切除不能膵がんに対する治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500501A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能膵がんに対する治療法の確立に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-030
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院内科)
研究分担者(所属機関)
  • 古瀬 純司(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)
  • 税所 宏光(千葉大学大学院医学研究院 腫瘍内科学)
  • 田中 克明(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 消化器病センター 消化器内科)
  • 大川 伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科 肝胆膵)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
  • 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
  • 舩越 顕博(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 消化器部 内科)
  • 中森 正二(国立病院機構大阪医療センター 近畿がんセンター 外科)
  • 糸井 隆夫(東京医科大学 消化器内科)
  • 井岡 達也(大阪府立成人病センター 検診部 消化器検診科)
  • 佐藤 俊哉(京都大学大学院医学研究科社会健康医学専攻・健康解析学講座 医療統計学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
切除不能膵がんの予後の改善を目指し、標準的な抗がん剤である塩酸ゲムシタビン(GEM)と新規抗がん剤であるS-1の併用療法の有用性を、GEMとの第III相試験にて検証する。また、第III相試験に先立ち、本併用療法の有効性と安全性を確認するため、第II相試験を実施し検証する。
研究方法
■第II相試験[対象症例]75歳未満、切除不能膵がんの未治療例、PS 0または1、骨髄・肝・腎などの主要臓器機能が保持され、十分な説明後に本人より文書で同意の得られた症例。[治療内容]GEMは1000mg/m2をday 1, 8に30分で静注投与し、S-1は1日量80mg/m2をday 1-14に連日経口投与する。これを3週毎に原疾患の悪化または毒性のため中止するまで継続する。[予定症例数]予定症例数を50例、症例集積期間を1年とする。■第III相試験[対象症例]第II相試験に準じて設定。[治療内容]症例登録時のランダム割付に従い、GEM+S-1群またはGEM群のいずれかの治療を実施する。[予定症例数]第II相試験の成績に基づき算出する。
結果と考察
■研究結果
 本研究課題は2004年6月14日に採択され第Ⅰ相試験の成績に基づき、第Ⅱ相試験の研究実施計画書を作成した。同年10月12日より登録を開始し、2005年7月5日に登録を完了した。現在、治療および観察継続中であるが、現在までに治療関連死亡は認めていない。本試験の成績解析終了後、第Ⅲ相試験を進める予定である。

■考察
切除不能膵がんの生存期間中央値は4-6ヶ月程度ときわめて不良であり、より有効な治療法の開発が切望されている。最近、本邦で開発された経口抗がん剤であるS-1が切除不能膵がんに対し優れた抗腫瘍効果を示すことが明らかにされ、保険承認されることが期待されている。標準的治療薬である塩酸ゲムシタビンとの併用療法は、患者の生存期間を延長する可能性があり、その成果は国際的にもきわめて価値の高いものになると思われる。本併用療法の第Ⅱ相試験は順調に進行し、すでに登録は終了している。成績解析終了後に第Ⅲ相試験を行うことが計画されている。
結論
切除不能膵がんの予後の改善を目指し、塩酸ゲムシタビンとS-1の併用療法の有用性を検証することを目的に、第Ⅱ相試験が順調に進められている。本試験の成績解析終了後、第Ⅲ相試験を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
-