文献情報
文献番号
200500464A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい診断機器の検診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究
課題番号
H16-3次がん-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
斉藤 大三(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
- 中村 哲也(獨協医科大学病院光学医療センター内視鏡部門)
- 石川 勉(栃木県立がんセンター 画像診断部)
- 杉村 和朗(神戸大学大学院医学系研究科放射線医学分野)
- 井上 登美夫(横浜市立大学大学院医学研究科 放射線医学)
- 中山 富雄(大阪府立成人病センター 調査部疫学課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1)狭帯域分光内視鏡(Narrow Band Imaging : NBI)、(2)カプセル内視鏡、(3)腹部超音波、(4)MRI、(5)FDG-PET検査の診断能の検証・対象臓器の拡大および(6)これらの医療経済的評価の検討から、効果的かつ効率的な新しい検診法の開発を目的とする。
研究方法
(1)「中・下咽頭表在がん」および「表在性の食道内多発がん」に対する診断能を多施設共同ランダム化比較試験にて検討する。(2)満16歳以上の小腸疾患が疑われる患者、特に原因不明の消化管出血患者について検討した。(3)人間ドック受診31,534名を対象に、従来法とTHI法の診断能を比較検討した。(4)拡散強調画像(DWIBS)の描出能、高速撮像法の子宮癌の検診への応用を調べた。前立腺癌では、T2強調像と拡散強調像を病理組織結果と比較した。(5)全国アンケート調査から、施設別の年間検診件数、検診項目、精査率について独自に分析した。また、PET検診データの読影者間の再現性を検証した。(6) 20,142名を対象として、FDG-PET検査とPET以外の従来法のがん発見率について検討した。
結果と考察
(1)平成17年12月20日、320例を集積し登録を終了した。(2)原因不明消化管出血46例中、小腸腫瘍の発見率は30%(9/30、悪性は5/9)であった。「滞留」は1例のみであった。(3)THI法は、従来法に比べ有所見率、要精検率、癌発見率が高く、また腫瘤性病変の検出能、鑑別診断能に優れていた。 (4)自由呼吸下のDWIBSにおいても評価可能な画像が得られた。高速撮影法は正常子宮において従来法を相補できた。前立腺のMRI、MRスペクトロスコピーは、生検を凌ぐ検出率、特異度が得られた。(5)1施設あたり年間検診数は平均約1500件、要精査率(1-44%)および併用検査種に施設間差がみられた。(6)全がんに対するPETの感度0.67、特異度0.95、PET以外の感度0.89、特異度0.92であった。
結論
(1)データの回収、クリーニング後、解析予定である。(2)小腸用カプセル内視鏡は食道・胃・大腸の検診には適していないが、原因不明消化管出血例に対する検診法として安全かつ有用である。(3)THI法は腹部超音波検診の精度向上に有用である。(4) DWIBは全身検索に有用性が高い、またMRIを子宮癌、前立腺癌の検診に応用し得る可能性が見出せた。(5)PETがん検診においては、判定基準の標準化が必要である。(6)PET検査は感度の上で既存の検査法を下回り、単独での検診への応用は適切ではない。
公開日・更新日
公開日
2006-04-07
更新日
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