科学的根拠に基づく快適な妊娠・出産のためのガイドラインの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500435A
報告書区分
総括
研究課題名
科学的根拠に基づく快適な妊娠・出産のためのガイドラインの開発に関する研究
課題番号
H17-子ども-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
島田 三恵子(大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 杉本 充弘(日本赤十字者医療センター 産科)
  • 縣 俊彦(東京慈恵医科大学 環境保健医学教室)
  • 大橋 一友(大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)「健やか親子21」における快適な妊娠・出産のための支援の中間評価を行い、日本の快適な妊娠出産のケアの現状と満足している人の割合の推移、及び改善点を明らかにする.
2)快適な妊娠出産ケアを提供するために最低限必要なマンパワーとシステム等の医療体制検討する.

研究方法
全国47都道府県に在る産科周産期の医療機関から層化無作為抽出し研究協力に同意の得られた477施設(大学病院26施設、一般病院208施設、診療所167施設、助産所76施設)に勤務する産科医責任者・助産ケア責任者を対象とし、自記式調査票により医療体制やマンパワー、快適と想定される妊娠出産ケアや医療処置や診療システム出産環境に関して施設調査を行った。同時に、これらの施設で、産後1か月の3850名の母親を対象として、今回の妊娠・分娩・産後ケアや医療処置等に関する調査票を層化割付し、自記式任意回答で母親調査を行った。
結果と考察
<母親調査>妊娠中のケアおよび分娩時の医学的処置は平成11年と変化がなく、浣腸と剃毛は著明に減少し、夫立会分娩、分娩後1時間以内の母子接触および早期授乳が5割まで普及した。産後1か月の母乳栄養が52%に上昇したが、入院中の人工乳の補足が30%から43%に増加した。産後1か月の心配事と育児支援ニーズは変わらず、夜間診療の小児科医、24時間電話相談、家庭訪問、出産施設での育児相談、子育て世帯の優遇税制、父親の育児休業、柔軟な勤務体制、乳児保育などが望まれている。育児休暇後復帰予定の母親が増加しており、仕事と育児を両立する支援が更に必要とされる。妊娠中から出産までの満足していた人の割合は80%で5%程度低下していた。
<施設調査>産科医の労働時間は週平均61.0時間(range 21?104)hr/週、年間休暇平均50.4日(range0?134)日であった。産科医の当直回数は月平均16.7回、一般病院では月平均6.6回、診療所では21.7回、96.9%の産科医は当直明けで継続して勤務していた。一方、助産師の労働時間は週平均39.6時間(range16?60)hr/週、年間休暇平均104.2(range42?134)日であった。更に必要とするマンパワーは対象施設における分娩数の割合(全国の14.8%)から試算すると、全国で更に常勤産科医2,720名、助産師6,428名、看護師1,955名が必要であると推計される。
結論
今後、各変数と満足度や再来希望との関連を検討して、満足な妊娠出産ケアの抽出を行うと共に、快適なケアと施設の医療体制やマンパワーとの関連を検討して、次年度のガイドラインの開発に繋げる。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-