文献情報
文献番号
200500398A
報告書区分
総括
研究課題名
生殖補助医療の安全管理および心理的支援を含む統合的運用システムに関する研究
課題番号
H16-子ども-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 泰典(慶應義塾大学医学部産婦人科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 久保 春海(東邦大学医学部第1産婦人科)
- 石原 理(埼玉医科大学産婦人科)
- 齊藤 英和(国立成育医療センター周産期部不妊診療科)
- 苛原 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部女性医学)
- 柳田 薫(国際医療福祉大学臨床医学研究センター)
- 緒方 勤(国立成育医療センター研究所・小児思春期発達研究部)
- 久慈 直昭(慶応義塾大学医学部産婦人科学教室)
- 朝倉 寛之(財団法人田附興風会医学研究所・第3研究部)
- 森岡 由起子(山形大学医学部看護学科)
- 宮島 清(日本社会事業大学福祉マネジメント研究科)
- 岩崎 美枝子(社団法人家庭養護促進協会・大阪事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では配偶子提供を含む新しい生殖補助医療の安全管理・情報提供・関係者への心理的支援体制を含む統合的運用システムを構築する。
研究方法
第一に生殖補助医療技術を担う各医療機関の設備、スタッフ、そして殆どが海外からの輸入に頼る培養液を含む消耗品の品質管理等についての現状調査を行った。第二に安全性検証のため、とくに一卵性双胎とgenomic imprinting機構異常が発生しうるかどうかを検討した。第三に、配偶子提供を含む生殖補助医療を受けるカップルと、生まれてくる子供へのカウンセリング体制を構築するため、不妊カウンセリングの実態調査、および配偶子提供に対する提供者・潜在的提供者の意識調査、さらに養子縁組と対比して配偶子提供をうけた不妊夫婦の子どもに対する意識調査を、海外における動向調査を含めて行った。
結果と考察
生殖補助医療体系における設備について、実効的な新たな基準設定が必要と考えられた。ART用機器・消耗品については現在使われているほとんどの消耗品が米国食品医薬品局基準に適合しており、これは米国以外の海外諸国と同様である。ARTでは一卵性双胎の頻度が自然妊娠に比べARTで増加すること、またimprinting異常がART出生児に起こりうることを我が国のデータから実証した。またART周期のゴナドトロピン製剤自己注射は安全かつ有効に臨床応用可能で、通院回数を減らすことができる。
不妊カウンセリング体制は階層的体制が望ましいが、カウンセリングに携わる場合に専門的知識、特に遺伝学的知識の必要性と、患者への情報提供のための窓口整理の必要性がある。配偶子提供に関して、卵子提供を新たに我が国で実施する際の提供者への注意点が明らかとなり、また一般男女の告知と出自を知る権利に対する意識が明らかになった。またARTや配偶子提供で生まれてきた子供や親への支援に対しては、どちらの治療を受けたかで別の公的医療機関が対応する方が望ましいと考えられた。
また、生殖補助技術を基礎技術とする着床前診断の説明と同意取得手順を作成した。
不妊カウンセリング体制は階層的体制が望ましいが、カウンセリングに携わる場合に専門的知識、特に遺伝学的知識の必要性と、患者への情報提供のための窓口整理の必要性がある。配偶子提供に関して、卵子提供を新たに我が国で実施する際の提供者への注意点が明らかとなり、また一般男女の告知と出自を知る権利に対する意識が明らかになった。またARTや配偶子提供で生まれてきた子供や親への支援に対しては、どちらの治療を受けたかで別の公的医療機関が対応する方が望ましいと考えられた。
また、生殖補助技術を基礎技術とする着床前診断の説明と同意取得手順を作成した。
結論
安全管理のためのガイドライン、消耗品などの情報提供、あるいは精神的支援体制を、我が国全体として何らかの形で構築する必要性が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2006-06-07
更新日
-