は、その強い消化器、心、腎、膀胱毒性が問題となり、加えて2-3L/m2の輸液を必要とするため、全身状態不良、臓器機能が維持されていない症例では投与不可能であり、同種移植の機会を提供できない大きな理由となった。Fluは、慢性リンパ性白血病で使用されているが80歳代など超高齢者でも投与可能な薬剤であり、CYをFluに変更するだけでも毒性の軽減に繋がり、同種移植施行の可能性を拡大できる。BU+CYの主な抗腫瘍効果はBU16mg/kgによるとされるため、生着が確保できれば、前処置毒性は軽減されても再発は増えないことが期待される。
結論
BU+CYの標準的フル移植前処置からCYをFluに変えるFlu/BU16mg/kgの前処置法によるミニ移植の安全性と有効性を評価する臨床試験を開始する。

公開日・更新日

公開日
2006-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200500529B
報告書区分
総合
研究課題名
若年者骨髄性造血器腫瘍を対象とした骨髄破壊的前処置と骨髄非破壊的前処置を用いた同種末梢血幹細胞移植の比較的検討(第Ⅲ相ランダム化盲検比較試験)
課題番号
H16-チム(がん)-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ミニ移植において移植前処置の方法論が確立されていない。一般的に強い免疫抑制作用を持つが毒性は少ないフルダラビン(Flu)とブスルファン(BU)8mg/kgを使用する前処置が広く行われているが、フル移植で使用されるBUが半量になっており、移植後再発の増加が危惧される。フル移植からミニ移植への第一段階としてフル移植の標準的前処置とされるBU+シクロフォスファミド(CY)からBUの量は軽減せず(16mg/kg)、主に宿主の免疫抑制に働き、拒絶予防として使用されているCYを、より安全性の高いFluに変更する移植前処置による臨床試験を20-65歳と言う幅広い年齢層に施行し、その成績を評価する。
研究方法
対象症例は年齢が16歳以上かつ65歳以下の同種造血幹細胞移植が通常適応となる造血器疾患患者で、HLAのA/B/DR座が完全一致した同胞または血縁ドナー、またはHLA-A/B/DR遺伝子型6/6一致非血縁ドナーもしくはHLA-A/B遺伝子型一致DRB1遺伝子型1座不一致非血縁ドナーを有するものとする。主要評価項目は移植後100日の時点での生着生存率に設定した。対象疾患は、非寛解例を除く急性白血病、急性転化期を除く慢性骨髄性白血病、白血病に転化していない骨髄異形成症候群の症例とする。
結果と考察
平成17年度に本研究計画書を完成した。虎の門病院と国立がんセンター中央病院との2施設共同研究として、倫理委員会にて申請する段階である。CYの使用は、その強い消化器、心、腎、膀胱毒性が問題となり、加えて2-3L/m2の輸液を必要とするため、全身状態不良、臓器機能が維持されていない症例では投与不可能であり、同種移植の機会を提供できない理由となった。Fluは、慢性リンパ性白血病で使用されているが80歳代など超高齢者でも投与可能な薬剤であり、CYをFluに変更するだけでも毒性の軽減に繋がり、同種移植施行の可能性を拡大できる。BU+CYの主な抗腫瘍効果はBU16mg/kgによるとされるため、生着が確保できれば、前処置毒性は軽減されても再発は増えないことが期待される。
結論
BU+CYの標準的フル移植前処置からCYをFluに変えるFlu/BU16mg/kgの前処置法によるミニ移植の安全性と有効性を評価する臨床試験を開始する。

公開日・更新日

公開日
2006-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500529C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ミニ移植においては、移植前処置の方法論が確立されていない。強い免疫抑制作用を持つが毒性は少ないフルダラビン(Flu)とブスルファン(BU)8mg/kgを使用する前処置が広く行われている。フル移植の標準的前処置とされるBU+シクロフォスファミド(CY)からBUの量は軽減せず(16mg/kg)、主に宿主の免疫抑制目的に使用されている毒性が強いCYを、より安全性の高いFluに変更する臨床試験を15-65歳と言う幅広い年齢層に施行し、その成績を評価する。
臨床的観点からの成果
CYは、その強い消化器、心、腎、膀胱毒性が問題となり、加えて2-3L/m2の輸液を必要とするため、全身状態不良、臓器機能が維持されていない症例では投与不可能であり、同種移植の機会を提供できない理由となった。Fluは、超高齢者でも投与可能な薬剤であり、CYをFluに変更するだけでも毒性の軽減に繋がり、同種移植施行の可能性を拡大できる。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
白血病などの造血器悪性腫瘍の治療は、まず化学療法が行われ、その成績も改善されてきた。しかし、寛解導入不応例や再発例の予後は極めて不良で、化学療法の続行だけでは治癒は望めない。フル移植の前処置は毒性が強く、施行不可能な症例が多く存在する。このFlu+BUの有効性が証明されれば同種移植による治癒が幅広い患者層で期待できる。
その他のインパクト
最近、臍帯血を用いたミニ移植が虎の門病院を中心に開発されている。同種移植ではHLAが一致したドナーの存在が不可欠であるが、実際は血縁で1/4の確率でしか存在せず、骨髄バンクでは患者登録から移植までの3-4ヶ月が待てない場合も少なくない。臍帯血は現在成人でも90-95%の症例に同種移植医療を提供できる。これを組み合わせた臍帯血ミニ移植の確立はドナーの壁を越えて同種移植医療を可能とし、血液治療の標準治療を大きく変える可能性がある。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-