アウトカムを指標としベンチマーク手法を用いた質の高いケアを提供する「周産期母子医療センターネットワーク」の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200500416A
報告書区分
総括
研究課題名
アウトカムを指標としベンチマーク手法を用いた質の高いケアを提供する「周産期母子医療センターネットワーク」の構築に関する研究
課題番号
H16-子ども-032
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
藤村 正哲(地方独立行政法人大阪府立病院機構・大阪府立母子保健総合医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門)
  • 田村正徳(埼玉医科大学総合医療センター小児科)
  • 大野 勉(埼玉県立小児医療センター保健発達部)
  • 中村 友彦(長野県立こども病院新生児科)
  • 上谷良行(兵庫県立こども病院小児科)
  • 三科 潤(東京女子医科大学周産母子医療センター・小児保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
31,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
すべての総合周産期母子医療センターが参加するネットワークを形成し、質の高いケアが提供される体制を構築し、周産期アウトカムの向上に直接的に寄与する研究を行う。

母子保健の課題である罹病率・死亡率・発達障害発症率・成長発達予後等をアウトカム指標とし、ベンチマーク手法を用いて、わが国の中核的周産期医療施設における最新医療の標準化を行う。

多施設臨床試験のインフラと技術の蓄積を進め、新生児学におけるエビデンス確立研究を推進し、国際的標準化に資する
研究方法
① 全国の総合周産期母子医療センターが参加するネットワークを形成した。
② 全国の総合周産期母子医療センター入院児の共通データベースを作成した。
③ 施設間比較を行い、アウトカム指標の施設間差が大きいことを明らかにした。アウトカム指標に差をもたらす要因を検出しつつある。
④ 新生児心肺蘇生法研修プログラムの作成と研修システムを構築しつつある。
⑤ 超低出生体重児の慢性肺疾患予防としてフルチカゾン吸入療法のランダム化比較試験を開始した(目標症例数:1000g未満416例)。
⑥ 共通プロトコールによる3歳のフォローアップ健診を全ての総合周産期母子医療センターで実施できる体制を作った。
結果と考察
医療標準化の前段階として、ベンチマーク(予後の施設間の差、予後関与因子の分析等)手法を開発したこと。
新生児心肺蘇生法の研修プログラムを作成し、産科・新生児医療従事者用の研修システムを構築しつつあること。
ハイリスク新生児の疾病予防、障害発生予防の実践的課題についてエビデンス確立研究のインフラ整備(新生児臨床研究ネットワークの運営)を進めたこと。
共通プロトコールによる3歳のフォローアップ健診を全ての総合周産期センターで実施できる体制を形成したこと。
結論
「健やか親子21」の指標課題である罹病率・死亡率・発達障害発症率・成長発達予後等をアウトカム指標として、わが国の中核的周産期医療施設のネットワーク形成、施設・患者共通データベース整備を推進しつつある。
治療効果、死亡率や予後等の医療効率指標の優秀な施設をもって「ベンチマーク」とし、参加施設の最新医療の標準化を行いつつある。
アウトカム評価に不可欠な発達予後に関する全国施設フォロアップ体制を構築しつつある。
多施設臨床試験のインフラを整備して技術の蓄積を進め,エビデンス確立研究を推進して、国民にとって満足度の高い医療の提供と国際的標準化に資する体制の構築に成功しつつある。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-