文献情報
文献番号
200500391A
報告書区分
総括
研究課題名
母子関係障害についての精神医学的・発達心理学的研究―母子関係障害解決・予防のための基礎研究―
課題番号
H15-子ども-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
本城 秀次(名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 氏家 達夫(名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター )
- 村瀬 聡美(名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター )
- 金子 一史(名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター )
- 板倉 敦夫(埼玉医科大学 産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,511,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、妊娠中の様々な精神医学的、心理学的要因と産後の母親のメンタルヘルスや母子関係障害の問題を実証的に明らかにすることであった.また,母子関係障害の早期予防と母子関係を促進するために,母親の自己診断ノートを作成することであった.
研究方法
名古屋大学医学部附属病院産科を受診した妊婦を対象に質問紙調査を継続して実施した。調査は、外来受診時妊娠12週から20週の妊婦を対象に本研究への協力を依頼し、同意したものに対して調査が行われた。調査は妊娠中に3回、出産後には、産褥期、出産後1カ月、6カ月、1年半というように継続して実施され、現在は3歳までフォローしている。現在までのところ、初回質問紙に回答した妊婦の数は約600名である。もうひとつの研究対象は、名古屋市近郊のT市在住する乳幼児を持つ母親約1100名である。これらの母親を対象に親行動、ストレス、夫への満足度、パーソナリティ特性、抑うつ、本人の生育歴、子どもの気質特徴を調査した。
結果と考察
妊娠中の母親の抑うつ、胎児に対する愛着は,出産後の母親の抑うつおよび子どもに対する愛着と関連していることが示された.妊娠期に抑うつ的である母親は出産後も抑うつ傾向を示す可能性が高く、そのため、注意が必要である。また、一部には妊娠期に抑うつ傾向が高くなかったにもかかわらず、出産後に抑うつ得点が高くなる母親がいるので,注意を要する.また,妊娠期の母親の抑うつや愛着の持ちにくさは、生後2年目の子どもに対する否定的感情や拒否などと関連が見られた.しかし、行動レベルにおける虐待的傾向とは関連が見られなかった.つまり妊娠期の抑うつや愛着の持ちにくさは,否定的感情とは関連があるものの,それが虐待傾向という直接行動レベルに表れるわけではない事が示唆された.子どもに対する危険な徴候として、「子どもに対する関わり方の分からなさ」「子どもに対する腹立ち」が重要であることが示された.自己診断ノートが開発され,母親自身が自分で感情を自己評価できるようになった.
結論
妊娠期から出産後にかけて母子の相互作用に関連する要因について検討を行った。母親の自己診断ノートを開発した.これは,実際の子育てに活用されている.
公開日・更新日
公開日
2006-09-20
更新日
-