難治性神経芽腫の克服に向けたトランスレーショナルリサーチの基盤づくりと臨床研究ネットワークの構築

文献情報

文献番号
200500394A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性神経芽腫の克服に向けたトランスレーショナルリサーチの基盤づくりと臨床研究ネットワークの構築
課題番号
H15-子ども-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中川原 章(千葉県がんセンター 研究局)
研究分担者(所属機関)
  • 秦 順一(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における神経芽腫の新たなトランスレーショナルリサーチの基盤を確立することを目的とし、平成17年度は、神経芽腫組織バンクおよび中央病理診断と分子生物学的診断体制をさらに充実させ、日本神経芽腫スタディグループとの連携を目指した。さらに、「神経芽腫研究会」による臨床研究ネットワークの構築を進め、これもグループスタディとの連携を試みた。
研究方法
国立成育医療センターと千葉県がんセンター研究所に神経芽腫組織バンク体制を確立した。神経芽腫中央病理診断については、国立成育医療センターにおいて、INPC新国際分類による診断体制を敷いた。千葉県がんセンター研究所においてDNA, RNAを抽出し、MYCN増幅をSouthern blot法とFISH法、TrkA発現をNorthern blot法、DNA ploidyをFACScanにて測定した。また、血中MidkineレベルおよびHGFレベルの測定を行った
結果と考察
1.国立成育医療センター研究所および千葉県がんセンター研究所の2カ所に神経芽腫組織バンク体制を確立した。これにより、稀少がんである神経芽腫の半永久的組織保存体制が確立された。2.INPC新国際神経芽腫病理診断を導入した中央病理診断システムを確立した。また、組織切片を用いたFISH法を開発し、MYCNがん遺伝子の増幅、1p欠失などの検索システムを築いた。3。難治性神経芽腫克服のための新しい予後予測用DNAミニチップを開発し、民間のSRL株式会社に技術移管し、第3段階の前向き試験によるバリデーションを開始した。将来の新しいリスク分類へ向けて大きなインパクトとなった。4.平成14年に設立した「神経芽腫研究会」:本年度は、第7回および第8回の神経芽腫研究会を東京において開催した。分野を超えて神経芽腫に関連した基礎研究をしている研究者が多数参加し、臨床研究ネットワークの構築に重要な役割を果たした。
結論
神経芽腫検体センターが整備され、日本神経芽腫スタディグループとの連携により、我が国における神経芽腫の中央病理診断と遺伝子診断体制が確立された。また、第8回を迎えた神経芽腫研究会も基盤が固まり、我が国における神経芽腫トランスレーショナルリサーチの基盤作りと臨床研究ネットワークの構築に貢献することができた。

公開日・更新日

公開日
2006-10-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200500394B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性神経芽腫の克服に向けたトランスレーショナルリサーチの基盤づくりと臨床研究ネットワークの構築
課題番号
H15-子ども-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中川原 章(千葉県がんセンター 研究局)
研究分担者(所属機関)
  • 秦 順一(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳児マススクリーニングの休止後、我が国における神経芽腫の予後は未だ30%にとどまっており、緊急な対応策が待たれていた。そこで、我々は、我が国における新たな神経芽腫トランスレーショナルリサーチの基盤を確立することを目的とし、神経芽腫組織バンクおよび中央病理診断と分子生物学的診断体制を確立し、日本神経芽腫スタディグループとの連携による国際競争力のある基盤体制作りを目指した。
研究方法
国立成育医療センターと千葉県がんセンター研究所に神経芽腫組織バンク体制を確立した。中央病理診断にはINPC新国際分類を導入した。神経芽腫遺伝子診断体制の確立のため、組織保存体制の整備、MYCN増幅などの必要検査の実施体制を確立したほか、独自に開発したcDNAマイクロアレイを用いた実用化ミニチップの受託検査体制を樹立した。
結果と考察
1.国立成育医療センター研究所および千葉県がんセンター研究所の2カ所に神経芽腫組織バンク体制を確立した。両組織バンクは、日本神経芽腫スタディグループ(JNBSG)と連携し、国際的連携も視野に入れて運営する方針とした。2.INPC新国際神経芽腫病理診断を導入し、組織切片を用いたFISH法も行える中央病理診断システムを確立した。より精度の高いリスク分類の確立へ向けて準備がほぼ整った。3.従来の神経芽腫遺伝子診断システムを改変し、新しい国際リスク分類に適合する診断体制を確立した。今後の新たなゲノム異常の検査法開発へ向けての基盤となるものと期待される。4.難治性神経芽腫克服のための新しい予後予測用DNAミニチップを開発し、民間のSRL株式会社に技術移管した。受託検査として第3段階の前向き試験によるバリデーションを行った。将来のリスク分類の要として期待される。5.主任および分担研究者が立ち上げた「神経芽腫(基礎)研究会」は、平成17年度までに8回開催され、我が国における神経芽腫の臨床研究ネットワーク構築に重要な役割を果たした。
結論
3年の研究期間をとおして、主任及び分担研究者の施設が神経芽腫検体センター(中央病理診断と遺伝子診断)となり、我が国における神経芽腫マススクリーニング休止後の新しい臨床研究体制が確立された。また、「神経芽腫研究会」も基盤が固まり、我が国における神経芽腫トランスレーショナルリサーチの基盤作りと臨床研究ネットワークの構築に貢献することが期待された。

公開日・更新日

公開日
2006-09-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500394C

成果

専門的・学術的観点からの成果
INPC新国際神経芽腫病理診断を導入し、組織切片を用いたFISH法も行える中央病理診断システムを確立した。また、従来の神経芽腫遺伝子診断システムを改変し、新しい国際リスク分類に適合する診断体制を確立した。さらに、難治性神経芽腫克服のための新しい予後予測用DNAミニチップを開発し、民間のSRL株式会社に技術移管した。また、「神経芽腫(基礎)研究会」を立ち上げ、我が国における神経芽腫の臨床研究ネットワーク構築に重要な役割を果たした。
臨床的観点からの成果
乳児マススクリーニングの休止後、我が国における神経芽腫の予後は未だ30%にとどまっており、緊急な対応策が待たれていた。本研究において、我々は神経芽腫組織バンクおよび中央病理診断と分子生物学的診断体制を作り、日本神経芽腫スタディグループとの連携による国際競争力のある基盤体制を確立した。また、新しい予後予測用DNAミニチップのカスタム化により、我が国における新たな神経芽腫トランスレーショナルリサーチの方向性を示した。 
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
56件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
18件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tomioka N, Kobayashi H, Kageyama H, et al.
Chromosomes that show partial loss or gain in near-diploid tumors coincide with chromosomes that show whole loss or gain in near-triploid tumors: Evidence suggesting the involvement of the same genes in the tumorigenesis of high- and low-risk
Genes Chromosomes Cancer , 36 (2) , 139-150  (2003)
原著論文2
Saito-Ohara F, Imoto I, Inoue J, et al.
PPM1D is a potential target for 17q gain in neuroblastoma.
Cancer Res. , 63 (8) , 1876-1883  (2003)
原著論文3
Peuchmaur,M, d'Amore, ESG; Joshi, VV, et al.
Revision of the international neuroblastoma pathology classification based on confirmation of favorable and un favorable prognostic subsets of ganglioneuroblastoma, nodular by applying the age-linked morphologic criteria to its neuroblastic
Cancer , 98 (10) , 2274-2281  (2003)
原著論文4
Okamoto Y, Ozaki T, Miyazaki K, et al.
UbcH10 is the cancer-related E2 ubiquitin conjugating enzyme.
Cancer Res. , 63 (14) , 4167-4173  (2003)
原著論文5
Ohira M, Morohashi A, Inuzuka H, et al.
Expression profiling and characterization of 4,200 genes cloned from primary neuroblastomas: Identification of 305 genes differentially expressed between favorable and unfavorable subsets.
Oncogene , 22 (35) , 5525-5536  (2003)
原著論文6
Nakamura Y, Ozaki T, Koseki H, et al.
Accumulation of p27KIP1 is associated with BMP2-mediated growth arrest and neuronal differentiation of human neuroblastoma-derived cell lines.
Biochem. Biophys. Res. Commun. , 307 (1) , 206-213  (2003)
原著論文7
Miyazaki K, Fujita T, Ozaki T, et al.
NEDL1, a novel ubiquitin-protein isopeptide ligase for Dishevelled-1, targets mutant superoxide dismutase-1.
J. Biol. Chem. , 279 (12) , 11327-11335  (2004)
原著論文8
Ando K, Ozaki T, Yamamoto H, et al.
Polo-like kinase 1 (Plk1) inhibits p53 function by physical interaction and phosphorylation.
J. Biol. Chem. , 279 (24) , 25549-25561  (2004)
原著論文9
Allan, EH, Ho PW, Umezawa, A, et al.
Differential potential of a mouse bone marrow stroma cell line.
J Cell Biochem , 90 (1) , 158-169  (2004)
原著論文10
Kramer S, Ozaki T, Miyazaki K, et al.
Protein stability and function of p73 are modulated by a physical interaction with RanBPM in mammalian cultured cells.
Oncogene , 24 (5) , 938-944  (2005)
原著論文11
Abe M, Ohira M, Kaneda A, et al.
CpG island methylator phenotype is a strong determinant of poor prognosis in neuroblastomas.
Cancer Res. , 65 (3) , 828-834  (2005)
原著論文12
Lin L, Ozaki T, Takada Y, et al.
topors, a p53 and topoisomerase I-binding RING finger protein, is a co-activator of p53 in growth suppression induced by DNA damage.
Oncogene , 24 (21) , 3385-3396  (2005)
原著論文13
Ohira M, Oba S, Nakamura Y, et al.
Expression profiling using a tumor-specific cDNA microarray predicts the prognosis of intermediate-risk neuroblastomas.
Cancer Cell , 7 (4) , 337-350  (2005)
原著論文14
Hanamoto T, Ozaki T, Furuya K, et al.
Identification of protein kinase A catalytic subunit beta as a novel binding partner of p73 and regulation of p73 function.
J. Biol. Chem. , 280 (17) , 16665-16675  (2005)
原著論文15
Aoyama M, Ozaki T, Inuzuka H, et al.
LMO3 interacts with neuronal transcription factor, HEN2, and acts as an oncogene in neuroblastoma.
Cancer Res. , 65 (1) , 4587-4597  (2005)
原著論文16
Hosoda M, Ozaki T, Miyazaki K, et al.
UFD2a mediates the proteasomal turnover of p73 without promoting p73 ubiquitination.
Oncogene , 24 (48) , 7156-7169  (2005)
原著論文17
Kaneko Y, Kobayashi H, Watanabe N, et al.
Biology of neuroblastomas that were found by mass screening at 6 months of age in Japan.
Pediatr. Blood Cancer , 46 (3) , 285-291  (2006)
原著論文18
Isono K, Nemoto K, Li Y, et al.
Overlapping roles for homeodomain-interacting protein kinases Hipk1 and Hipk2 in the mediation of cell growth in response to morphogenetic and genotoxic signals.
Moll. Cell. Biol. , 26 (7) , 2758-2771  (2006)
原著論文19
Machida T, Fujita T, Oo M L, et al.
Increased expression of pro-apoptotic BMCC1, a novel gene with the BNIP2 and Cdc42GAP homology (BCH) domain, is associated with favorable prognosis in human neuroblastomas.
Oncogene  (2006)
原著論文20
Niizuma H, Nakamura Y, Ozaki, et al.
Bcl-2 is a key regulator for the retinoic acid-induced apoptotic cell death in neuroblastoma.
Oncogene  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
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