引きこもりに繋がる小児慢性疲労、不登校の治療・予防に関する臨床的研究

文献情報

文献番号
200500404A
報告書区分
総括
研究課題名
引きこもりに繋がる小児慢性疲労、不登校の治療・予防に関する臨床的研究
課題番号
H16-子ども-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
三池 輝久(熊本大学大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤枝憲二(旭川医科大学医学部)
  • 沖潤一(旭川厚生病院)
  • 福永慶隆(日本医科大学医学部)
  • 玉井浩(大阪医科大学医学部)
  • 本間桂子(慶應義塾大学附属病院)
  • 倉恒弘彦(関西福祉科学大学)
  • 渡辺恭良(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児慢性疲労症候群(CCFS)とその家族の苦悩を未然に防ぐ治療・予防法を開発することにより不登校学生・児童を限りなくゼロに近づけると共に、日本社会の生産性を向上させ医療費削減に寄与することが目的である。
研究方法
CCFSの病態を更に明確にし、臨床的診断・治療・予防法確立に関する具体的・実践的研究を進めている。まず自律神経機能解析法の臨床応用研究、免疫機能から見た病態評価と治療への関わり、生体リズムを中心とした病態の基本への追求と治療への応用、高次脳機能の病態評価、高解像画像解析による評価を確立するために研究を進めている。このことを基盤として生体リズムの賦活による治療法の有用性を高照度光治療で検証する、あるいはホースセラピーなどの動物による生命力維持脳の賦活を通した治療法の確立を目指している。
結果と考察
玉井らは難治性ODを伴うCCFSであってもPSは思春期以降に改善する傾向を示し、福永らはGH分泌不全性低身長を合併したAIFS患者2例に対してGH補充療法を行った結果,疲労感や種々の不定愁訴が改善、ANAが陰性化を示し.藤枝らはActigraphyを用いた生活リズムの定量的評価からCCFS患者では一日の総睡眠量が長く、起きている時間の活動量は少ない傾向が示唆された。沖らは、成長曲線はライフイベントの時期を反映しており,心因性か感染が契機かの鑑別診断の一助となりうることを明らかにした。松尾らは、尿中コルチゾール代謝物を測定することにより、精神疾患を有する不登校患者におけるコルチゾール分泌の異常を示した。渡辺らは、学習意欲と疲労は小児慢性疲労症候群の診断基準票の複数の項目、学習意欲・疲労・睡眠は密接なトライアングルを形成していると考えられ、倉恒らは馬介在療法を行う前に評価した脈拍の揺らぎ、血清中のDHEASが馬介在療法後に、有意差を示した。三池らは、CCFSではコントロール群に対し、血清ピルビン酸濃度が有意に高く、ミトコンドリアにおけるエネルギー(糖)代謝の異常が示唆された。
結論
免疫学的な手法や自律神経機能検査の確立、アクチグラムによる行動観察、尿中のホルモン分泌の態度などの指標が次第に明確になってきており,また、「意欲の脳機能」は子どもたちが中枢性疲労による学業不振の源を探る研究である。馬介在療法はどリハビリ治療に近い側面を持つ。今後は更に検討を重ね、CCFSの根本的な治療開発と予防解明に努めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-