小児肉腫に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究(若手医師・協力者活用等に要する研究)

文献情報

文献番号
200501380A
報告書区分
総括
研究課題名
小児肉腫に対する治療開発を意図した多施設共同臨床試験に関する研究(若手医師・協力者活用等に要する研究)
課題番号
H17-チム(小児)-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院第二領域外来部小児科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では小児がん領域におけるエビデンスに基づく医療(EBM)の推進と治療開発、および抗がん剤併用療法の最適化と医療行政への反映を目的として多施設共同臨床試験を支援し、データの品質管理を実践する。
研究方法
1.臨床試験基盤の構築 2.臨床試験計画の策定と準備 ①「進行性・転移性横紋筋肉腫に対する自家造血幹細胞救援療法を併用した大量化学療法の第II相試験」②「限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第II相試験」③「小児急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法と早期強化療法の有効性・安全性に関する検討試験(TCCSG-L0416)」3.具体的な臨床試験の運営
結果と考察
1.小児がんデータセンター内のデータ管理の基礎となる各種手順書を整備し、以下に示す各臨床試験の計画・運営に係る業務を行った。2.臨床試験計画書の作成支援、症例報告書(CRF)の作成、それに対応した電子データベースの整備、データマネージメント手順・マニュアル・帳票類の整備を行った上で実際の試験開始時にキックオフミーティングを行い、計画書の内容と症例報告書の記入・送付方法などを確認した。3.3つの臨床試験について、症例登録、CRF回収、CRF目視チェックと問い合わせ、データベース入力、ロジカルチェック施行等の業務を行った。また、施設からの提出物の請求や治療進行の確認など、実際の施設とのやり取りを通して試験の進捗管理に貢献した。また、6ヶ月に1回の定期モニタリングを施行して「モニタリングレポート」を発行し、グループ研究会議にてグループに還元した。

3つの臨床試験の準備と実行を通し、小児がんデータセンターの人員、ハード、ソフトを運用した。多施設共同試験のため、参加各施設との間の手続きが必ずしも円滑に進まない事も経験したが、データ管理の全ての過程(症例登録、データ蓄積、中央モニタリングによる品質管理)において順調に試験が運営できている。今後この臨床試験基盤を多分野へ応用する事により研究者主導の臨床試験の質を高め、かつ、効率的に遂行する事が可能になると考えられる。
結論
倫理性と科学性を確保した小児がん領域の臨床試験の実践を通して全国参加施設の医師の臨床能力を向上し、かつ、登録患者の質の高いデータの蓄積により将来の臨床上の意思決定に役立つような治療開発をなし得る基盤を確立した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-