文献情報
文献番号
200500392A
報告書区分
総括
研究課題名
児童福祉機関における思春期児童等に対する心理的アセスメントの導入に関する研究
課題番号
H15-子ども-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 哲(大阪大学大学院人間科学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 奥山眞紀子(国立成育医療センターこころの心療部)
- 福山清蔵(立教大学コミュニティ福祉学部)
- 犬塚峰子(東京都児童相談センター治療指導課)
- 阿部惠一郎(創価大学教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は,虐待に特化した心理的アセスメントの開発を目的に2003年度に開始された.その最終年度に当たる本年度は,これまでに作成したアセスメントの方法の臨床的妥当性及び結う要請の確認を行い,必要に応じた改良を加えることを主たる目的とした.
研究方法
上記の目的のために,関東各県に虐待を主訴に一時保護した事例を対象に,一時保護時に一次調査を行いさらに数ヵ月後に追跡調査を実施した.
一次調査と追跡調査の結果を比較分析することによって,半構造化面接法と行動チェックリスト(ACBL)の臨床的妥当性及び有用性を検討した.
また,乳幼児を対象としたチェックリストについては,前年度までの調査で得られた多量のデータをもとに,より詳細な分析を実施した.
その他,一時保護事例の保護者を対象とした精神医学的問題の検討,及び家族アセスメントの分析を行なった.
一次調査と追跡調査の結果を比較分析することによって,半構造化面接法と行動チェックリスト(ACBL)の臨床的妥当性及び有用性を検討した.
また,乳幼児を対象としたチェックリストについては,前年度までの調査で得られた多量のデータをもとに,より詳細な分析を実施した.
その他,一時保護事例の保護者を対象とした精神医学的問題の検討,及び家族アセスメントの分析を行なった.
結果と考察
半構造化面接法に関して,追跡調査に回答のあった29事例の内容の分析,及びACBLに回答のあった69事例の分析から,本面接法及びACBLが臨床的妥当性を備えていることが確認された.
乳幼児用チェックリストの分析によって,本尺度が施設に入所中の乳幼児の心理・行動特性を的確に把握しうることが確認された.
また,これらの尺度を用いた応用研究によって,虐待の種別や保護者の心理と子どものの問題とに一定のパターンがあること,乳幼児の心理・行動面の安定性には入所回数や虐待以外のトラウマ体験が関与していることが示唆された.
120人を対象とした調査結果から,6因子構造を持つ保護者の「虐待心性尺度」が作成された.
保護者の精神医学的な分析によって,深刻な虐待傾向を示す保護者の約3分の1が精神保健に関する問題を抱えていることが明らかとなった.
また,虐待が生じる家族背景を検討するための家族アセスメントチェックリストが作成された.
乳幼児用チェックリストの分析によって,本尺度が施設に入所中の乳幼児の心理・行動特性を的確に把握しうることが確認された.
また,これらの尺度を用いた応用研究によって,虐待の種別や保護者の心理と子どものの問題とに一定のパターンがあること,乳幼児の心理・行動面の安定性には入所回数や虐待以外のトラウマ体験が関与していることが示唆された.
120人を対象とした調査結果から,6因子構造を持つ保護者の「虐待心性尺度」が作成された.
保護者の精神医学的な分析によって,深刻な虐待傾向を示す保護者の約3分の1が精神保健に関する問題を抱えていることが明らかとなった.
また,虐待が生じる家族背景を検討するための家族アセスメントチェックリストが作成された.
結論
1.本研究によって,子どもに対する虐待経験の心理・行動的影響,及び保護者の心理を客観的に評価するための,信頼性及び妥当性を備えた面接法及び尺度が作成された.
2.これらの尺度を用いることによって,従来,経験等に依拠せざるを得なかった虐待事例に対するソーシャルワークを実証的に行ないうる可能性が示された.
3.また,子どもや保護者の心理的な治療やケアに対するニーズを客観的に評価し,プランを立てることが可能となる.
4.虐待事例においては,保護者の精神科的問題を考慮に入れたケースワークが必要である.
2.これらの尺度を用いることによって,従来,経験等に依拠せざるを得なかった虐待事例に対するソーシャルワークを実証的に行ないうる可能性が示された.
3.また,子どもや保護者の心理的な治療やケアに対するニーズを客観的に評価し,プランを立てることが可能となる.
4.虐待事例においては,保護者の精神科的問題を考慮に入れたケースワークが必要である.
公開日・更新日
公開日
2006-10-16
更新日
-