浸潤性膀胱がんの予後改善をめざした集学的治療の研究

文献情報

文献番号
200500507A
報告書区分
総括
研究課題名
浸潤性膀胱がんの予後改善をめざした集学的治療の研究
課題番号
H16-がん臨床-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
塚本 泰司(札幌医科大学医学部泌尿器科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 敦(札幌医科大学医学部泌尿器科学教室 )
  • 篠原 信雄(北海道大学医学部付属病院泌尿器科)
  • 羽渕 友則(秋田大学医学部泌尿器科学教室)
  • 冨田 善彦(山形大学医学部泌尿器科学教室)
  • 小松原 秀一(新潟県立がんセンター新潟病院泌尿器科)
  • 赤座 英之(筑波大学医学部泌尿器科学教室)
  • 西澤 理(信州大学医学部泌尿器科学教室)
  • 藤元 博行(国立がんセンター中央病院泌尿器科)
  • 庭川 要(静岡がんセンター泌尿器科)
  • 杉村 芳樹(三重大学医学部泌尿器科)
  • 小野 佳成(名古屋大学大学院医学研究科泌尿器科)
  • 小野 豊(大阪府立成人病センター泌尿器科)
  • 小川 修(京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学)
  • 平尾 佳彦(奈良医科大学泌尿器科)
  • 林 正(日赤和歌山医療センター泌尿器科)
  • 公文 裕巳(岡山大学大学院医歯学総合研究科泌尿器科病態学)
  • 筧 善行(香川大学医学部泌尿器科学教室)
  • 荒井 陽一(東北大学大学院医学系研究科泌尿器科)
  • 上田 昭一(熊本大学医学部泌尿器科学教室)
  • 中川 昌之(鹿児島大学医学部泌尿器科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
浸潤性膀胱癌の標準治療である根治的膀胱摘除+リンパ節郭清の補助療法としての術前化学療法(MVAC療法)の臨床的な位置づけを確立するための臨床研究を遂行した。さらに、術前化学療法、根治的膀胱摘除にともなうQOLの変化の調査および本疾患の臨床経過を予測しうるような指標の特定を試みる。さらに関連する付随研究も行う。
研究方法
1)上記の目的に向け、JCOG 臨床研究として多施設無作為化臨床試験を継続した。   
2)骨盤リンパ節郭清の意義の検討、②浸潤性膀胱癌に対する術前あるいは術後の化学療法の検討、③予後予測因子の臨床病理学的検討、さら④根治的膀胱摘除(尿路変向を含む)にかかわる術後早期合併症の検討、⑤高齢者における根治的膀胱摘除の検討を行った。

結果と考察
1)本年度は2005年11月末までの1年間で29例の登録があり、2006年3月
現在の登録症例の合計は計58例となっている。これまでのところ、プロトコール治療による重篤な有害事象あるいは未知の有害事象は発生していない。
2)①根治的膀胱摘除に伴う骨盤リンパ節郭清では摘出リンパ節の個数が多変量解析でも独立して予後に影響を与える要因となった。②浸潤性膀胱癌の一部の症例では、cis-platinを中心とした術前あるいは術後化学療法が明らかに生存率向上に寄与した。③リンパ節転移を予測しうるマーカーが見出された。④根治的膀胱摘除(尿路変向)の早期合併症は30%程度に認められたが、軽度あるいは臨床的に対処可能なものが多く、手術による治療効果を考慮すると十分許容可能なものと思われた。術前化学療法の有無は術後早期合併症の頻度に影響しなかった。⑤75歳以上の症例と74歳未満の根治的膀胱摘除(尿路変向を含む)における術後早期合併症を比較すると、重大な合併症はむしろ前者に少ない結果であった。
結論
1)臨床研究における2006年3月現在の登録症例の合計は計58例であった。プロトコール治療による重篤な有害事象あるいは未知の有害事象は発生していなかった。
2)付随研究では骨盤リンパ節郭清における摘出リンパ節の個数の意義、cis-platinを中心とした術前あるいは術後化学療法の生存率向上への寄与が明らかになった。基礎的研究からリンパ節転移を予測しうるマーカーが見出された。

公開日・更新日

公開日
2006-05-29
更新日
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