進行卵巣がんの集学的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200500506A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣がんの集学的治療に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-035
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 勝俣 範之(国立がんセンター中央病院)
  • 恩田 貴志(国立がんセンター中央病院)
  • 嘉村 敏治(久留米大学医学部)
  • 八重樫 伸生(東北大学医学部)
  • 喜多 恒和(防衛医科大学校)
  • 中西 透(愛知県立がんセンター)
  • 小西 郁生(信州大学医学部)
  • 岩坂 剛(佐賀大学医学部)
  • 星合 昊(近畿大学医学部)
  • 齋藤 俊章(国立病院機構九州がんセンター)
  • 落合 和徳(東京慈恵医科大学)
  • 平川 俊夫(九州大学医学部)
  • 波多江 正紀(鹿児島市立病院)
  • 日浦 昌道(国立病院機構四国がんセンター)
  • 竹原 和宏(国立病院機構呉医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
卵巣癌、卵管癌、腹膜癌を対象として、化学療法先行の治療法を標準治療の手術先行の治療法と比較するランダム化比較試験を行う前段階としてfeasibility studyを行った。
研究方法
適格規準は、(1)画像所見で卵巣、卵管、腹膜がんIII/IV期。(2)術前細胞診が上記に一致。(3)初回腫瘍縮小手術の対象と成りうる。(4)CA125 > 200 U/mlかつCEA < 20 ng/ml。(5)測定可能病変を有する。(6)年齢20-75才。(7)PS 0-3。(8)諸臓器機能が保たれている。
 登録後、診断的腹腔鏡を行い、悪性であること、原発が上記臓器であること、進行期がIII/IV期であること、組織型を確認する。その後1週以内に化学療法(TXL175 mg/m2 +CBDCA AUC6を手術前後に4コース、計8コース)を開始する。PD例を除き、4コース後にICS(腫瘍縮小手術)を行い、その後4コースの化学療法を行い、Primary endpointである完全腫瘍消失[CTまたはMRIで病変が消失し,CA125<20]率(閾値割合20%、期待割合40%)について評価する。登録例が診断的腹腔鏡後にて適格(正診)とされる割合(90%以上)もsecondary endpointとして検討する。目標登録数は56例であり、登録期間は1年である。
結果と考察
登録患者年齢は33-73歳(中央値 55歳)で、登録時の画像による進行期はIII期42例、IV期14例(腹腔鏡前ではIII期38例、IV期18例)であった。登録時PSは0が28例、1が18例、2が7例、3が3例であった。全例で、腹水、胸水、腫瘍穿刺液のいずれかの細胞診が陽性(腺癌)であった。
 診断的腹腔鏡で確認された進行期は、I期1例、2期2例、3B期4例、3C期31例、IV期18例であった。腹腔鏡時の原発臓器診断は全例適格で、生検の病理組織診断は、腺癌18例、漿液性腺癌28例、粘液性腺癌2例、類内膜腺癌5例で全例適格であった。腹腔鏡前診断の総合正診割合が90%以上であることが担保されたので(53/56 [94.6%]以上の条件をクリア)、ランダム化比較試験では診断的腹腔鏡を省略することになった。
 
 
結論
完全腫瘍消失割合は、CRFが提出された53例中18例で確認され、閾値割合を下回らないと結論され(最低17/53の条件をクリア)、ランダム化比較試験を行うことが決定された。第III相試験のプロトコールを完成させ、JCOGの最終審査に提出予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
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