文献情報
文献番号
200500444A
報告書区分
総括
研究課題名
低出生体重児の無呼吸発作に対するドキサプラムの安全性・有効性に関する研究
課題番号
H17-小児-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 俊夫(藤田保健衛生大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 北島 博之(大阪府立母子保健総合医療センター新生児科)
- 入江 徹美(熊本大学大学院薬学研究科)
- 畑 忠善(藤田保健衛生大学衛生学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
低出生体重児の無呼吸発作治療薬として、わが国では適応外となっているドキサプラムの安全性・有効性を検証する。
研究方法
1.低用量ドキサプラムの薬物動態
低出生体重児でドキサプラムの血中濃度を測定し、薬物動態を検討した。
2.中枢神経系・心臓刺激伝導系への影響
低出生体重児でドキサプラム投与前後の前大脳動脈血流を超音波ドプラー法で経時的に測定した。また、モルモットのアミノフィリン、ドキサプラム投与前後の血中CK-BBと脳の病理組織を調べた。さらに、ラットで投与前後の心電図と呼吸波をポリグラフで連続記録し、心拍、呼吸、心臓刺激伝導時間を比較した。また、低出生体重児で投与前後の心房脱分極時間、房室伝導時間、心室筋脱分極時間、心室筋再分極時間を計測した。
3.試験計画の立案
薬物動態の結果を踏まえるとともに、共同研究施設の症例調査、ドキサプラムの用法・用量を調査し、試験計画を立てた。
低出生体重児でドキサプラムの血中濃度を測定し、薬物動態を検討した。
2.中枢神経系・心臓刺激伝導系への影響
低出生体重児でドキサプラム投与前後の前大脳動脈血流を超音波ドプラー法で経時的に測定した。また、モルモットのアミノフィリン、ドキサプラム投与前後の血中CK-BBと脳の病理組織を調べた。さらに、ラットで投与前後の心電図と呼吸波をポリグラフで連続記録し、心拍、呼吸、心臓刺激伝導時間を比較した。また、低出生体重児で投与前後の心房脱分極時間、房室伝導時間、心室筋脱分極時間、心室筋再分極時間を計測した。
3.試験計画の立案
薬物動態の結果を踏まえるとともに、共同研究施設の症例調査、ドキサプラムの用法・用量を調査し、試験計画を立てた。
結果と考察
1.低用量ドキサプラムの薬物動態
ドキサプラムは低用量かつ低血中濃度で未熟児無呼吸発作に有効だった。また、クリアランスと受胎後週数、採血時体重とに相関がみられ、尿素窒素、血清クレアチニン値がクリアランス変動に影響している可能性が示唆された。
2.中枢神経系・心臓刺激伝道系への影響
ドキサプラム投与前後で前大脳動脈血流に有意な変化はなかった。また、アミノフィリン投与後にモルモットのCK-BB値が有意に上昇し、海馬神経細胞数が有意に減少した。ラットの心臓刺激伝導系にはドキサプラムの投与による影響はなかった。ドキサプラムは無呼吸発作を有意に減少させたが、投与前後の心拍、刺激伝導時間に変化はなかった。この結果から、低用量のドキサプラムは低出生体重児の無呼吸発作の治療に安全かつ有効であると考えられた。
3.試験計画の立案
共同研究施設の調査結果から静注用アミノフィリンを対照とした無作為比較試験計画を立案した。しかしこの案は予想症例数を大幅に上回り、アミノフィリン不応例にドキサプラム、プラセボを投与する無作為比較対照試験を想定するとほぼ予想症例数と一致するため試験デザインを再考することとした。
ドキサプラムは低用量かつ低血中濃度で未熟児無呼吸発作に有効だった。また、クリアランスと受胎後週数、採血時体重とに相関がみられ、尿素窒素、血清クレアチニン値がクリアランス変動に影響している可能性が示唆された。
2.中枢神経系・心臓刺激伝道系への影響
ドキサプラム投与前後で前大脳動脈血流に有意な変化はなかった。また、アミノフィリン投与後にモルモットのCK-BB値が有意に上昇し、海馬神経細胞数が有意に減少した。ラットの心臓刺激伝導系にはドキサプラムの投与による影響はなかった。ドキサプラムは無呼吸発作を有意に減少させたが、投与前後の心拍、刺激伝導時間に変化はなかった。この結果から、低用量のドキサプラムは低出生体重児の無呼吸発作の治療に安全かつ有効であると考えられた。
3.試験計画の立案
共同研究施設の調査結果から静注用アミノフィリンを対照とした無作為比較試験計画を立案した。しかしこの案は予想症例数を大幅に上回り、アミノフィリン不応例にドキサプラム、プラセボを投与する無作為比較対照試験を想定するとほぼ予想症例数と一致するため試験デザインを再考することとした。
結論
低用量ドキサプラムの薬物動態、中枢神経系、心臓刺激伝導系の研究では、未熟児無呼吸発作の治療に安全かつ有効であると考えられた。今後は多施設共同臨床試験を遂行し、ドキサプラムの安全性・有効性を実証し、未熟児無呼吸発作の最適な治療指針を提案したい。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
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