文献情報
文献番号
200500372A
報告書区分
総括
研究課題名
虚弱高齢者の自立度と身体活動及び栄養の関係に関する実践研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高田 和子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所健康増進研究部)
研究分担者(所属機関)
- 長屋政博(国立長寿医療センター)
- 熊谷修(人間総合科学大学 人間科学部)
- 松原充隆(名古屋市総合リハビリテーションセンター)
- 川合秀治(全国老人保健施設協会)
- 橋本修二(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自立度のレベルに応じた身体活動量や栄養のあり方、介入の方法に関する資料を作成することを目的して、異なった自立度の高齢者に対する運動及び栄養の介入を行い、その介入内容の検討や効果の検証を行うことで、介護予防における運動・栄養介入のあり方について提案する。
研究方法
(1)虚弱高齢者:特別養護老人ホーム3施設に入所している虚弱高齢者を施設ごとに運動介入群、消化酵素剤内服群と対照群に分けた。運動介入群と消化酵素内服群は、1回90分間、週2日、8週間の運動を施行した。消化酵素剤内服群は、ベリチーム顆粒を内服した。(2)脳卒中後高齢者:病院でのリハビリテーション終了後の高齢者31名を対象に運動療法を3年間実施した。(3)自立高齢者:地域在住の自立高齢者を対象とし、週1回約90分の運動教室を実施した。(4)地域:南外村在住の67歳以上在宅高齢者を対象に、自立高齢者のための介護予防プログラム「テイクテン」(国際生命科学協会健康推進協力センター提供)による介入を約2年間行った。(5)地域在住高齢者の低栄養リスク評価:山梨県山間部の一村の高齢者全員を対象に身体状況、食事の準備状況、栄養摂取に関連する背景に関する調査を実施した。
結果と考察
運動介入は、特別養護老人ホーム入所者の筋力および行動の活発化を促進するものの、栄養状態の改善にはつながらず、運動が負荷になる可能性も示唆された。消化酵素剤の内服は、栄養状態を低下させないで、運動の効果を示すことが認められた。脳卒中後高齢者では下肢筋力は、徐々にではあるが下肢筋力の増強がみられた。統合運動能は運動前に比べ1年、2年、3年終了時ともに有意な改善が見られた。十分な栄養素を摂取している自立高齢者では、運動介入が栄養状態への負担にならず、かえって筋力トレーニングが身体のたんぱく質代謝への刺激となった可能性がみられた。地域を対象とした介入では男女とも肉類、乳製品などの摂取頻度が増加し、運動、スポーツ習慣を持つ者も有意に増加した。複合介入プログラムを活用した長期介入が自立した地域在宅高齢者の運動習慣と栄養状態の改善に有効なことを示していた。低栄養リスク評価では男性では体重が増加する者が多く、女性と65?74歳、介助が必要な者では体重が減少する傾向にあった。SCREENの得点は平均45点で、45点未満の者は全体の43% 、50点未満の者は全体の71%であった。
結論
高齢者に対する運動介入・栄養介入の長期的な効果が検証された。運動介入時には、自立度や栄養摂取状況に応じて、栄養面でのケアも必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-14
更新日
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