子ども家庭福祉サービス供給体制のあり方に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200500422A
報告書区分
総括
研究課題名
子ども家庭福祉サービス供給体制のあり方に関する総合的研究
課題番号
H16-子ども-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
柏女 霊峰(日本子ども家庭総合研究所子ども家庭福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 澁谷 昌史(日本子ども家庭総合研究所子ども家庭福祉研究部)
  • 尾木 まり((有)エムアンドエムインク 子どもの領域研究所)
  • 新保 幸男(神奈川県立保健福祉大学)
  • 網野 武博(上智大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、子ども家庭福祉サービス供給体制の今後のあり方について、特にサービス供給体制の分権化と供給主体の多元化やサービス利用のあり方、専門職のあり方等に焦点を当てつつ総合的に検討し、将来のあるべき方向を提示することを目的とした。
研究方法
第1年次調査結果を踏まえ、個別領域ごと(5問)とそれらの基盤となる供給体制(5問)の仮説を質問文(計10問)として作成し、4分担研究班が分担する8領域に関し、原則として、それぞれ研究者、行政関係者、実務家等各5名、計38名に対し半構造化面接法によるインタビュー調査を実施してその検証を行い、また、探索的手法により将来方向を求めた。あわせて、英国の現状について研究者に依頼して報告を求めた。
結果と考察
調査並びにそれらをもとにした考察の結果、子ども家庭福祉サービスの基盤的供給体制については、現行の都道府県中心、職権保護中心、施設中心、事業主補助中心、税中心、保健福祉と教育の分断、限定的司法関与の体制を、できるかぎり、(1)市町村中心(都道府県との適切役割分担)、(2)契約と職権保護との適切なバランス、(3)在宅サービスと施設サービスのバランス、(4)個人給付と事業主補助のバランス、(5)税を中心としつつ社会保険を加味、(6)保健福祉と教育の連携・統合、(7)積極的司法関与のシステムに転換していくことが必要と考えられた。
各領域については、(1)すべての子どもに基本保育を、(2)児童健全育成の理念・基準の明確化を、(3)行政、民間、司法の役割分担による子ども虐待防止、(4)社会的養護の小規模化、多機能化、(5)保健福祉と教育との連続性、一体性確保による障害児童福祉、(6)多様な生活課題に対応するひとり親家庭福祉、(7)青少年行政の統合・連携による非行児童福祉、(8)OJTを含めた専門職養成などが提案された。
結論
子ども家庭福祉サービス供給体制の今後の方向は、必須とされるパターナリズムの視点を仕組みに組み込みつつ、あるいは分立させつつ、市町村を中心としつつ都道府県や司法の役割を明確化し、サービスの利用に当たっては、利用者と事業主とが直接に向き合う関係の導入を視野に入れる、といった方向に他ならない。子ども家庭福祉は、今後、こうした基盤のうえに各領域が再構成されていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-03-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500422B
報告書区分
総合
研究課題名
子ども家庭福祉サービス供給体制のあり方に関する総合的研究
課題番号
H16-子ども-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
柏女 霊峰(日本子ども家庭総合研究所子ども家庭福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 澁谷 昌史(日本子ども家庭総合研究所子ども家庭福祉研究部)
  • 尾木 まり((有)エムアンドエムインク 子どもの領域研究所)
  • 新保 幸男(神奈川県立保健福祉大学)
  • 網野 武博(上智大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、子ども家庭福祉サービス供給体制の今後のあり方について、特にサービス供給体制の分権化と供給主体の多元化やサービス利用のあり方、専門職のあり方等に焦点を当てつつ総合的に検討し、将来のあるべき方向を提示することを目的とした。
研究方法
本研究は2ヵ年継続研究であり、第1年次は、仮説設定のための探索的なインタビュー調査を行った。第2年次は、第1年次の成果を踏まえ、個別領域ごと(5問)並びにそれらの基盤となる供給体制(5問)の仮説を質問文(計10問)として作成し、4分担研究班が分担する8領域に関し、原則として、それぞれ研究者、行政関係者、実務家等各5名、計38名に対し半構造化面接法によるインタビュー調査を実施してその検証や探索的に方向を確認した。あわせて、2年間で、スウェーデン、英国の現状について研究者に依頼して報告を求めた。
結果と考察
子ども家庭福祉サービスの基盤的供給体制については、現行の都道府県中心、職権保護中心、施設中心、事業主補助中心、税中心、保健福祉と教育の分断、限定的司法関与の体制を、できるかぎり、(1)市町村中心(都道府県との適切な役割分担)、(2)契約と職権保護との適切なバランス、(3)在宅サービスと施設サービスのバランス、(4)個人給付と事業主補助のバランス、(5)税を中心としつつ社会保険を加味、(6)保健福祉と教育の連携・統合、(7)積極的司法関与のシステムに転換していくことが必要と考えられた。各領域については、(1)すべての子どもに基本保育を、(2)児童健全育成の理念・基準の明確化、(3)行政、民間、司法の役割分担による子ども虐待防止、(4)社会的養護の小規模化、多機能化、(5)保健福祉と教育との連続性等確保による障害児童福祉、(6)多様な生活課題に対応するひとり親家庭福祉、(7)青少年行政の統合による非行児童福祉などが提案された。
結論
子ども家庭福祉サービス供給体制の今後の方向は、必須とされるパターナリズムの視点を仕組みに組み込みつつ、あるいは分立させつつ、市町村を中心としつつ都道府県や司法の役割を明確化し、サービスの利用に当たっては、利用者と事業主とが直接に向き合う関係の導入を視野に入れる、といった方向に他ならない。子ども家庭福祉は、今後、こうした基盤のうえに各領域が再構成されていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500422C

成果

専門的・学術的観点からの成果
子ども家庭福祉サービス供給体制の全体的、総合的な将来方向とそれを検討していくに当たっての留意点等について、一定の確認を得ることができた。このことは、保育、虐待、障害、非行などと個別に検討され、相互に矛盾したり分断されたりしがちな子ども家庭福祉サービス供給体制の基盤的システムを検討する上で、大きな意義をもつ。この基盤のうえに、個々の領域別システムが整備されることで各領域の整合性も図られ、かつ、人間の一生を見通した社会福祉サービス供給体制を整備することができると思われる。
臨床的観点からの成果
本研究は政策研究のため、臨床的視点から見た成果はない。
ガイドライン等の開発
○平成16年10月公表の社会保障審議会児童部会におけるいわゆる三位一体改革に関する意見書の作成に活用。
○平成16年12月公表の社会保障審議会児童部会と中央教育審議会幼児教育部会の合同部会におけるいわゆる総合施設に関する中間まとめの論議に活用。
○厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知である市町村児童家庭相談援助指針の策定、児童相談所運営指針の改正、子ども虐待対応の手引きの改正に成果を活用。
その他行政的観点からの成果
○社会保障審議会児童部会、東京都、千葉県の児童福祉審議会において、研究成果を活用しつつ委員長ないしは委員として、次世代育成支援行動計画の作成や社会的養護・児童虐待防止サービスのあり方等に関する積極的発言や報告書作成を行った。
その他のインパクト
○平成16年度研究成果の一部については、日本児童青年精神医学会・福祉に関する委員会、日本保育学会自主シンポジウム、日本子ども虐待防止学会・分科会、同制度検討委員会等において報告。
○民間運動「四つ葉プロジェクト」発足の契機となる(ホームページ:http://yotuba-project.net/)
○平成17年度研究の成果の一部については、日本子ども家庭福祉学会第7回全国大会において基調報告予定。
○雑誌『遊育』5/22号において、研究成果が紹介される。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
柏女霊峰他
児童家庭福祉制度再構築のための児童福祉法改正要綱試案
日本子ども家庭総合研究所紀要 ,  (41) , 27-42  (2005)
原著論文2
柏女霊峰他
児童家庭福祉制度再構築のための児童福祉法改正要綱試案(最終版)
日本子ども家庭総合研究所紀要(近刊) ,  (42)  (2006)
原著論文3
柏女霊峰
子ども家庭福祉サービス供給体制の過去、現在、未来
子ども家庭福祉学 ,  (6) , 33-43  (2006)
原著論文4
柏女霊峰
子ども学構築のための子ども家庭福祉の課題
チャイルド・サイエンス子ども学 ,  (3) , 23-25  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-