要保護年長児童の社会的自立支援に関する研究

文献情報

文献番号
200500409A
報告書区分
総括
研究課題名
要保護年長児童の社会的自立支援に関する研究
課題番号
H16-子ども-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
村井 美紀(東京国際大学 人間社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 伊智朗(札幌学院大学 人文学部)
  • 山田 勝美(長崎純心大学 人文学部)
  • 潮谷 恵美(久留米大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、社会的養護における自立支援の機能が要保護年長児童に対して有効に発揮されるための課題析出を行い、今後の支援の向上に寄与することを目的としている。特に自立援助ホームと地域小規模養護施設を対象として運営・援助体制の現状と「小規模」、「独立性をもつ」等の施設特性が施設運営、ならびに自立支援のあり方に及ぼす影響について実証的に把握し、両施設の要保護年長児童の自立支援に関わる役割、機能の有効性や課題分析を行うこととしている。
研究方法
本研究では、自立援助ホーム、地域小規模児童養護施設の実態把握、支援課題の析出を目的として、自立援助ホーム、児童養護施設の小規模養護に関わる文献資料収集、自立援助ホーム、地域小規模児童養護施設の施設訪問、施設運営・援助関係者に対するヒヤリング調査、全国悉皆郵送調査を行った。
結果と考察
本年度は自立援助ホームにおける、利用児童に対する援助実態の分析を行った。既存の児童養護施設等が十分に機能していない「谷間」(児童養護施設の年長児童の支援の継続や、家庭や司法機関から虐待や非行問題を抱える児童の入所等)の受け皿を自立援助ホームが埋めている実態が調査結果から明らかになった。また、地域小規模児童養護施設「基礎調査」からは「小規模」での生活が効果的であると評価されてはいるが、全体的には本園の自立支援の限界を乗り越えるような実践に至っているとは言い難いことがうかがえた。その要因の一つとして、「地域社会」の力を活用して自立支援を行う視点や力量に課題を残している現状が指摘できる。しかし、先駆的な地域小規模児童養護施設のなかには課題を解決するモデルとなりうる実践がみられ、そこに期待を持つことができる。さらに「地域社会」の力の活用は自立援助ホームにおける支援においても重要であることが示唆された。
結論
今回の調査結果から得られた知見は、自立援助ホーム、地域小規模児童養護施設の今後のあり方のみならず、児童養護問題、「非行」問題に関わる要保護年長児童の自立支援制度、政策のあり方について、いくつかの示唆がありうる。その点については、2006年度に予定されている利用者への面接調査の結果とあわせて、分析を深める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-02-27
更新日
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