文献情報
文献番号
200500382A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛症に係るより効果的かつ効率的な診断、治療、介護及びリハビリテーション等の確立に関する研究(臨床研究実施チームの整備)
課題番号
H16-チム(痴・骨)-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
戸山 芳昭(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
26,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
腰痛を訴える骨粗鬆症患者に対する臨床研究体制を整えることを目的に、骨質評価を指標とした骨粗鬆症治療薬の効果判定、心理的因子によって左右されうる腰痛の客観的な評価、ステロイド性骨粗鬆症に対するビタミンK追加投与によるオステオカルシンの変動を解析した。
研究方法
閉経後骨粗鬆症患者を対象として、無作為化した4群の骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート群、ビタミンD3群、ビスフォスフォネート+ビタミンD3群、塩酸ラロキシフェン+ビタミンD3群)の投与前後において、骨密度、骨代謝マーカー(NTx, BAP, TRAP5b)、脊椎X線、QOL評価、およびMD-CTによる三次元骨微細構造解析をおこなった。腰痛を有する閉経後骨粗鬆症患者を対象として、カルシトニンまたはNSAID投与前後において、ニューロメーターを用いて疼痛閾値(Aβ、Aδ、C線維)の測定をおこなった。続発性骨粗鬆症患者を対象に、ビスフォスフォネート+ビタミンKの追加投与前後において血清オステオカルシン濃度を測定した。
結果と考察
4群の骨粗鬆症治療薬投与後6ヶ月の経過において、いずれも%YAM値の上昇、VASの改善がみられ、血清マーカーおよび骨梁構造パラメーターとの相関について検討を加えている。カルシトニン投与によりVASの改善がみられ、ニューロメーターによる測定で有髄神経Aβ線維、有髄神経Aδ繊維、無髄神経C線維の疼痛閾値の上昇を認めた。NSAID投与では疼痛閾値の変化に有意差はみられなかった。カルシトニン製剤の鎮痛作用機序の一つとして、C線維上のセロトニン受容体数の変化が報告されており、現在のところ臨床における機序を示唆するものであった。続発性骨粗鬆症患者において、ビスフォスフォネート+ビタミンKの追加投与により血清グラ化オステオカルシンの上昇を認めた。
結論
骨粗鬆症に対するエビデンスに基づいた臨床研究体制を整えた。症例数を蓄積することによって、骨粗鬆症患者の骨質に対する薬剤介入効果、閉経後の痛覚過敏状態における客観的な感覚閾値評価方法、ステロイド性骨粗鬆症に対する治療指針確立に活用できる可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2006-05-23
更新日
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