子宮頸がんの予後向上を目指した集学的治療法における標準的化学療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500528A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮頸がんの予後向上を目指した集学的治療法における標準的化学療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(がん)-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
櫻木 範明(北海道大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
21,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.子宮体癌のリンパ節郭清を個別化するためのリンパ節転移予測手段を確立する。
2.自律神経温存広汎子宮全摘術手技を確立する。
3.docetaxel-carboplatin併用療法(DJ療法)の安全性と有効性を検討する。
研究方法
1.Volume index、血清CA125、分化度/組織型を用いてリンパ節転移予測スコア(LNM score)を設定した。LNM scoreの有用性についてvalidation studyを行った。

2.Urolab Spectrumを用いた尿流動態検査を術前ならびに術後1,3,6,12ヶ月に行い、排尿機能を評価した。

3.第1段階としてJの投与量をAUC 5で固定し,Dの投与量を50,60,65,70mg/m2と4レベルで用量設定試験を行なった。70mg/m2でもDLTは発現せず,この量を第2段階の推奨用量とした。第2段階として3,4期の卵巣癌初回治療例を対象にDJ療法を3週間毎に6コースを目標に投与した。安全性,抗腫瘍効果,6コースの完遂率について検討した。
結果と考察
1.LNM scoreとリンパ節転移頻度は低リスク(3.2%)、中リスク(15.3%)、高リスク(30.2%)、極高リスク(78.6%)であった。傍大動脈節転移頻度は低リスク(1.0%)、中リスク(11.9%)、高リスク(23.8%)、極高リスク(57.1%)であった。

2.神経温存群での膀胱コンプライアンス、最大尿流量率、残尿量は、術前と術後12ヶ月目で差を認めず、良好な回復を示した。最大尿流量時の腹圧は非温存群で温存群よりも有意に高く、利尿筋収縮圧は非温存群の方が有意に低かった。

3.好中球減少(Grade 3/4)が93%の症例で認められたが,いずれもG-CSFの短期間の投与により治療継続が可能であった。なおGrade 3の血小板減少を1例のみ認めた。また,grade 3以上の非血液毒性は,消化器症状12%のみであり,浮腫,末梢神経障害は軽度であった。評価可能な28例において,奏効率64%(CR 9例,PR 9例)であった。6コース完遂率は76%であった。
結論
1.LNM scoreはリンパ節郭清術適応の個別化に有用な情報を与える。大規模多施設共同試験で本スコアの有用性が確立されることが望まれる。

2.広汎性子宮全摘術施行時に自律神経温存は試みられるべき手技である。

3.卵巣癌に対するDJ療法による初回化学療法は,好中球減少が高頻度に認められるが卵巣癌に対して高い奏効率を示し、毒性は許容範囲内である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
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