難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)

文献情報

文献番号
200500527A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H17-チム(がん)-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大竹 茂樹(金沢大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
白血病は治癒を目指した治療が行われるようになったものの、一部を除いては未だ難治性である。難治性白血病の標準的な治療法を開発するために、全国多施設共同研究を展開し、インターネットを利用したデータマネジメントを行った。
研究方法
急性骨髄性白血病(AML)の標準的な治療法の開発を目的として,寛解導入療法においてイダルビシン(IDR)とダウノルビシン(DNR)を無作為割り付け法により比較検討し、 寛解後療法において従来の多剤併用化学療法とシタラビン大量療法を無作為割り付け法により比較検討するAML201プロトコールを実施した。
急性リンパ性白血病(ALL)において、従来難治性であったPh染色体陽性ALLに新しいチロシンキナーゼ阻害薬であるイマチニブ(グリベック)を併用した化学療法を試みた。Ph染色体陰性ALLには、従来の治療法を強化改善したプロトコールを実施し、小児ALLとの比較試験も実施中である。
高齢者急性骨髄性白血病の実態把握と標準的な治療法の確立のために行われたGML200研究のデータマネジメントを行った。
これらのプロトコールは、自ら開発したweb applicationを用いて、症例登録、データ入力が行われた。
結果と考察
AML201では平成17年12月に新規症例登録を終了した。総登録症例数は1067例で、計画通りに層別化因子に基づいて適正に無作為割り付けが行われた。中間解析の結果では、IDRとDNRを比較する寛解導入療法では、完全寛解率が77%対75%で有意差を認めていない。寛解後療法では、30ヶ月生存率が71%対75%で有意差を認めていない。2年間の予後観察後結論が得られる。
Ph染色体陽性ALLでは、初期の80例のデータが解析され、完全寛解率は96.2%、1年生存率76.1%であり、造血幹細胞移植と組み合わせることにより、治癒を期待できることが判明した。
GML200では233例の治療成績が解析され、set療法群とindivisualized群の完全寛解率はそれぞれ63.5%および66.1%で有意差を認めなかった。全生存率はそれぞれ21%および27%であった。
結論
白血病の標準的治療法の確立には、さらに継続して医師主導研究を推進する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-