再発高危険度群乳がんの予後改善を目指した標準的治療法確立に関する研究

文献情報

文献番号
200500488A
報告書区分
総括
研究課題名
再発高危険度群乳がんの予後改善を目指した標準的治療法確立に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 亨(医療法人社団圭友会浜松オンコロジーセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 向井博文(国立がんセンター東病院)
  • 中村清吾(聖路加国際病院)
  • 光森通英(京都大学大学院放射線治療)
  • 岩田広治(愛知県がんセンター乳腺科)
  • 大野真司(九州がんセンター)
  • 青儀健二郎(四国がんセンター)
  • 津田 均(防衛医科大学校第二病理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発乳がんに対する術前化学療法とそれに続く放射線照射の有効性と安全性を評価する。
研究方法
【対象】浸潤性乳がん(浸潤性乳管がん、特殊型)と診断された女性、臨床病期I期-IIIA期、乳腺エコーによる腫瘍径2cm以上5cm以下、同側乳房内の多発病変を持つ場合はブースト照射の計画標的面積(PTV)に含まれる、同時両側乳がんを有さない、20歳以上70歳以下、PS (ECOG) 0、1、化学療法、放射線照射の既往がない、適性臓器機能を有する、試験参加に関する患者本人の文書同意
【治療方法】
化学療法→術前放射線療法→手術
【評価方法】
手術摘出検体における病理学的完全緩解率

結果と考察
乳がん治療では、早くから集学的治療が実践されてきた。すなわち、外科手術、放射線治療といった局所治療と、抗がん剤、ホルモン剤、抗体といった薬物療法を駆使した全身治療を効果的に併用する治療方法が標準的治療として確立している。本研究では、このような一般臨床の診療形態を基盤として、さらに近年の薬物療法の進歩に支えられた術前抗癌剤・放射線療法という新しい取り組みを科学的に評価することを目的としている。見方を変えれば、抗癌剤治療、放射線治療、外科手術という複数の治療手段の併用を総合的に評価する臨床研究である。乳がん領域では、薬物療法を対象とした臨床試験や治験は数多く行われており、乳がん以外にも内科、外科などの単一専門領域を対象とした多施設臨床試験は数多い。しかし本研究のように、乳がん診療専門施設におけるチーム医療を前提とした多施設共同臨床試験は、初の試みでありその成果が期待できる。
結論
再発高危険度群乳がんの予後改善のためには薬物療法、放射線、外科手術といった治療方法を有効に併用することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
200500488B
報告書区分
総合
研究課題名
再発高危険度群乳がんの予後改善を目指した標準的治療法確立に関する研究
課題番号
H16-がん臨床-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 亨(医療法人社団圭友会浜松オンコロジーセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 向井 博文(国立がんセンター東病院)
  • 中村 清吾(聖路加国際病院)
  • 光森 通英(京都大学大学院放射線治療)
  • 岩田 広治(愛知県がんセンター乳腺科)
  • 大野 真司(九州がんセンター)
  • 青儀 健二郎(四国がんセンター)
  • 津田 均(防衛医科大学校第二病理)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳癌の初期治療の目的は治癒で、患者及び腫瘍の持つ予後因子・予測因子の評価が重要。治療手段である局所療法としての外科手術・放射線照射、全身治療としての細胞毒性抗がん剤・ホルモン療法・モノクローナル抗体療法等の薬物療法から必要な治療を選択、最適な順序で適応することで治癒の達成を目標とする。初期治療の約6割の患者は10年以上の無再発生存が得られるが、4割は遠隔臓器に転移を来し、その後の治癒は難しく初期治療での徹底治療が必要。本研究では「原発乳がんにおいて非外科治療により外科手術を割愛しうるか」を検証。
研究方法
対象症例:次の規準を全て満たす1)組織診(Core needle biopsy)にて浸潤性乳がんと診断された女性2)臨床病期1期-3A期 3)乳腺エコーによる腫瘍径2cm以上5cm以下4)同側乳房内の多発病変を持つ場合はブースト照射の計画標的面積に含まれる5)同時両側乳がんを有さない6)20歳以上70歳以下7)PS (ECOG) 0、1 8)化学療法・放射線照射の既往がない9)適性臓器機能を有する10)試験参加に関する患者本人の文書同意 治療方法:1)化学療法:AC(adriamycin 60mg/m2, cyclophosphamide 600mg/m2)3週間毎に4サイクル、paclitaxel 80mg/m2 7日毎に12サイクル2)術前放射線療法:45グレイ(16分割+腫瘍部位にboost 10Gy)3)手術:各施設で手術術式、病理学的完全効果の判定が適切に実施しうるように検体採取。
結果と考察
結果:1)予定登録数:104例2)H16年10月-17年4月までに108症例登録→終了3)追跡期間:登録終了後4.5年 試験計画の科学・倫理性に関して第三者機関の審査を受け承認。共同臨床試験を行う体制作りが完成。考察:乳がん治療では、外科手術・放射線治療等の局所治療と抗がん剤・ホルモン剤・抗体等の薬物療法による全身治療を併用する治療方法が標準的治療として確立。これを基盤とし、近年の薬物療法の進歩に支えられた術前抗癌剤・放射線療法という新しい取り組みを科学的に評価することを目的とし、抗癌剤治療・放射線治療・外科手術という複数の治療手段の併用を総合的に評価。多施設共同臨床試験は初の試みで成果が期待できる。プロトコールは科学・倫理性に対し十分な検討をし、登録症例について規定の治療・経過観察・経過報告を行う予定。
結論
抗がん剤治療→放射線照射→外科手術は安全に実施可能な集学的治療方法であり、最終評価をまってその普及の適否を評価、効果的医療の確立に寄与することが重要。

公開日・更新日

公開日
2006-11-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500488C

成果

専門的・学術的観点からの成果
乳がんの腫瘍生物学の理解が深まり、予後因子、予測因子に基づいた各患者に対する個別化治療が推進されている現状である。本研究は、微少転移を想定した近年の乳がん治療体系において、抗がん剤による全身治療、放射線による局所治療により、従来の外科手術中心の治療アプローチを検証するという点において重要な示唆を提示している。
臨床的観点からの成果
乳がん診療には集学的治療が必要である。中でも近年、抗がん剤、ホルモン剤といった薬物療法が主体となっている。しかるに我が国では、薬物療法の専門的担い手である腫瘍内科医の育成が大幅に立ち後れているため、患者初診時より診療を担当している外科医が薬物療法に携わっている。本研究は、抗がん剤治療→放射線治療→外科手術により、各専門家間の有機的な連携が必要なことを十分に認識させることができ、今後の各専門家の適正配置を推進することができる点で需要な成果が得られた。
ガイドライン等の開発
本研究ではガイドラインの開発には関与していないが、別研究として開発された乳がん診療ガイドラインとの整合性を図りつつ研究が進められた。
その他行政的観点からの成果
とくになし
その他のインパクト
集学的治療推進のためのチーム医療の拡充に寄与した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-