若い女性の食生活はこのままで良いのか?次世代の健康を考慮に入れた栄養学・予防医学的検討

文献情報

文献番号
200500417A
報告書区分
総括
研究課題名
若い女性の食生活はこのままで良いのか?次世代の健康を考慮に入れた栄養学・予防医学的検討
課題番号
H16-子ども-033
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉池 信男(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康・栄養調査研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福岡 秀興(東京大学大学院医学系研究科発達医学教室)
  • 豊田 長康(三重大学医学部産婦人科学教室)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院研修企画部)
  • 三浦 克之(金沢医科大学医学部公衆衛生学教室)
  • 瀧本 秀美(国立保健医療科学院生涯保健部)
  • 佐々木 敏(国立健康・栄養研究所栄養所要量策定企画・運営)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,166,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
母性としての役割を考えると、極端なダイエットを含め、「わが国の若い女性の食生活はこのままで良いのか?」という懸念が大きい。次世代の国民の健康を確保という観点から、栄養学的・疫学的・臨床的検討を行うことを目的とする。
研究方法
○分娩台帳及び日産婦学会DBを基に、母体の身体及び妊娠・分娩の状況、生活習慣、出生児の状況等をデータベース化し、妊娠前・妊娠中の体重増加量等と出生体重・分娩転帰等との関連を解析した。○8施設で妊娠各時期と産褥1か月に栄養調査を行い、母体の非妊娠時の体位と妊娠時の栄養摂取量、体重増加、周産期予後等との関連について検討を行った。妊娠中の評価法として、体脂肪量や血中ケトン体等の有用性を検討した。○全国の産科施設を対象に、妊産婦・褥婦への栄養管理の把握・実施状況及び体重管理等に関する質問紙調査を実施した。○「食事バランスガイド」の妊婦・授乳婦版の開発のために、妊娠・授乳各期の付加量に相当するサービング数を検討した。○乳幼児健診受診者と同地域の20歳健診受診者の健診データとのレコードリンケージにより得られた約5千人について、20年間追跡データを用い、乳幼児期健診結果や育児状況等と、成人時の危険因子との関連の分析を行った。さらに約15年後の追跡調査を行い、出生後30年以上の長期追跡データセットを作成した。○中高一貫校の約2000名を対象に出生時週数・体重及び乳児期の成長、母親の妊娠前及び妊娠期間中の体重を調査し、学校での健診データとのリンケージを開始した。
結果と考察
○母親の妊娠前の体格が「やせ」の場合、体重増加量が9kg未満では有意に低出生体重児出産のリスクが高かった。12-15kgでは、帝王切開分娩のリスクが2.6倍であったが、遷延分娩、分娩時大量出血との関連は認められなかった。妊娠各期の体重増加率と妊娠転帰との関連については、妊娠中期の体重増加率が0.5kg/週を超えると、巨大児出産のリスクが高まった。○妊娠末期及び授乳期では「食事バランスガイド」の5つの料理区分で「+1SV」とすることが適当であるが、鉄は別途、食品レベルで考える必要がある。○長期追跡データの予備解析では、男性で出生時体重が低い程31-40歳時の血圧が高くなる傾向が認められた。
結論
妊娠前・妊娠中の体重増加量等と出生体重や分娩転帰等との関連の解析結果等は、「妊産婦のための食生活指針」の主要な根拠となった。また、母親の体重、出生児体重等と生活習慣病リスクとの関係も2つのコホートデータの解析により少しずつ明らかになる予定である。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-