文献情報
文献番号
200500467A
報告書区分
総括
研究課題名
革新的な診断技術を用いたこれからの肺がん検診手法の確立に関する研究
課題番号
H16-3次がん-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 隆一郎(大阪府立成人病センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 曾根 脩輔(長野県厚生農業協同組合連合会 中南信地区がん検診センター)
- 望月 輝一(愛媛大学医学部 放射線医学教室)
- 長尾 啓一(千葉大学総合安全衛生管理機構)
- 新妻 伸二(新潟労働衛生医学協会 プラーカ健康増進センター)
- 吉村 明修(日本医科大学 教育推進室)
- 中川 徹(日立健康管理センタ)
- 西井 研治(岡山県健康づくり財団付属病院)
- 岡本 直幸(神奈川県立がんセンター 臨床研究所)
- 佐藤 雅美(宮城県立がんセンター 医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
末梢型肺がんを対象とした低線量CT(研究A)と、肺門型肺がんを対象とした喀痰細胞診(研究B)の有効性を、肺がん死亡率減少効果という尺度で検討することを研究目的とした。
研究方法
(研究A)本年度はCT検診発見肺癌312例の生存率・繰り返し検診によるstage shiftなどを評価した。生存率は全死因死亡をendpointとし、男女別・組織型別・腫瘍径別に解析した。stage shiftの解析には、臨床病期I期とII期以上に分けて、初回、2回、3回以上について男女別に発見率を比較した。
(研究B)宮城県の平成元年肺がん検診受診者のうち男性重喫煙者で、喀痰細胞診を受診した10,219人を母集団とした症例対照研究を実施した。平成4-12年までの死亡時年齢40-79歳の肺癌死亡者241例を症例と定義し、各症例と性・喫煙・居住区をマッチさせた対照1,402例を選択した。検診未受診を基礎リスクとし、検診受診による肺癌死亡リスクを測定した。
(研究B)宮城県の平成元年肺がん検診受診者のうち男性重喫煙者で、喀痰細胞診を受診した10,219人を母集団とした症例対照研究を実施した。平成4-12年までの死亡時年齢40-79歳の肺癌死亡者241例を症例と定義し、各症例と性・喫煙・居住区をマッチさせた対照1,402例を選択した。検診未受診を基礎リスクとし、検診受診による肺癌死亡リスクを測定した。
結果と考察
(研究A)男性で76.1%、女性で83.0%の非常に高い5年生存率を示した。この効果は腺癌のみならず、他の組織型にも同様に認められた。腫瘍径別では、1cm未満では一例も死亡は観察されず、1cm以上から3cm未満ではほぼ同じ生存率を示した。これはあまり小さな腫瘍を見つける必要のないことも示唆する成績である。またCT検診の繰り返し受診により男女ともI期のみならず、II期以上の発見率も半減することが示された。特に女性での変化は著しく、年1回検診が非効率的であることが示唆された。(研究B)検診未受診を基礎リスクとし、受診(胸部単純X線あるいは 喀痰、胸部単純X線、胸部単純X線と喀痰両方)による肺癌死亡リスクを測定すると、症例の確定診断12ヶ月以内の喫煙訂正オッズ比はそれぞれ0.68(0.49-0.93)、0.69 (0.45-1.05)、0.70(0.48-1.02)であった。
結論
(研究A)CT検診発見肺癌は非常に高い生存率を示すが、この効果は腺癌のみならず他の組織型でも明らかであった。腫瘍径1-3cmの生存率はほぼ同じであり、あまり小さな肺癌を見つける必要のないことが示唆された。
(研究B)喀痰細胞診の有効性評価の症例対照研究を実施し251例の症例と1,402例の対照を確定した。来年度胸部単純X線の受診を基礎リスクとし、喀痰細胞診受診による肺癌死亡オッズ比を測定する予定である。
(研究B)喀痰細胞診の有効性評価の症例対照研究を実施し251例の症例と1,402例の対照を確定した。来年度胸部単純X線の受診を基礎リスクとし、喀痰細胞診受診による肺癌死亡オッズ比を測定する予定である。
公開日・更新日
公開日
2006-05-11
更新日
-