文献情報
文献番号
200500452A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト腫瘍の発生と進展に関わる分子病態の解析とその臨床応用
課題番号
H16-3次がん-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
立松 正衞(愛知県がんセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 瀬戸 加大(愛知県がんセンター研究所)
- 稲垣 昌樹(愛知県がんセンター研究所)
- 長田 啓隆(愛知県がんセンター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
消化器がん転移の分子病態、造血器腫瘍および肺がんなどの遺伝子異常のがん発生に於ける役割、ならびにがんの浸潤や悪性化における細胞骨格分子の役割の解明を試み、ヒト腫瘍の発生と進展に関わる分子病態の解析とその臨床応用を目的とする。
研究方法
1.消化器がん転移における分子病態をTNF-αノックアウトマウス等を用いてTNF-αの役割や胃がんHER2高発現細胞株を樹立し、分子標的治療を検討する。
2.MALTリンパ腫発症に関与するAPI2-MALT1キメラ遺伝子の標的遺伝子の検索や、array CGH法を用いて、造血器腫瘍の病型特異的なゲノム異常を明らかにする。
3.肺癌における神経内分泌分化を誘導する転写因子ASH1の発現を検討する。
4.細胞分裂期の制御に必須な分裂期キナーゼ群のCdk1によるINCENPリン酸化反応の生理的意義を解析する
2.MALTリンパ腫発症に関与するAPI2-MALT1キメラ遺伝子の標的遺伝子の検索や、array CGH法を用いて、造血器腫瘍の病型特異的なゲノム異常を明らかにする。
3.肺癌における神経内分泌分化を誘導する転写因子ASH1の発現を検討する。
4.細胞分裂期の制御に必須な分裂期キナーゼ群のCdk1によるINCENPリン酸化反応の生理的意義を解析する
結果と考察
1.胃がん腹膜転移の播種性進展にTNF-αが関与し、TNF-α阻害に化学療法を併用することにより腹膜転移を効果的に抑制し、肝転移した分化型胃癌は高率にHER2を過剰発現し、HER2高発現細胞株はgefitinibに対し高感受性を示した。
2.MALTリンパ腫に関与する遺伝子異常API2-MALT1に関し、同遺伝子の標的遺伝子のひとつがAPI2で、MALT1遺伝子の細胞内局在がNES(Nuclear Exporting Signal)により制御されていること、array CGH法を用いて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T/NKリンパ腫、急性前骨髄球性白血病に特徴的なゲノム異常を見出した。
3.悪性度肺がんに見られる神経内分泌分化に注目し、この分化誘導因子ASH1をRNAiにより抑制することで、細胞死誘導が起こり、マウスの移植肺がんでも増殖が抑制されることを見出した。
4.Aurora-B、Plk1などの分裂期キナーゼ群の癌の染色体不安定性における役割に関し、Plk1がCdk1によるリン酸化反応依存性にINCENPまたはビメンチンに結合し、この結合により、分裂中期から後期への進行および中間径フィラメントの均等分配が制御されていることを明らかにした
2.MALTリンパ腫に関与する遺伝子異常API2-MALT1に関し、同遺伝子の標的遺伝子のひとつがAPI2で、MALT1遺伝子の細胞内局在がNES(Nuclear Exporting Signal)により制御されていること、array CGH法を用いて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T/NKリンパ腫、急性前骨髄球性白血病に特徴的なゲノム異常を見出した。
3.悪性度肺がんに見られる神経内分泌分化に注目し、この分化誘導因子ASH1をRNAiにより抑制することで、細胞死誘導が起こり、マウスの移植肺がんでも増殖が抑制されることを見出した。
4.Aurora-B、Plk1などの分裂期キナーゼ群の癌の染色体不安定性における役割に関し、Plk1がCdk1によるリン酸化反応依存性にINCENPまたはビメンチンに結合し、この結合により、分裂中期から後期への進行および中間径フィラメントの均等分配が制御されていることを明らかにした
結論
胃がん、造血器腫瘍、肺がんの発生と進展に関わる分子病態の解析から、ヒト腫瘍に対する分子標的治療含めた臨床応用への有効な基礎的情報が得られた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-19
更新日
-