地域における子どもに係る犯罪・事故回避に関する研究

文献情報

文献番号
200500411A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における子どもに係る犯罪・事故回避に関する研究
課題番号
H16-子ども-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
詫間 晋平(川崎医療福祉大学医療技術学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院)
  • 赤倉 貴子(東京理科大学工学部第二部)
  • 柴若 光昭(東京大学教育学部)
  • 物部 博文(横浜国立大学教育人間科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来は無意図な外力のみに注目していた安全学は、人為による意図的な外力による事件(インシデント)の分析とその対策に大きく軸足を移す必要性に迫られている。そのためには、総合的なリスクマネジメントなどの危機管理の方法論が不可欠となってきている。子ども(乳幼児・児童)が受ける意図的な外力、即ち人為的な危害と意図的な外力による事故の実証的な実態調査とその分析を通し、子どもの安全・安心な育成環境をめざした危機管理(リスクマネジメント)等への実証的な貢献が本研究の目的である。
研究方法
地域における保育所、児童館、放課後児童クラブ等における子ども(乳幼児・児童)の危害・事故回避に対する安全対策と危機管理に関して、都市部と郊外部を含めた全国4地区で、23問で構成されサブクエスチョン9問と自由記述を含んだアンケート調査を503人の保護者に実施するとともに、諸施設の取材を行い、「参与観察」を実施した。本年度では、子どもの事故と事件とに大別し、犯罪事件については、特に「セキュリティ・ホール」と「犯罪空間」を、事故については「潜在的危険」と「瑕疵(かし)」に注目して分析を進めた。
結果と考察
「子どもが事故や犯罪にあうかも知れない」という不安は大都市のみでなく、中都市や市町村部にも広がり、ほぼ共通して、80%前後となっており、危険に対する漠然とした不安がかなり高い値を示しており、地域全体の協力による対応・対策を求める一種の「システム不安」高まっている。最近では様々な防犯グッズが販売され、子ども110番の家や店など、地域の「緊急避難所」も設置されているが、回答者の半数以上が「学校や地域で、子どもを犯罪から守るための活動はない」と回答していることから、もっと積極的な取り組みをすることが必要である。
結論
各種の子育て支援活動の中に育児相談等を通して、子どもの安全・安心の具体的指導を、より多く埋め込んでゆく必要がある。本研究で開発(試作)したジャンボ絵カルタを1つのツール(道具)として、親子の安全行動のレベルを高めることも有効である。また、「面」としての地域安全の形成とその向上には、筆者らも参画した「ヒヤリ地図」(国際交通安全学会,1998年刊・安全マップ)作りの共同作業とその地区における実際の点検活動が今後一層強く展開されることが望まれるところである。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200500411B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における子どもに係る犯罪・事故回避に関する研究
課題番号
H16-子ども-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
詫間 晋平(川崎医療福祉大学医療技術学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 則子(国立保健医療科学院)
  • 赤倉 貴子(東京理科大学工学部第二部)
  • 柴若 光昭(東京大学教育学部)
  • 物部 博文(横浜国立大学教育人間科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保育所、児童館(児童クラブを含む)、幼稚園、小学校等、諸施設の子どもの安全と防犯の実態について、全国的な視野で、アンケート調査や面接調査を通じて、保育所・児童館、幼稚園等におけるセキュリティ・ホールとしての「犯罪空間」や「事故」にひそむ「潜在的危険」と「瑕疵」に注目し、危害・事故回避に対する安全予防と危機管理に関する実証的研究である。
研究方法
25~30問のアンケート調査の後、諸施設の取材を行い子どもの安全と防犯の実態を観察する「参与観察」を実施した。保育所、幼稚園、児童館、放課後児童クラブ等のインシデント・アクシデントと、危害・事故回避に対する安全対策と危機管理に関して、第1年度は519人、第2年度は503人、合計1,022人の保護者からアンケート票を回収した。
結果と考察
施設や公園における子どもの好きな遊具の「三種の神器」は依然として「滑り台」「普通のブランコ「砂場」となっており、事故の集積性もここに表れるので、特に器具の不具合に瑕疵(かし)のないように努めなければならないが、遊具等による事故については、きめ細かな配慮と工夫によって十分避けえる可能性があるという状況が続いている。他方、誘拐や脅しを含めた身の危険を感じ怖い思いをした子どもは30%前後に上っており、子どもが事故・犯罪にあうかもしれないという不安をいだく保護者は約84%に上っている。その反面、犯罪から子どもの身を守る具体策をとっている保護者の割合は1割以下と低い。さらに、実際の犯罪防止活動に参加したことがある保護者は14.4%にすぎない。犯罪防止に対する保護者の意識はある程度高いが、行動レベルには達していない傾向がみられる。
結論
各種の子育て支援活動の中に育児相談等を通して、子どもの安全・安心の具体的指導を、より多く埋め込んでゆく必要がある。遊具等による事故については、きめ細かな配慮と工夫によって十分避けえる可能性がある。犯罪(安全)については、本研究で開発(試作)したジャンボ絵カルタを1つのツール(道具)として、親子の安全行動のレベルを高めることも有効である。また、「面」としての地域安全の形成とその向上には、筆者らも参画した「ヒヤリ地図」(国際交通安全学会,1998年刊・安全マップ)作りの共同作業とその地区における実際の点検活動が今後一層強く展開されることが望まれるところである。

公開日・更新日

公開日
2006-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500411C

成果

専門的・学術的観点からの成果
子どもの事故と事件を大別し、子ども(乳幼児・児童)が受ける意図的な外力、即ち人為的な危害と意図的な外力による事故の実証的な実態調査とその分析を通し、「事故・犯罪への不安」、「治療・治安への不安」等の鍵(キー)概念の抽出を行なった。子どもの安全・安心な育成環境をめざした危機管理(リスクマネジメント)等への実証的研究である。
臨床的観点からの成果
保護者を対象としたインシデント調査及び諸施設の取材と「参与観察」を実施し、遊具等による事故については、きめ細かな配慮と工夫によって十分避けえる可能性があるという状況である。他方、誘拐や脅しを含めた身の危険を感じ怖い思いをした子どもは30%前後に上っており、危険に対する漠然とした不安をいだく保護者は約84%に上っている。反面、実際の犯罪防止活動に参加した保護者は14.4%にすぎない。犯罪防止に対する保護者の意識はある程度高いが、行動レベルには達していない傾向がある。
ガイドライン等の開発
本研究で開発(試作)したジャンボ絵カルタを1つのツール(道具)として、親子の安全行動のレベルを高めることも有効である。また、「面」としての地域安全の形成とその向上には、筆者らも参画した「ヒヤリ地図」(国際交通安全学会,1998年刊・安全マップ)作りの共同作業とその地区における実際の点検活動が今後一層強く展開されることが望まれるところである。その結果を応用して、有効性のある施設間ネットワークによる「安全・防犯予防マップ」やジャンボ絵カルタ等を応用した防犯教育教材の作成をすすめている。
その他行政的観点からの成果
最近では様々な防犯グッズが販売され、入手しやすくなってきている。子ども110番の家や店など、地域の「緊急避難所」も設置されている。回答者の半数以上が「学校や地域で、子どもを犯罪から守るための活動はない」と回答していることから、もっと積極的な取り組みをすることが必要であろう。これに関して、厚生労働省育成環境課への子どもへの性犯罪回避対策についての提言をした。
その他のインパクト
平成18年3月17日、厚生労働省科学研究「子ども家庭総合研究推進事業」公開シンポジウムでの講演。日本児童安全学会(H17.3)での口頭発表。『保健医療科学』(H16)『こども未来』(H17)『チャイルドヘルス』(H17)誌への寄稿を求められ原稿が掲載された。

発表件数

原著論文(和文)
2件
「学校保健管理-地域におけるリスク管理の観点から-」(『保健医療科学』) 「子どもの危機管理の実態とこれからの安全対策について」(『チャイルドヘルス』)
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
「地域におけるリスク管理-子どもの犯罪・事故回避-」(『月刊こども未来』)
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
日本児童安全学会「赤羽児童館の安全管理についての分析」
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
「ジャンボ絵カルタ」の試作

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
詫間 晋平
学校保健管理-地域におけるリスク管理の観点から-
保健医療科学 , 53 (2) , 97-102  (2004)
原著論文2
詫間 晋平
地域におけるリスク管理-子どもの犯罪・事故回避-
こども未来 , 2005 (3) , 10-11  (2005)
原著論文3
詫間 晋平
子どもの危機管理の実態とこれからの安全対策について
チャイルドヘルス , 8 (7) , 65-68  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-