社会福祉の情報化の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
199700039A
報告書区分
総括
研究課題名
社会福祉の情報化の在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 紘士(立教大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生行政科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会福祉の情報化は保健医療の情報化に比してその政策的な推進体制が確立しておらず、今後その政策的整備が求められている。一方でさまざまな形で福祉情報化関連の事業が国および自治体また社会福祉事業者において進められ始めている。これらの試みを通覧しつつ、福祉情報化の今後の在り方を検討するのは重要な課題である。とりわけ介護保険の制度化、社会福祉基礎構造改革の推進のための基盤として福祉情報化の推進が課題となるのでこの福祉情報化の基本的な課題を明らかにしておくことは重要である。
研究方法
高橋紘士を主任研究者として研究を実施した。森本佳樹(熊本学園大学)、生田正幸(龍谷大学)が研究協力者として研究に協力した。また必要に応じて厚生省の関連部局の担当者が資料収集、ヒアリング等に協力した。またシステム開発担当者および福祉情報サービスを担当している機関(社会福祉医療事業団等)、社会福祉施設および自治体等に調査ヒアリングを実施した。 また、福祉情報化の現状を把握するために調査をおこなった。 調査地域は徳島県徳島市、北海道奈井江町、深川市、大分県別府市、阿蘇郡内牧町である。訪問地は自治体および老人福祉施設、老人保健施設、社会福祉協議会等である。
結果と考察
社会福祉の情報化について基本的な検討をおこなった。まず社会保障構造改革と社会福祉制度改革の経緯をふまえて社会福祉の制度改革と福祉の情報化が深い関連があることを明らかにしたうえで、社会福祉領域における情報化の視点を明確化した。
そして福祉情報化の展開と福祉情報化の理念と意義を検討しさらに社会福祉領域における情報化の現状と問題点の展望を行った。そしてこれらの検討をふまえて社会福祉領域における情報化のあり方について情報の提供及び開示に関する責任と義務、情報の利・活用と発信に関する権利保障、情報セキュリティに関する規定、情報の共有化の促進、サービスの総合化・高度化への情報基盤整備、社会福祉サービス提供者の経営及び運営の効率化、福祉情報化の具体的な推進策の7つの課題に即して分析した。そして福祉情報化の基盤とのる標準化の問題を多面的に検討し、さらに現在進められている社会福祉礎構造改革と福祉情報化の密接な関係性を明らかにした。
結論
上記の検討の結果、社会福祉における情報化を情報の受け手としての「個人」と「社会」の軸、情報の産出形態としての「提供」と「開示」の軸を設定して分析すると福祉における多様な情報活動を分類整理できることが明らかになった。この図式に基づいて相談活動、広報活動、不服申し立てや苦情処理、情報公開などの今後福祉にとって重要な機能が情報活動と分析枠組みで整理できることがわかった。
さらに今後ノーマライゼーションの観点に立って情報弱者への情報アクセス権の保障と情報後見制度の必要性、情報セキュリティの確保について保護規定、および公民接続規定のガイドライン設定、守秘義務規定の重要性などを明らかにした。またケアマネジメントの推進をふまえた情報共有のルール設定の重要性が指摘できる。またサービスの高度化にあたっては人材確保、ネットワークインフラの整備が重要である。とりわけ情報化推進支援機能の整備が福祉情報化推進施策の要となろう。
福祉情報化の推進にとって標準化の推進も大きな課題である。その概念、具体的な推進方策の検討についてもその展望をおこなった。そして現在厚生省の施策として進められている福祉情報ネットワークの現況を評価したうえでそのありかたについて提言を行った。その内容としては現在のウィズネット、ウィッシュ、ホット等のシステムをその特性役割を精査のうえ、機能分担を明確化し、今後のインターネット、イントラネットなどの情報ネットワーク技術の動向と、また今後の保健医療福祉のありかたをふまえた福祉情報化政策の必要性である。

公開日・更新日

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更新日
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