文献情報
文献番号
200500396A
報告書区分
総括
研究課題名
育児機能低下と乳児虐待の評価パッケージの作成と、それを利用した助産師と保健師による母親への介入のための教育と普及
課題番号
H16-子ども-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 敬子(九州大学病院 精神科神経科)
研究分担者(所属機関)
- 山下 洋(九州大学病院 精神科神経科)
- 鈴宮 寛子(福岡市東区保健福祉センター)
- 江井 俊秀(母子衛生研究会)
- 上別府 圭子(東京大学大学院医学系研究科 家族看護学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
地域の保健所からの出産後の母子訪問の既存のシステムを利用して、育児の状況を早期に評価し、対象となる家族への地域にあった育児支援を行う方法を開発する。
研究方法
昨年度作成した母親の精神状態と育児機能を総合的に把握できる質問票を用いた評価パッケージ(育児環境を評価するチェックリスト、産後うつ病質問票、赤ちゃんへの気持ち質問票)を作成して、それを育児支援マニュアルとしてまとめた。今年度はそれを教材として、全国の地域の保健所の母子保健スタッフを対象に、研修会を東京と福岡で開催する。その後各地域での出産後の育児支援の実態を把握するため、参加者を対象にしたアンケートを行い、研修会での教育効果も判定する。
さらに参加者を登録し、人材連絡簿を作成する。地域でのマニュアルにもとづく介入の実施状況のフォローアップ調査と育児支援効果の判定を行う。加えて研究先行地域である福岡市についても経年的に本育児支援方法の実施効果について検討する。
さらに参加者を登録し、人材連絡簿を作成する。地域でのマニュアルにもとづく介入の実施状況のフォローアップ調査と育児支援効果の判定を行う。加えて研究先行地域である福岡市についても経年的に本育児支援方法の実施効果について検討する。
結果と考察
研修の参加者は、全国への普及を考慮して各地域からの参加は原則として1名とし、東京と福岡で110名および122名であった。研修は、理論、自己記入式質問票を利用した実際の育児支援の方法、およびモデル事例によるグループワークを導入した。研修後、本支援方法の導入と継続の希望が多かった。教育効果は、これまでに質問票の使用経験がないと、支援の実際についての理解度は低くなることがわかったので、今後新たにこの支援方法を導入する地域や対象者には、研修プログラムの内容を検討する必要性が示唆された。
各地域での出産後の育児支援の実態については、研修参加者からの回答136名(58.6%)により、産後うつ病の平均検出率は13.2%となったが、地域によって0%から40%とばらつきが大きかった。それは支援の背景となる母子訪問対象の条件や訪問数、訪問率などの指標が地域によって異なるためと考えられた。このため育児支援マニュアルという共通のツールと指標を導入するとしても、それを効果的に運用するシステムについては各地域の実情にあった支援モデルの修正の必要性が示唆された。先行地域の福岡市での結果でも、うつ病の検出率は経年的な縦断面調査の年度と各区域により変化していることが明らかとなり、その数値の意味を検証する必要性が示唆された。
各地域での出産後の育児支援の実態については、研修参加者からの回答136名(58.6%)により、産後うつ病の平均検出率は13.2%となったが、地域によって0%から40%とばらつきが大きかった。それは支援の背景となる母子訪問対象の条件や訪問数、訪問率などの指標が地域によって異なるためと考えられた。このため育児支援マニュアルという共通のツールと指標を導入するとしても、それを効果的に運用するシステムについては各地域の実情にあった支援モデルの修正の必要性が示唆された。先行地域の福岡市での結果でも、うつ病の検出率は経年的な縦断面調査の年度と各区域により変化していることが明らかとなり、その数値の意味を検証する必要性が示唆された。
結論
地域の保健所からの母子訪問を利用した方法は、出産後早期の母親が在宅で支援を受けやすく、実際的な育児支援である。全国で本支援の方法を共有し、かつ各地域での独自の工夫が必要であり、その開発を行う。
公開日・更新日
公開日
2006-09-20
更新日
-