小児科における注意欠陥/多動性障害に対する診断治療ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200500443A
報告書区分
総括
研究課題名
小児科における注意欠陥/多動性障害に対する診断治療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
H15-小児-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
宮島 祐(東京医科大学小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 英高(大阪医科大学小児科)
  • 林 北見(東京女子医科大学小児科)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 小枝 達也(鳥取大学教育地域科学部)
  • 山下 裕史朗(久留米大学医学部小児科)
  • 加我 牧子(国立精神神経センター精神保健研究所知的障害部)
  • 齊藤 万比古(国立精神神経センター精神保健研究所児童思春期精神保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
注意欠陥/多動性障害(ADHD)について小児科診療に有用なガイドラインを作成。メチルフェニデート(MPH)の効果判定にインターネット(IT)を用いた情報開示を行い、本邦初の二重盲検法を用いた多施設共同臨床研究を行う。診断評価尺度として新たな診断ツール、客観的評価法の開発を行う。
研究方法
ガイドラインは一般小児科医が見やすく応用し易い内容、サイズとする。多施設共同臨床研究は可変用量、二重盲検で、倫理委員会承認を必須とした。対象6-12歳。IT上で開示した情報を理解し、同意の得られた患児保護者とする。二重盲検薬は4号カプセルに充填。MPH10mg錠剤を粉砕し5mgずつ充填、コントローラーは東京医科大学薬理学教授に依頼。比喩皮肉テスト音声版、生理機能検査を用いた客観的評価、Brown評価尺度の翻訳および日本版使用許諾を獲得する
結果と考察
ガイドラインは診断治療アルゴリズムを作成、病態概説、生理機能検査を含めた診断、鑑別診断、併存障害・合併症状、単純例の薬物療法・予後、行動療法、教育との連携、本人への説明、自己認識形成、複雑例の薬物療法、精神科との連携、主要なevidence study解説など分担執筆。多施設共同臨床研究は、企業の協力なく、研究班のみで研究計画書、保護者用同意説明書、本人用同意説明書、麻薬および向精神薬取締法遵守を明記した書類。以上を施設倫理委員会へ提出、17年11月付で承認、18年1月から3月まで2施設で実施。少人数のため有意差検定は不可能であったが二重盲検法による有用性は確認された。Brown ADHD診断スケール日本版の翻訳、比喩皮肉テスト音声版を開発した。海外との連携は、6月Brown教授と意見交流会。8月米国専門家3名を招聘し日本初の夏期治療プログラムを久留米市で開催。11月Pelham教授招聘、久留米・広島(少年院視察)・神戸・大阪・東京で一般公開講演会開催、医師・保護者・教員などへの啓蒙を行った。
結論
本邦ではADHDに対しMPHが適応外のまま使用され、診断の曖昧さ、過量投与、長期投与、包括的医療の不備なまま薬物投与のみおこなわれている現実が判明している。本研究班作成ガイドラインにより、包括的医療が促進されることを期待する。今回の臨床研究方法を用いることで、小児精神領域薬剤の二重盲検法を用いた研究を実施することが可能になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-17
更新日
-

文献情報

文献番号
200500443B
報告書区分
総合
研究課題名
小児科における注意欠陥/多動性障害に対する診断治療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
H15-小児-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
宮島 祐(東京医科大学小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 英高(大阪医科大学小児科)
  • 林 北見(東京女子医科大学小児科)
  • 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 小枝 達也(鳥取大学教育地域科学部)
  • 山下 裕史朗(久留米大学医学部小児科)
  • 加我 牧子(国立精神神経センター精神保健研究所知的障害部)
  • 齊藤 万比古(国立精神神経センター精神保健研究所児童思春期精神保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
注意欠陥/多動性障害(ADHD)について小児科診療に有用なガイドラインを作成。メチィルフェニデート(MPH)の治療効果判定にインターネット(IT)を用いた情報開示を行い、本邦初の二重盲検法を用いた多施設共同臨床研究を行う。診断治療評価尺度として新たな診断ツール、客観的評価法の開発を行う。
研究方法
ガイドラインは一般小児科医が見やすく応用しやすい内容、サイズとする。多施設共同臨床研究は可変用量、二重盲検で、倫理委員会承認を必須とした。対象6-12歳。IT上で開示した情報を理解し、同意の得られた患児保護者とする。二重盲検薬は研究班で購入したMPH10mg錠剤を粉砕し、4号カプセルに5mgずつ充填、同様に偽薬も作成して使用。コントローラーは薬理学専門家に依頼。比喩皮肉テスト音声版、生理機能検査を用いた客観的評価、Brown評価尺度の翻訳および日本版使用許諾を獲得し公布する。
結果と考察
ガイドラインは診断治療のアルゴリズムを作成、病態概説、生理機能検査を含めた診断、鑑別診断、併存障害・合併症状、単純例の薬物療法、予後、行動療法、教育機関との連携、本人への説明、自己認識形成、複雑例の薬物療法、精神科との連携、主要なevidence study解説などを分担執筆。多施設共同臨床研究は、企業の協力ないため研究班のみで研究計画書、保護者用と本人用同意説明書、麻薬および向精神薬取締法遵守を明記した書類。以上を倫理委員会へ提出、17年11月付で承認、研究班関連2施設でのみ実施可能で、18年1月から3月まで行った。被検者は少人数のため有意差検定は不可能であったが二重盲検法により有用性は確認された。BrownADHD診断スケール日本版の翻訳、比喩皮肉テスト音声版を開発した。海外との連携は、16年度のNY州立大学Buffalo校および治療実践中の小学校視察、Nashvileでの国際会議に参加、諸外国研究者とネットワークを作成に続いて、17年度はBrown教授招聘講演会と意見交流会、日本初の夏期治療プログラムを米国専門家3名を招聘し久留米市で2週間実施。Pelham教授招聘し全国6都市で一般公開講演会開催、医療関係者・保護者・教員などへの啓蒙を行い多大な反響が得られた。
結論
本邦ではADHDに対しMPHが適応外のまま使用され、診断の曖昧さ、過量投与、長期間投与、包括的治療体制不備のまま薬物のみ投与などの問題が顕在化している。今回のガイドラインにより包括的医療が促進されることを期待する。今回の多施設共同臨床研究方法を応用することで小児精神領域薬剤の二重盲検法を用いた研究実施が可能になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500443C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ADHDに対するMPH有効性検討の目的で医師のみによる二重盲検法を用いた多施設共同臨床研究を行い、企業の協力なくとも二重盲検法を実施することが可能であることを示した。客観性ある生理機能検査による治療効果判定の重要性を示し、比喩皮肉テスト音声版を開発した。一般小児科医療に即した診断治療ガイドラインを作成した。
臨床的観点からの成果
診断治療ガイドラインはアルゴリズムを用い、小児科診療の現場で使用しやすさを第一とし、MPHの投与方法のみならず包括的治療を中心とした適切な治療が行われるよう配慮した。
ガイドライン等の開発
小児科における注意欠陥/多動性障害に対する診断治療ガイドラインを作成した。平成18年4月21日に第109回日本小児科学会(金沢)でのワークショップで会員に公開し、討論した。平成18年夏を目標にガイドラインを出版予定。
その他行政的観点からの成果
現時点でADHDに対して保険適応外であるMPHを使用するに当たり、処方する小児科医が患者の不利益が生じないよう細心の注意を払い、客観性ある評価尺度を用いた治療効果判定を行うことを啓蒙した。
その他のインパクト
2006年11月28日UPIネットでU.S.scientist treats Japanese ADHD kidsと題してPelham教授招聘一般公開講演会が全世界に発信された。16年11月26日(東京)、17年11月26日-12月6日の期間で久留米、福岡、広島、神戸、大阪、東京にて一般公開講演会を開催した。medical tribune紙4月6日号に109回日本小児科学会ワークショップ内容が特集された。

発表件数

原著論文(和文)
19件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
63件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
78件
第109回日本小児科学会ワークショップで3年間の研究成果を発表、報告書1200部配布
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
13件
H17.8.8-19久留米市でSTP実施。H17.11.27-12.6Pelham教授招聘一般公開講演会開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
宮島祐
ADHDの病態仮説
臨床精神薬理 , 8 , 875-877  (2005)
原著論文2
山下裕史朗
ADHDの有病率
臨床精神薬理 , 8 , 871-874  (2005)
原著論文3
林北見、田中英高、宮島祐、他
小児科におけるADHD診断治療ガイドライン作成についての現状
脳と発達 , 38 , 141-143  (2006)
原著論文4
田中英高、宮島祐、淡田善三
注意欠陥/多動性障害の治療に関するEBM研究の動向
小児科臨床 , 59 (9)  (2006)
原著論文5
山下裕史朗
わが国と世界のAD/HD診断・治療ガイドラインの現状
小児の精神と神経 , 45 (1) , 7-10  (2005)
原著論文6
山下裕史朗
ニューヨーク州立大学バッファロー校におけるADHDの子どもと家族に対する包括的治療
日本小児科学会誌 , 109 (10) , 1301-1307  (2005)
原著論文7
山下裕史朗
一人遊びを好み友達のなかに入れない子、かんしゃくを起こしやすい子への対応
小児科 , 46 (11) , 1759-1761  (2005)
原著論文8
山下裕史朗
注意欠陥多動性障害およびけいれん重積治療薬
日本小児臨床薬理学会雑誌 , 1 , 8-9  (2005)
原著論文9
山下裕史朗
小児神経科におけるADHDの診断
臨床精神薬理(印刷中)  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-