癌の新しい診断技術の開発と治療効果予測の研究

文献情報

文献番号
200500469A
報告書区分
総括
研究課題名
癌の新しい診断技術の開発と治療効果予測の研究
課題番号
H16-3次がん-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
金子 安比古(埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 林 慎一(東北大学医学部保健学科基礎検査学講座)
  • 角 純子(埼玉県立がんセンター臨床腫瘍研究所 )
  • 土屋 永寿(神奈川県立がんセンター臨床研究所)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
14,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
染色体異常とWT1, IGF2異常との関係を調べ,ウイルムス(WT)腫瘍の発生機構を解明する。乳癌の個別化内分泌療法のために、エストロゲン(ES)応答性アレイチップやES反応性GFP導入細胞による診断法を開発する。癌患者の血清NM23蛋白質を測定し予後との関係を調べる。NM23高値患者の予後が不良な理由を明らかにする。肺癌において,癌関連遺伝子異常を分析し,臨床病理学的特徴との関係を示す。RT-LAMP法を用いた簡便、迅速、高感度な、がんの遺伝子検査法を開発する。
研究方法
WT腫瘍43例を対象にCGH・染色体, WT1, IGF2のLOIとLOH分析を行った。ES応答性カスタムアレイチップと3次元アレイチップを作成した。乳癌細胞と周囲間質細胞のES応答性を評価する系を確立した。婦人科癌患者の血清NM23蛋白質をELISA法にて測定した。NM23蛋白質を正常血液細胞と白血病細胞に添加し,増殖能やサイトカイン発現を調べた。非小細胞肺癌313例のp53変異,K-ras変異、臨床所見を分析した。RT-LAMP法により慢性骨髄性白血病のbcr-abl遺伝子を検出した。
(倫理面への配慮)研究計画については、埼玉県立がんセンター倫理委員会の承認を受けた。
結果と考察
WT腫瘍をWT1異常群,IGF2 LOH群,IGF2 LOI群,IGF2 ROI群に分類した。11q-, +12、16q-の頻度はIGF2 LOI群に高かった。WT1異常群とIGF2 LOI群は異なるgenetic/epigenetic pathwayを経て発生する。乳癌内分泌療法の効果を予測する蛋白質を発見した。乳癌細胞のES反応性と間質細胞のES活性は患者間で大きな差が見られた。婦人科癌患者の血清NM23蛋白質を測定し、卵巣癌に高値例を認めた。NM23蛋白質で処理すると正常血液細胞と白血病細胞にサイトカインが誘導され,それが白血病細胞の増殖を促進した。非小細胞肺癌のp53およびK-ras変異を分析し、両変異をもつ患者の予後が最も不良であることを示した。RT-LAMP法により、bcr-abl遺伝子を迅速に定量できた。
結論
WT腫瘍はWT1,IGF2,その他の異常で発生する.乳癌内分泌療法の効果予測のために3次元アレイ,乳癌細胞とその間質細胞の評価系を開発した。NM23蛋白質は正常細胞と白血病細胞にサイトカインを誘導し,その増殖を促進する。p53およびK-ras変異は肺腺癌の予後因子である。RT-LAMP法により、bcr-abl遺伝子は迅速に定量できる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-