子宮頸癌術後リンパ節転移に対する治療法適正化の研究

文献情報

文献番号
200500491A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮頸癌術後リンパ節転移に対する治療法適正化の研究
課題番号
H16-がん臨床-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 久夫(千葉大学大学院医学研究院放射線腫瘍学)
研究分担者(所属機関)
  • 梅咲 直彦(和歌山県立医科大学産婦人科)
  • 星合 昊(近畿大学医学部産婦人科)
  • 上坊 敏子(北里大学医学部産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子宮頸癌根治的手術後の病理学的検査で予後不良があると、一般的に術後骨盤部放射線治療が行われる。しかし、子宮頸癌術後照射の適応と利益・損失に関する無作為臨床試験は皆無である。リンパ節転移のある患者は術後照射を行っても予後は不良である。一方、放射線治療による副作用や障害は確実に発生する。本研究は(1)リンパ節転移に対する術後照射の利益と損失の関係を明確にする、(2)付随研究として子宮頸癌の治療法改善に関する研究を遂行する、ことを目的とする。
研究方法
本年度の研究方法は以下のように要約できる。(1)臨床試験の対象患者の登録を推進する。
(2)付随的研究として、(i)正常組織のFISH法を用いた感受性試験の確立、(ii)術前化学療法の有用性の検討、(iii)子宮頸癌特異的抗原の同定、(iv)他の化学療法剤の副作用の検討、を行う。
結果と考察
(1)臨床試験:本年度は研究3年目であり、患者の登録を促進し患者の集積につとめるたが、予定数の半数以下の登録となった。今後は婦人医を中心に本研究を進めて、患者登録を増やしていく必要があり、主任研究者の交代が必要と考えられた。(2)各種付随的研究から、子宮頸癌の悪性度診断に役立つ検査法、新たな治療法開発のための研究結果、放射線と併用する化学療法剤の問題点、放射線治療の副作用軽減のための検査法、等を明らかにした。これらの研究結果は将来、子宮頸癌の治療成績改善に役立つと考えられる。
結論
本年度の研究成果による結論は以下のように要約できる。(1) 子宮頸癌術後リンパ節転移患者に対する至適後療法を開発するため、術後照射の有用性を検討する臨床試験に患者登録を行ったが、充分な成果を上げられなかった。(2) 付随的研究として、i)正常組織細胞の放射線感受性に関する研究、ii)腺癌との比較からみた扁平上皮癌の特性、iii)婦人科腫瘍に対する新たな化学療法剤、iv)ヒト遺伝子多形と疾患の特性解析、v)術前化学療法の有用性、vi)早期癌の検出法の研究、を行った。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200500491B
報告書区分
総合
研究課題名
子宮頸癌術後リンパ節転移に対する治療法適正化の研究
課題番号
H16-がん臨床-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 久夫(千葉大学大学院医学研究院放射線腫瘍学)
研究分担者(所属機関)
  • 池田  恢(国立がんセンター中央病院放射線治療部)
  • 梅咲 直彦(和歌山県立医科大学産婦人科)
  • 植木  實(大阪医科大学産婦人科)
  • 植田 政嗣(大阪医科大学産婦人科)
  • 蔵本 博行(北里大学医学部産婦人科)
  • 上坊 敏子(北里大学医学部産婦人科)
  • 竹内 正弘 (北里大学薬学研究科臨床統計学)
  • 野澤 志朗(慶應義塾大学医学部産婦人科)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学医学部産婦人科)
  • 藤井多久磨(慶應義塾大学医学部産婦人科)
  • 西村 隆一郎(兵庫県成人病センター婦人科)
  • 星合  昊(近畿大学医学部産婦人科)
  • 渡辺  洋(近畿大学医学部産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子宮頸癌根治的手術後の病理学的検査で予後不良があると、一般的に術後骨盤部放射線治療が行われる。しかし、子宮頸癌術後照射の適応と利益・損失に関する無作為臨床試験は皆無である。リンパ節転移のある患者は術後照射を行っても予後は不良である。一方、放射線治療による副作用や障害は確実に発生する。本研究は(1)リンパ節転移に対する術後照射の利益と損失の関係を明確にする、(2)付随研究として子宮頸癌の治療法改善に関する研究を遂行する、ことを目的とした。
研究方法
上記目的を達成するために、(1)臨床試験計画書を作成し、対象患者の登録を推進した。(2)付随的研究として、(i)正常組織のFISH法を用いた感受性試験の確立、(ii)術前化学療法の有用性の検討、(iii)子宮頸癌特異的抗原の同定、(iv)他の化学療法剤の副作用の検討、を行った。
結果と考察
(1)臨床試験:初年度は計画書の作成、2年目から患者登録とした。しかし、化学放射線療法のCDDP投与量決定が必要となり、2年目に確認を行った。実際の臨床試験は2年目の後半からとなったが、予定数の半数以下の登録にとどまった。今後は婦人医を中心に本研究を進めて、患者登録を増やしていく必要があり、主任研究者の交代が必要と考えられた。(2)各種付随的研究から、子宮頸癌の悪性度診断に役立つ検査法、新たな治療法開発のための研究結果、放射線と併用する化学療法剤の問題点、放射線治療の副作用軽減のための検査法、等を明らかにした。これらの研究結果は将来、子宮頸癌の治療成績改善に役立つと考えられる。
結論
本年度の研究成果による結論は以下のように要約できる。(1) 子宮頸癌術後リンパ節転移患者に対する至適後療法を開発するため、術後照射の有用性を検討する臨床試験に患者登録を行ったが、充分な成果を上げられなかった。(2) 付随的研究として、i)正常組織細胞の放射線感受性に関する研究、ii)腺癌との比較からみた扁平上皮癌の特性、iii)婦人科腫瘍に対する新たな化学療法剤、iv)ヒト遺伝子多形と疾患の特性解析、v)術前化学療法の有用性、vi)早期癌の検出法の研究、を行った。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500491C

成果

専門的・学術的観点からの成果
現在、抗癌剤と同時併用放射線治療が広く行われている。この治療法は副作用を増強させることが多く、効果をあげるための至適併用法が不明である。本研究では線維芽細胞をカフェイン処理後、FISH法を用いて、副作用を発生しやすい患者の簡便な鑑別法を開発した。また、培養細胞を用いた基礎的研究から、至適同時併用法について検討した。本臨床試験では抗癌剤としてシスプラチンを用いたが、その他の抗癌剤についても、術前投与法や術後投与法で安全に使用できる量の検討を来ない、将来の臨床試験に備えた。
臨床的観点からの成果
子宮頸癌術後リンパ節転移に骨盤部術後照射の有用性に関する最終結果はまだ判明していない。現在、日常的に行われている治療が、患者のQOLを低下されるだけの可能性が高い。臨床試験を行う過程で、骨盤部術後照射と同時併用可能なシスプラチンの量を決定した。少量連日投与の場合は8mg/m2まで、週1回投与では35mg/m2まで、4週毎の場合は80mg/m2までは安全に使用できることを明らかにした。また、欧米と本邦では、骨盤部術後照射のQOLで、下肢の浮腫に対する重要性が異なること(正座のため)を明らかにした
ガイドライン等の開発
術後照射のように評価すべき病巣がない場合、臨床試験実施計画の作成に関する検討を行い、また、患者のQOLの客観的評価に関する判定法を検討した。過去の成績の解析や文献の解析から、前記項目に対して、適切な臨床試験計画書を作成した。今後、同様な臨床試験を行う場合、本プロトコールは参照すべき箇所が多く、有用であると考えている。
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
28件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
46件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-