文献情報
文献番号
200500424A
報告書区分
総括
研究課題名
被虐待児への医学的総合治療システムのあり方に関する研究
課題番号
H15-子ども-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 登志郎(あいち小児保健医療総合センター)
研究分担者(所属機関)
- 小林 美智子(大阪府立母子保健総合医療センター)
- 宮本 信也(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
- 野邑 健二(名古屋大学医学部付属病院)
- 奥山 眞紀子(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療を訪れる虐待症例は、重症な症例が多く、関係する様々な機関との連携が必要となる。また専門領域をまたがるシステムが必要である。本研究の目的は、虐待に対応する医療システムに関する具体的提言である。
研究方法
6府県の保健所131箇所、保健センター382箇所に対しアンケート調査を行った。また全国の小児科医、整形外科医、脳外科医への子ども虐待に関する調査をまとめた。児童養護施設の入所児および職員に対して構造化面接による調査をおこなった。在宅支援が行われたケースの経過を分析した。さらに子ども虐待の臨床像の検討を行った。
結果と考察
保健所の調査から、虐待予防を担うことは一般化しているが、虐待児への援助に関しては、地域差が大きく、医療からはわかりにくい実態が示された。全体としては約2/3の医師は少なくとも一度は被虐待児の診療を経験している実態が推測された。しかし、そうした医師の8割近くは、虐待診療に関する自己の知識や技能に自信を持っていなかった。結果を踏まえ、19項目のガイドラインを作成した。医療における在宅ケアの手引きの目次を作成した。子ども虐待の臨床像は幼児期に反応性愛着障害で始まり、学童期には多動性行動障害の形を取り、青年期に解離性障害および行為障害に展開し、最終的には複雑性トラウマの臨床像となることが示された。
結論
被虐待児へのシステムは未だ不十分である。子ども虐待は未治療であれば一つの発達障害症候群に至ると考えられ、医療を核とした包括的なケアが必要である。
公開日・更新日
公開日
2006-10-16
更新日
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