文献情報
文献番号
200500468A
報告書区分
総括
研究課題名
医療費削減と患者負担軽減をめざした癌の新しい分子遺伝学的診断法の開発
課題番号
H16-3次がん-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
森 正樹(九州大学・生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
個々の癌患者の再発予測が可能になれば、抗癌剤治療が必要な患者のみを選択できる可能性があり、不要な患者への投与を回避できることにより、医療費の軽減が実現する。われわれは再発予測の指標として、subclinical levelでの診断を目指し末梢血中および骨髄中の微量癌の存在に注目し、平成17年度までに厚生労働省科学研究費補助金(がん克服戦略研究事業)により、最終目標2000例の乳癌・消化器癌における末梢血・骨髄の微量癌検出を開始した。
研究方法
1) 乳癌細胞6株、胃癌細胞11株、大腸癌細胞10株、非上皮系細胞8株を対象にして、CEA, CK7, CK18, CK19, CK20, Mam, Muc1遺伝子を標的遺伝子候補にしたRT-PCRを行い、最適なマーカーを決定した
2) 乳癌および3)胃癌症例において遊離癌細胞(ITC)検出の至適マーカーを決定。ITCの発現の有無と再発・予後との関係を明らかにする。
2) 乳癌および3)胃癌症例において遊離癌細胞(ITC)検出の至適マーカーを決定。ITCの発現の有無と再発・予後との関係を明らかにする。
結果と考察
(1)CK7が胃癌、乳癌いずれにおいても感受性、特異性ともに高く最適と考えられた。
(2) 乳癌症例において、 CK7を標的遺伝子にした解析の結果、術後1年経過した633症例に限り、末梢血液におけるCK7陽性200症例は陰性433症例に比較して、統計学的有意差を持ち予後が悪いことが明らかになった。
(3)胃癌はCEA、CK7、CK19を標的にして910例について末梢血中および骨髄中ITCの臨床的意義を明らかにした。その結果stage Iからstage IVに至るまで、末梢血液および骨髄においてCEA、CK19またはCK7のうち少なくとも1種類は30-40%の発現を認めた。われわれはRT-PCR法でしばしば問題となる偽陽性あるいは偽陰性について最大限の善処をしている。
(2) 乳癌症例において、 CK7を標的遺伝子にした解析の結果、術後1年経過した633症例に限り、末梢血液におけるCK7陽性200症例は陰性433症例に比較して、統計学的有意差を持ち予後が悪いことが明らかになった。
(3)胃癌はCEA、CK7、CK19を標的にして910例について末梢血中および骨髄中ITCの臨床的意義を明らかにした。その結果stage Iからstage IVに至るまで、末梢血液および骨髄においてCEA、CK19またはCK7のうち少なくとも1種類は30-40%の発現を認めた。われわれはRT-PCR法でしばしば問題となる偽陽性あるいは偽陰性について最大限の善処をしている。
結論
乳癌と胃癌において上皮系遺伝子をマーカーにおいた解析では、癌腫の違いによりITC検出の臨床的意義が異なる可能性が示唆された。乳癌症例で解析可能であった症例は855例であったが、実際は1500例を越える症例を集積し、PCRでの発現を確認している。さらに、1年間の経過観察期間を設けることで、遊離癌細胞の臨床的意義が明らかになることが期待される。今後、さらなる症例数の増加と経過観察期間の延長が必要である。
一方、胃癌に関しては、上皮系マーカー以外に真の転移能を予測することが可能なマーカーを明らかにする必要があると考えられた。
一方、胃癌に関しては、上皮系マーカー以外に真の転移能を予測することが可能なマーカーを明らかにする必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
-