がん予防対策のためのがん罹患・死亡動向の実態把握の研究

文献情報

文献番号
200500478A
報告書区分
総括
研究課題名
がん予防対策のためのがん罹患・死亡動向の実態把握の研究
課題番号
H15-3次がん-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 津熊秀明(大阪府立成人病センター・調査部調査課)
  • 柴田亜希子(山形県立がん・生活習慣病センター)
  • 三上春夫(千葉県がんセンター研究局疫学研究部)
  • 岡本直幸(神奈川県立がんセンターがん予防・情報研究部門)
  • 早田みどり(財団法人放射線影響研究所・疫学部(長崎))
  • 片山博昭(財団法人放射線影響研究所・情報技術部(広島))
  • 大瀧慈(広島大学原爆放射能医学研究所)
  • 水野正一(東京都老人総合研究所)
  • 丸亀知美(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
  • 渋谷大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 小越和栄(新潟県立がんセンター新潟病院がん予防総合センター新潟県がん登録室)
  • 藤田学(福井社会保険病院)
  • 伊藤秀美(愛知県がんセンター研究所)
  • 水田和彦(滋賀県立成人病センター)
  • 岸本拓治(鳥取大学医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 甲佐和宏(財団法人佐賀総合保健協会)
  • 仲程京子(沖縄県衛生環境研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
114,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域がん登録の標準化を進めると同時に、院内がん登録の整備に関しても、国立がんセンターをモデル施設としてシステムを構築する。また、システムを全国の院内がん登録に普及させ、さらに教育研修に活用する仕組みの開発・応用へと発展させる。本研究により、がん死亡データを国立がんセンターに集約し、集計値を公開することにより、それぞれの地域のがんの実態に基づいた政策判断が可能になる。
研究方法
事前調査に基づいて、15府県(岡山、宮城、長崎、新潟、山形、滋賀、熊本、福井、鳥取、佐賀、神奈川、大阪、千葉 、愛知、沖縄)を支援対象地域とし、腫瘍個別データを収集した。支援15地域のうち、基準を満たす11登録を、2000年値の推定に利用した。
地域がん登録中央登録室における処理手順の標準化として、大規模人口県では独自システムの改修、中小規模人口県では、放射線影響研究所のシステムを基本として開発したものを導入した。院内がん登録は国立がんセンターをモデルとして整備した。人口動態統計に基づくがん死亡率(1958-2003年)データを整理すると共に、既存の死亡率データを用いて動向分析を行った。
結果と考察
全国値推計参加11登録の年齢調整罹患率(人口10万対、1985年日本人モデル人口で調整)は、男374.5、女233.7となり、推計した罹患率は、従来の値と概ね一致していた。
標準データベースシステムは、山形県がん登録において動作および運用可能性を確認し、さらなるシステム化を進行中である。標準化移行作業での問題点を整理し、他地域での作業効率化を図る。拠点病院向けに開発したシステムに、登録対象発見プログラム(Casefinder)を追加した。標準システム・手順書を開発し、がん登録士の教育研修システムを確立することができる。年齢調整死亡率は、男性の全がん、肺、肝臓、大腸、および膵臓、女性の大腸および肺が1990年代まで増加した後、ほぼ横ばいに推移し、男性の胃がん、女性の全がんおよび胃がんは一貫した減少傾向を示した。
結論
今後とも、登録手順の標準化を進め、登録精度を高める必要がある。登録精度を高めるためには、法的な整備や院内がん登録との連携など、幅広い分野での協力体制が必要となる。データを一元管理し、公開することで、根拠に基づいたがん対策の企画立案・評価が可能になる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200500478B
報告書区分
総合
研究課題名
がん予防対策のためのがん罹患・死亡動向の実態把握の研究
課題番号
H15-3次がん-036
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 津熊秀明(大阪府立成人病センター・調査部調査課)
  • 柴田亜希子(山形県立がん・生活習慣病センター)
  • 三上春夫(千葉県がんセンター研究局疫学研究部)
  • 岡本直幸(神奈川県立がんセンターがん予防・情報研究部門)
  • 早田みどり(財団法人放射線影響研究所・疫学部(長崎))
  • 片山博昭(財団法人放射線影響研究所・情報技術部(広島))
  • 大瀧慈(広島大学原爆放射能医学研究所)
  • 水野正一(東京都老人総合研究所)
  • 丸亀知美(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
  • 渋谷大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 小越和栄(新潟県立がんセンター新潟病院がん予防総合センター新潟県がん登録室)
  • 藤田学(福井社会保険病院)
  • 伊藤秀美(愛知県がんセンター研究所)
  • 水田和彦(滋賀県立成人病センター)
  • 岸本拓治(鳥取大学医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 甲佐和宏(財団法人佐賀総合保健協会)
  • 仲程京子(沖縄県衛生環境研究所)
  • 味木和喜子(大阪府立成人病センター)
  • 陶山昭彦(財団法人放射線影響研究所・疫学部(長崎))
  • 金子聡(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
  • 松田 徹(山形県立がん・生活習慣病センター・がん対策部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域がん登録・院内がん登録を国策として強力に推進、統合化することが本研究の目的である。全国がん罹患推計の基盤となる地域がん登録中央登録室の標準化が推進されることが期待され、さらに院内がん登録のシステムを構築し、それを教育研修に活用する仕組みの開発・応用へと発展させる。また、がん死亡データを国立がんセンターに集約し、集計値を公開することにより、がんに関する政策判断を可能とする。
研究方法
初年度は、各地域がん登録中央登録室における処理手順を整理し、2年目は、地域がん登録が将来的に達成しようとする条件(目標)と、現時点で一定水準を満たしていると判断する条件(基準)を設定する。また登録標準項目の決定および標準処理手順マニュアルの作成をする。3年目は、15府県を支援対象地域として腫瘍個別データを収集し、そのうち精度基準を満たす11登録を、2000年値の推定に利用する。マニュアルの整備を進め、教育、研修システムの基礎資料とする。人口動態統計に基づき、がん死亡動向を部位別に検討する。
結果と考察
初年度は、地域がん登録中央登録室における標準作業手順策定に向けての基礎資料を作成した。2年目には今後10年間で達成すべき「目標」と現段階において達成されるべき「基準」について、8項目を挙げた。また、標準登録票25項目、第1期基準モニタリング項目12項目を定めた。3年目に推計した2000年の年齢調整罹患率は、男374.5、女233.7となった。標準データベースシステム開発は、登録票・死亡票の入力、個人同定指標の照合と、登録マスタファイル、個人同定指標ファイルの保管管理までは実装を完了し、山形県がん登録において運用可能性を確認した。
国立がんセンター中央病院の院内がん登録をモデルとして標準化を行うことで、地域間比較や正確な全国罹患率推計が可能となり、実務者の教育研修が容易となる。
人口動態統計に基づくがんの性年齢別死亡率について、部位別に1960-2000年までの動向を分析し、部位や性別による増加・減少の違いを確認した。
結論
地域がん登録標準化の第一歩を開始した。国立がんセンターの院内がん登録を整備する事により、地域がん診療拠点病院向けに作成した標準登録項目の普及促進を目指す。既存のがん統計を一元管理し、動向を分析、公表することにより、質の高いがん統計のモニタリングが可能となる。

公開日・更新日

公開日
2006-05-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500478C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域がん登録標準化を大きく推進した。具体的には、今後10年間で達成すべき「目標」と現段階において達成されるべき「基準」について、8項目を挙げ、標準登録票25項目、第1期基準モニタリング項目12項目を定めることができた。さらに、国立がんセンターの院内がん登録を整備し、地域がん診療拠点病院向けに作成した標準登録項目の普及促進と実務者の教育研修資料の作成に貢献した。また、罹患率、死亡率の推計、動向分析を実施し、結果を公開する態勢を整えた。
臨床的観点からの成果
国立がんセンター中央病院の院内がん登録をモデルとした標準化および標準システムを導入することで、院内でのがんデータの管理を簡便かつ明確なものとした。また、精度の高い院内がん登録に基づいた地域間比較や正確な全国罹患率推計等のがん統計を一元管理し、公表することにより、臨床での医療方針決定の際に参照することができる情報提供システムの基礎を構築した。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
2004年9月6日付けの朝日新聞に、16年度に研究班で実施した事前調査の結果に関する記事が掲載された。内容として、わが国の地域がん登録の精度で、世界的に高水準である米国がん登録に匹敵しているのは福井県のみであり、早急に国家事業としての登録態勢の整備が必要であるという旨が紹介されている。

発表件数

原著論文(和文)
35件
原著論文(英文等)
62件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
70件
学会発表(国際学会等)
32件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sobue T
An Epidemiological Aspect of Lung Cancer -Increase in mortality and anti-smoking measures-
JMAJ  (2003)
原著論文2
Ajiki W, Tsukuma H, Oshima A
Cancer incidence and incidence rates in Japan in 1999: Estimates based on data from 11 population-based cancer registries.
Japanese Journal of Clinical Oncology  (2004)
原著論文3
Verdecchia A, Mariotto A, Ajiki W(5/5) et al.
Comparison of stomach cancer incidence and survival in four continents.
Eur J Cancer  (2003)
原著論文4
津熊秀明,味木和喜子,大島明
胃癌の時代的変遷-疫学の立場から-
胃と腸  (2005)
原著論文5
横山紘一, 松田徹, 佐藤幸雄
山形県がん登録最近15年間の生存率と死因調査
山形県医師会報  (2003)
原著論文6
柴田亜希子, 高橋達也, 大内憲明 他
地域がん登録を用いた視触診による乳がん検診の評価
日本公衆衛生雑誌  (2005)
原著論文7
三上春夫,岡本直幸,大島明 他
地域がん登録からみた中皮腫の罹患数および罹患率の推移?千葉県、神奈川県、大阪府、長崎県の協同集計より
JACR Monograph  (2006)
原著論文8
岡本直幸
がん専門施設における胃癌生存率の格差
医学のあゆみ  (2004)
原著論文9
Sauvaget C, Lagarde F, Soda M(4/6) et al.
Lifestyle Factors, Radiation and Gastric Cancer in Atomic-Bomb Survivors (Japan)
Cancer Causes and Control  (2005)
原著論文10
西 信雄, 杉山裕美, 片山博昭(4/7) 他
広島市・広島県におけるがん登録の現状と課題
JACR Monograph  (2005)
原著論文11
陶山昭彦, 早田みどり
サーベイランスと疾病登録--地域がん登録と原爆被爆者コホート
放射線科学  (2003)
原著論文12
陶山昭彦, 早田みどり
放射線疫学に関連する疫学指標-死亡率、罹患率および有病率
放射線科学  (2003)
原著論文13
Yanagihara H, Ohtaki M
Knot- Placement to avoid over fitting in B-spline scedastic smoothing
Communications in Statistics, Simulation and Computation  (2003)
原著論文14
Imamura Y, Mizuno S
Cancer statistics digest: Mortality trends of rectal cancer in Japan: 1960-2000
Jpn J Clin Oncol  (2004)
原著論文15
Yoshimi I, Mizuno S
Mortality trends of Hematologic Neoplasms (Lymphoma, Myeloma, and Leukemia) in Japan (1960-2000): with Special Reference to Birth Cohort
Jpn J Clin Oncol  (2004)
原著論文16
Kaneko S, Ishikawa K, Yoshimi I et al.
Projection of lung cancer mortality in Japan
Cancer Sci  (2003)
原著論文17
Kaneko S, Sobue T
Mortality Trend of all Cancer Sites in Japan: 1960-2000
Jpn J Clin Oncol  (2003)
原著論文18
Kaneko S, Yoshimi I
Mortality trend of stomach cancer in Japan: 1960-2000
Jpn J Clin Oncol  (2003)
原著論文19
Marugame T, Mizuno S
Comparison of prostate cancer mortality in five countries: France, Italy,Japan, UK and USA from the WHO mortality database (1960-2000)
Jpn J Clin Oncol  (2005)
原著論文20
Marugame T, Sobue T
Mortality trend of ovarian cancer in Japan: 1960-2000
Jpn J Clin Oncol  (2003)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-