文献情報
文献番号
199700049A
報告書区分
総括
研究課題名
新興再興感染症患者の救急搬送に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
山本 保博(日本医科大学)
研究分担者(所属機関)
- 辻守康(杏林大学熱帯病寄生虫学)
- 田代真人(国立感染症研究所)
- 倉田毅(国立感染症研究所)
- 角田隆文(都立荏原病院)
- 大友弘士(東京慈恵会医科大学熱帯医学)
- 上原鳴夫(国立国際医療センター)
- 須崎紳一郎(日本医科大学)
- 大友康裕(国立病院東京災害医療センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現行の「伝染病予防法」(明治30年施行)は国民生活や社会構造の変化、衛生水準や意識の向上、人権の尊重と行政の公正透明化への社会的要求、さらに高速大量交通機関の発達などに明らかに応じられなくなっている。またこの間の医学・医療の著しい進歩を反映させ、同時に最近20年間に新たに認識されてきた新興再興感染症への対応が希求されているために、現行法は全面改訂が急務となり、厚生省公衆衛生審議会伝染病予防部会報告に基づき新たに「感染症予防法」制定が図られ、本国会での成立が目指されている。これには感染症を現在の医学的見地から類型を設けて再整理し感染症サーベイランスが明文化されるとともに、感染症対策における国及び自治体の責任を明確化し、感染症基本指針(国)および予防計画(都道府県)の制定を指示し、入院にかかる措置や消毒その他の処置まで盛り込まれている。このように改訂は極めて多岐に亘るために細部は省令以下に委ねられており、感染症患者の搬送など個々具体的な方策に関しては更に検討を要することは言を俟たない。
本研究は現状を踏まえつつ法改訂の主旨に則り、具体的な患者搬送主体のあり方、実際の運用、車両の仕様、消毒などの実務、搬送人員への教育体制、特に特定感染症指定医療機関への広域(立体)搬送の可否と対応など、感染症患者の救急搬送体制自体を再検討することにより、これら単に社会防衛(防疫)の見地のみならず、患者へ良質かつ適切な医療の提供、同時に搬送に当たる人員の一層の安全の確保など、合理的かつ将来を見据え、社会の要請に答えるに足る感染症患者の搬送のあり方を明らかにして、具体的な感染症患者搬送の指針(ガイドライン)を提言することを目的とする。
本研究は現状を踏まえつつ法改訂の主旨に則り、具体的な患者搬送主体のあり方、実際の運用、車両の仕様、消毒などの実務、搬送人員への教育体制、特に特定感染症指定医療機関への広域(立体)搬送の可否と対応など、感染症患者の救急搬送体制自体を再検討することにより、これら単に社会防衛(防疫)の見地のみならず、患者へ良質かつ適切な医療の提供、同時に搬送に当たる人員の一層の安全の確保など、合理的かつ将来を見据え、社会の要請に答えるに足る感染症患者の搬送のあり方を明らかにして、具体的な感染症患者搬送の指針(ガイドライン)を提言することを目的とする。
研究方法
結果と考察
わが国における感染症患者搬送の現状
現行法(伝染病予防法)の下では伝染病患者の搬送は消防救急隊(救急車)では行われていないが、その根拠は同法第9条によって患者の移動が禁じられているためであり、消防救急業務の可否として検討されたものではない。患者移動の禁止は現行の法制定当時の社会防衛(防疫)優先の思想と貧弱な医療供給体制を考えれば止むを得なかった面もあるが、現在の医学的見地からは合理的理由は全く見いだせない。
現行の感染症患者搬送
伝染病予防法第9条の権限者は市町村長であるために、感染症患者搬送の一義的責任は市町村長にある。現在の法定伝染病などの搬送の現状を調査した。
東京都においては防疫所が2カ所設置されており、感染症患者の搬送には都衛生局を通じて同所に配備されている防疫車が対応することになっている。しかしさらに実情をみると、防疫車の出動は年間220回程度に止まり、消防救急が使用できない伝染病患者搬送および検体搬送に使われており、防疫所が平成8年より試行導入した精神患者護送件数年間590件に遠く及ばない。伝染予防法に基づく搬送を必要とするのは年間2000回程度で感染症には対応優先的対応をしている。
また一方、現在でも市町村がすべて感染性の患者搬送に適した専用車両、人員を常備しているとは限らず、(一部を除いて)これを有しない市町村は、民間患者移送車(民間救急車)などを借り上げて搬送しているのが実態であり、体制、消毒、防疫に対する医療知識の点で多いに問題があり、好ましいとはいえない。
長距離・特殊搬送
長距離搬送に類するものとして最近まで、成田空港から都立荏原病院に搬送する患者のアイソレーター仕様の患者搬送車が整備されていた。しかしこれも最近の知見では、危険とされているウイルス感染症(1類に相当)においてすら空気遮断まで図った高度隔離は医学的に必要を認めないことが明らかとなったために平成9年4月に同車は廃車となり、新たに成田空港には患者単身用のアイソレーターが導入された。このアイソレーターは、感染源となりうる出血などの体液や吐物、排泄物を救助者や車両内に接触させないことに主眼が置かれている。医学的見地から十分に検討を加えられており、現在知られている限りの感染症においては十分な伝搬防御性能があるとみられる。ただ空港を中心に高速かつ大量の国際交流が現実のものとなっている以上、アイソレーターを国際空港に配備することは必要であり合理性があろうが、各都道府県にまでアイソレーターを配置する必要があるか否かは感染症発生の予測とも関わり、今後の研究課題であると思われる。航空搬送についてはこれまで個々の発生症例について緊急性を認めた場合のみ自衛隊機、自治体機などでの搬送例があるが、基本的には感染症患者の搬送はできないことになっている。
世界における感染症患者搬送の現状
CDC (CENTER FOR DISEASE CONTROL)(米国)の感染症患者取扱いの指針を照会調査したが、新法で1類に相当するウイルス性出血熱など危険性の高いと考えられる感染症については搬送に関する指示、規定は見られなかった。また公的患者搬送機関であるREGAあるいは私的患者搬送会社であるSOS INTERNATIONAL(いずれもスイス)など、長距離国際患者移送に実績のある組織に照会も行ったが、いずれもこれら感染症患者の搬送については「経験がない、マニュアルもない」というものであり否定的であった。従って1類感染症患者搬送については感染症専門家の意見を十分に取り入れた上でわが国での指針を編み出さざるを得ない。また特に広域航空搬送を視野に入れると、これら先進諸国のノウハウはあれば非常に重要なものであると期待したが、現実に対応がないとすれば、わが国で導入するには慎重かつ綿密な検討は避けられない。なおこのような特殊な感染症は別にしても、2類感染症の感染症指定医療機関への搬送についてより合理的な搬送マニュアルを策定提示するために、欧米などの諸国の実情を今後さらに収集し検討すべきである。
今後の感染症患者搬送対応と問題点
感染症患者搬送のありかた
新法では1類、2類感染症患者については都道府県に対して感染症指定医療機関への入院搬送の義務を示しているが、その方法は省令に委ねられている(第21条、第26条)。たとえば設備のある特殊車を都道府県に新たに配置すべきであるのかどうか、他に委託することが可能であるかどうか、などその具体的な方策は基本計画に沿って個々の都道府県の感染症予防計画の中で制定されることになる(第10条)ので、その場合、新法の理念を踏まえたうえで、合理的(コストベネフィットも考慮)かつ医学的に妥当な基準を検討制定しなければならない。また搬送に関する計画は収容されるべき感染症指定医療機関の整備と表裏をなすものであるから、この整備計画と相伴って進める必要がある。さらに搬送も感染症指定医療機関への入院勧告と同様に強制力が作用することから、人権に配慮した法的手続きの明確化が求められる。特に医学的見地からは搬送における感染の防御(消毒、汚染処理、処置、衣服ほか)について具体的な指針が必要であり、これについてはCDCなど国際的に見て是認されている水準を維持しつつ、この研究班で「マニュアル/ガイドライン」を提示すべく更に検討を進める。
救急車での搬送にあたって
1類、2類感染症の診断がついた場合には都道府県に患者搬送責任が生じるとしても、現実には発症から初診病院までは現実に消防救急車が原因不明の発熱患者・黄疸患者などとして今後とも搬送に当たる(依頼される)と考えられるので、この中には危険性のある患者が含まれる可能性は常にある。また、今回の感染症規定の改訂でこれまで法定、指定伝染病となっていたものの一部がより危険の少ない3類、4類感染症と分類し直されたことにより、これらの一部は救急車で搬送されるであろう。また近年のO-157感染症事例でも明らかなように同時多数の患者発生に際しては、救急車が最も有力な患者搬送手段とされることは十分に予想される。 従って消防救急隊においても、少なくとも危険のない場合に関しては感染症患者搬送の対応力が求められ、隊員に対して消毒や感染防止防御取扱いについて知識の周知教育、資質と対処能力の向上、設備器材の供与および医療機関からの正確迅速な医療情報提供の確保について一層の整備が必要である。また特に後者に関しては医療機関(医師)の側の感染症への認識と搬送への配慮をより深める方策が欠かせないであろう。
広域立体搬送の可能性への検討
特定感染症指定医療機関は現在の施設では全国で大阪府泉佐野市の1施設に留まり、今後全国的に国によって整備されるとしても多数は望めない。高速交通時代の下、既知あるいは未知の危険な感染症の脅威は全国的である。従って危険な感染症を広域に亘って搬送する手段についても予め考慮しておくべきである。これについては前述のように諸外国に参考となるべき基準を求めることは困難であるものの、陸上(車両)あるいは航空(飛行機)を問わず、搬送者にとって医学的に安全を十分に確保され、しかも患者の医学的安全や心理的保全も得ることができる体制・構造をどのように確立するか、関係諸方面と検討を重ねなければならない。また長距離高速搬送として航空機搬送を考えた場合、現実的に飛行運用の主体となりうるのはヘリコプターにおいては民間あるいは自治体、固定翼機においては自衛隊(海上保安庁)に限られるとみられるが、仮に移送用アイソレーターが実用配備されるなど上記の医学的設備がなされたとしても、現時点においてはいずれも規制や諸事情により搬送実施は困難な状況にある。この点に鑑みて法の運用や責任を明確化することにより解決を図るべき課題である。
新感染症に対する搬送体制の考え方
現時点で未知でありながらも危険な感染症が将来出現することを見越して、新法では新感染症として特に章を設けて(第7章第45条以下)おり、この中で搬送に関しては第47条で都道府県知事に患者の入院移送義務を明記しているが、その具体的な方法は示されていない。これについては医学的に伝播経路や危険度が全く知られていない以上、予め対応基準を設けることははなはだ困難であるが、逆に何も対応策を置いておかなければ現実に発生したときに混乱と危険を増大させる恐れもある。患者の人権に配慮しかつ住民に徒な不安を与えないように配慮したうえで、しかるべき防御方策(当初1類感染症に準じる、医療廃棄物処理に格別の規定をおく、など)を検討提示しておく必要がある。またこれらは輸入感染症であるため、搬送や管理を含めて常に諸外国の情報収集に努める必要がある。
現行法(伝染病予防法)の下では伝染病患者の搬送は消防救急隊(救急車)では行われていないが、その根拠は同法第9条によって患者の移動が禁じられているためであり、消防救急業務の可否として検討されたものではない。患者移動の禁止は現行の法制定当時の社会防衛(防疫)優先の思想と貧弱な医療供給体制を考えれば止むを得なかった面もあるが、現在の医学的見地からは合理的理由は全く見いだせない。
現行の感染症患者搬送
伝染病予防法第9条の権限者は市町村長であるために、感染症患者搬送の一義的責任は市町村長にある。現在の法定伝染病などの搬送の現状を調査した。
東京都においては防疫所が2カ所設置されており、感染症患者の搬送には都衛生局を通じて同所に配備されている防疫車が対応することになっている。しかしさらに実情をみると、防疫車の出動は年間220回程度に止まり、消防救急が使用できない伝染病患者搬送および検体搬送に使われており、防疫所が平成8年より試行導入した精神患者護送件数年間590件に遠く及ばない。伝染予防法に基づく搬送を必要とするのは年間2000回程度で感染症には対応優先的対応をしている。
また一方、現在でも市町村がすべて感染性の患者搬送に適した専用車両、人員を常備しているとは限らず、(一部を除いて)これを有しない市町村は、民間患者移送車(民間救急車)などを借り上げて搬送しているのが実態であり、体制、消毒、防疫に対する医療知識の点で多いに問題があり、好ましいとはいえない。
長距離・特殊搬送
長距離搬送に類するものとして最近まで、成田空港から都立荏原病院に搬送する患者のアイソレーター仕様の患者搬送車が整備されていた。しかしこれも最近の知見では、危険とされているウイルス感染症(1類に相当)においてすら空気遮断まで図った高度隔離は医学的に必要を認めないことが明らかとなったために平成9年4月に同車は廃車となり、新たに成田空港には患者単身用のアイソレーターが導入された。このアイソレーターは、感染源となりうる出血などの体液や吐物、排泄物を救助者や車両内に接触させないことに主眼が置かれている。医学的見地から十分に検討を加えられており、現在知られている限りの感染症においては十分な伝搬防御性能があるとみられる。ただ空港を中心に高速かつ大量の国際交流が現実のものとなっている以上、アイソレーターを国際空港に配備することは必要であり合理性があろうが、各都道府県にまでアイソレーターを配置する必要があるか否かは感染症発生の予測とも関わり、今後の研究課題であると思われる。航空搬送についてはこれまで個々の発生症例について緊急性を認めた場合のみ自衛隊機、自治体機などでの搬送例があるが、基本的には感染症患者の搬送はできないことになっている。
世界における感染症患者搬送の現状
CDC (CENTER FOR DISEASE CONTROL)(米国)の感染症患者取扱いの指針を照会調査したが、新法で1類に相当するウイルス性出血熱など危険性の高いと考えられる感染症については搬送に関する指示、規定は見られなかった。また公的患者搬送機関であるREGAあるいは私的患者搬送会社であるSOS INTERNATIONAL(いずれもスイス)など、長距離国際患者移送に実績のある組織に照会も行ったが、いずれもこれら感染症患者の搬送については「経験がない、マニュアルもない」というものであり否定的であった。従って1類感染症患者搬送については感染症専門家の意見を十分に取り入れた上でわが国での指針を編み出さざるを得ない。また特に広域航空搬送を視野に入れると、これら先進諸国のノウハウはあれば非常に重要なものであると期待したが、現実に対応がないとすれば、わが国で導入するには慎重かつ綿密な検討は避けられない。なおこのような特殊な感染症は別にしても、2類感染症の感染症指定医療機関への搬送についてより合理的な搬送マニュアルを策定提示するために、欧米などの諸国の実情を今後さらに収集し検討すべきである。
今後の感染症患者搬送対応と問題点
感染症患者搬送のありかた
新法では1類、2類感染症患者については都道府県に対して感染症指定医療機関への入院搬送の義務を示しているが、その方法は省令に委ねられている(第21条、第26条)。たとえば設備のある特殊車を都道府県に新たに配置すべきであるのかどうか、他に委託することが可能であるかどうか、などその具体的な方策は基本計画に沿って個々の都道府県の感染症予防計画の中で制定されることになる(第10条)ので、その場合、新法の理念を踏まえたうえで、合理的(コストベネフィットも考慮)かつ医学的に妥当な基準を検討制定しなければならない。また搬送に関する計画は収容されるべき感染症指定医療機関の整備と表裏をなすものであるから、この整備計画と相伴って進める必要がある。さらに搬送も感染症指定医療機関への入院勧告と同様に強制力が作用することから、人権に配慮した法的手続きの明確化が求められる。特に医学的見地からは搬送における感染の防御(消毒、汚染処理、処置、衣服ほか)について具体的な指針が必要であり、これについてはCDCなど国際的に見て是認されている水準を維持しつつ、この研究班で「マニュアル/ガイドライン」を提示すべく更に検討を進める。
救急車での搬送にあたって
1類、2類感染症の診断がついた場合には都道府県に患者搬送責任が生じるとしても、現実には発症から初診病院までは現実に消防救急車が原因不明の発熱患者・黄疸患者などとして今後とも搬送に当たる(依頼される)と考えられるので、この中には危険性のある患者が含まれる可能性は常にある。また、今回の感染症規定の改訂でこれまで法定、指定伝染病となっていたものの一部がより危険の少ない3類、4類感染症と分類し直されたことにより、これらの一部は救急車で搬送されるであろう。また近年のO-157感染症事例でも明らかなように同時多数の患者発生に際しては、救急車が最も有力な患者搬送手段とされることは十分に予想される。 従って消防救急隊においても、少なくとも危険のない場合に関しては感染症患者搬送の対応力が求められ、隊員に対して消毒や感染防止防御取扱いについて知識の周知教育、資質と対処能力の向上、設備器材の供与および医療機関からの正確迅速な医療情報提供の確保について一層の整備が必要である。また特に後者に関しては医療機関(医師)の側の感染症への認識と搬送への配慮をより深める方策が欠かせないであろう。
広域立体搬送の可能性への検討
特定感染症指定医療機関は現在の施設では全国で大阪府泉佐野市の1施設に留まり、今後全国的に国によって整備されるとしても多数は望めない。高速交通時代の下、既知あるいは未知の危険な感染症の脅威は全国的である。従って危険な感染症を広域に亘って搬送する手段についても予め考慮しておくべきである。これについては前述のように諸外国に参考となるべき基準を求めることは困難であるものの、陸上(車両)あるいは航空(飛行機)を問わず、搬送者にとって医学的に安全を十分に確保され、しかも患者の医学的安全や心理的保全も得ることができる体制・構造をどのように確立するか、関係諸方面と検討を重ねなければならない。また長距離高速搬送として航空機搬送を考えた場合、現実的に飛行運用の主体となりうるのはヘリコプターにおいては民間あるいは自治体、固定翼機においては自衛隊(海上保安庁)に限られるとみられるが、仮に移送用アイソレーターが実用配備されるなど上記の医学的設備がなされたとしても、現時点においてはいずれも規制や諸事情により搬送実施は困難な状況にある。この点に鑑みて法の運用や責任を明確化することにより解決を図るべき課題である。
新感染症に対する搬送体制の考え方
現時点で未知でありながらも危険な感染症が将来出現することを見越して、新法では新感染症として特に章を設けて(第7章第45条以下)おり、この中で搬送に関しては第47条で都道府県知事に患者の入院移送義務を明記しているが、その具体的な方法は示されていない。これについては医学的に伝播経路や危険度が全く知られていない以上、予め対応基準を設けることははなはだ困難であるが、逆に何も対応策を置いておかなければ現実に発生したときに混乱と危険を増大させる恐れもある。患者の人権に配慮しかつ住民に徒な不安を与えないように配慮したうえで、しかるべき防御方策(当初1類感染症に準じる、医療廃棄物処理に格別の規定をおく、など)を検討提示しておく必要がある。またこれらは輸入感染症であるため、搬送や管理を含めて常に諸外国の情報収集に努める必要がある。
結論
公開日・更新日
公開日
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更新日
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