地域における子どもと家庭に関する相談支援体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200500412A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における子どもと家庭に関する相談支援体制のあり方に関する研究
課題番号
H16-子ども-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 文治(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岩間伸之(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 岡田忠克(大阪産業大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 児童相談所は都道府県・指定都市を中心とした整備体制となっているため、機動性のある相談援助に限界がある。地域には、児童相談の機関として、家庭児童相談室や、児童家庭支援センターなどもあり、これらとの積極的業務分担による相談のシステム化と効率化が求められる。研究の過程において、児童福祉法が改正されたり、少年法の改正が議論されるなど、児童相談のあり方についての政策的な示唆は急務となっている。
 本研究は、このような相談体制の有効なシステム化を検討するものであり、今日の児童福祉改革の目標達成をより強化する意味で、非常に重要な意味をもつと考える。
研究方法
 地方自治体調査、エキスパート調査、児童福祉研究者調査、児童福祉審議会調査を行う。その結果をふまえ、相談体制の枠組みを提示する。
結果と考察
1)相談体制改革への評価
・市町村調査においても、ヒアリング調査においても、総合的にはプラスの変化が現れている  という評価が多い。プラスの内容は、市町村内での連携が高まったこと、柔軟に対応できるようになったことなどである。マイナスあるいは不安の内容は、職員の量と質、市町村内の資源不足、市町村格差の拡大などである。
2)相談への対応
・総じてみると、市町村関係者は、相談部門ではかなりの対応ができていると考えているが、重度の非行のみの対応力は低いと考えている。また、当然のことであるが、措置など児相の権限下に あるものについても対応力は低いと考えている。
3)調査・判定・初期のケースマネジメントについて
・地域周辺情報調査の必要性の判断、緊急身柄確保の児童相談所への依頼、立入調査の児童相談所への依頼、児童相談所の緊急身柄確保への支援などは市町村でもできると考えているが、当事者への任意訪問調査を市町村単独で実施、緊急身柄確保の必要性の判断、立入調査を市町村単独で実施、緊急身柄確保を市町村単独で実施は市町村では困難と考えている。
結論
 本研究は、現在推進されている地域における子どもおよび家庭相談の有効性を高めるための研究であり、これからの地域における児童相談体制のあり方を考えるうえで、重要な示唆を与えることができる。相談体制に関するシステムができあがると、早期発見、早期対応、 ケアの総合的マネジメントによるによる問題の深刻化の予防だけでなく、見守りやフォローアップなど再発の予防体制も並行的に実現できることになる。さらに、その体制が結果として第1次予防である発生の予防にも効果を発揮するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200500412B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における子どもと家庭に関する相談支援体制のあり方に関する研究
課題番号
H16-子ども-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 文治(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岩間伸之(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
  • 岡田忠克(大阪産業大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 児童相談所は都道府県・指定都市を中心とした整備体制となっているため、機動性のある相談援助に限界がある。地域には、児童相談の機関として、家庭児童相談室や、児童家庭支援センターなどもあり、これらとの積極的業務分担による相談のシステム化と効率化が求められる。
 本研究は、このような相談体制の有効なシステム化を検討するものであり、今日の児童福祉改革の目標達成をより強化する意味で、非常に重要な意味をもつと考える。
研究方法
 本研究では、児童相談機関の設置機関および個々の相談機関を対象とした調査を実施する。なお、相談機関調査については、当面の課題が児童相談所と児童家庭支援センターにあるものと考え、エキスパート調査を並行的に実施する。
結果と考察
・相談の一次的窓口の市町村委譲については、評価がわかれる。評価をしている自治体でも、段階的な移行を求めるものがある。
・軽度の相談や障害児相談については、現状でも実質的に担っていると感じている自治体が多く、対応が可能であると考えているもの多い。要保護児童地域対策協議会については、どの程度の権限になるのかによって、評価が分かれる。職員の確保に不安を示している自治体のなかには、児童相談所からの人的な支援を求めるものもある。
・相談の一次的窓口の市町村委譲については、おおむね評価されている。
・児童相談所および市町村のいずれにおいても、職員の量的、質的確保を課題としてあげている人が多い。児童家庭支援センターについては、改革により位置づけが不明確となっており、少なくとも市レベルの設置にして、相談体制の強化に資する方がよいという意見がある。
・児童福祉審議会については機能していないという意見が多い。
結論
 児童福祉法改正をとおして、体制整備や人員配置、関係諸機関との連携、組織や職員の意識変化など、援助者側に関する良い変化が多くあげられた。また、住民にとっても窓口が身近になったこと、地域性に配慮した援助ができることにも肯定的な意見が見られた。しかし、一方で、人事異動や財源不足および自治体の規模による専門職配置の難しさや、関係諸機関との連携の難しさ、住民にとって身近だからこその配慮の必要性といった課題も多く提示されている。児童相談所が後方支援化することによる不安も多い。

公開日・更新日

公開日
2007-02-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200500412C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 児童相談の重要性は、従来より指摘されてきたところでり、個々の機関に関する研究については、古くより一定の成果がみられる。しかしながら、これまでの研究の多くは、個々の施設や機関を中心とする研究であり、それらを総合して一つのシステムとして研究するものは少ない。一部に試行的な試みはみられるが、量的な把握にとどまっている。本研究の独自性は、これまで積み上げられてきた研究の蓄積のうえにたち、現在進められている児童福祉改革の成果をより高めることに貢献できると考えられる。
臨床的観点からの成果
 判定を児童相談所に依頼、リスクアセスメントを児童相談所に依頼、相談内容の一時診断、児童相談所の判定への支援、児童相談所のリスクアセスメントへの支援などは市町村でもできると考えているが、リスクアセスメントを市町村単独で実施、法的対応は必要ではない困難ケースの判断、法的対応の必要性の判断、判定を市町村単独で実施は市町村では困難と考えていると把握されていることが明らかとなった。
ガイドライン等の開発
 市町村における子ども相談のグランドデザイン、市町村相談中核機関の機能要素と対応レベル、対応レベル別に見た児童相談所ー市町村機関のモデル、都道府県と市町村のケース分担例、市町村における相談の流れ図について提案した。
その他行政的観点からの成果
 市町村行政における相談体制改革への評価において、プラスの内容は、市町村内での連携が高まったこと、柔軟に対応できるようになったことなどが明らかとなった。マイナスあるいは不安の内容については、職員の量と質、市町村内の資源不足、市町村格差の拡大などが明らかとなった。

その他のインパクト
日本子ども家庭福祉学会において、研究課題として取り上げられている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
日本社会福祉学会・日本子ども家庭福祉学会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-