文献情報
文献番号
200500368A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒッププロテクターによる介護施設の大腿骨頚部骨折予防研究-製品差の検討-
課題番号
H16-痴呆・骨折-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
原田 敦(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 猪田 邦雄(名古屋大学医学部保健学科)
- 長屋 政博(国立長寿医療センター)
- 徳田 治彦(国立長寿医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,025,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒッププロテクターは力学性能やコンプライアンスに製品差があるが、その臨床的意義は不明である。そこで本研究では介護施設入所者の大腿骨頚部骨折予防における製品差を検討した。プロテクター使用支援に係わる介護者負担についても検討した。
研究方法
対照と2製品を比較する無作為試験で、参加基準は、介護施設入所中の車いす以上の移動能力で大腿骨頚部骨折リスクを1つ以上有する70歳以上女性とした。プロテクターは7製品から衝撃試験にて選定した。開始時に、病歴、転倒・骨折歴、服薬状況、認知能力、ADL、踵骨骨量、骨関連血液生化学を評価し、MMSE15点以上の者には、筋力、バランス、QOL、転倒恐怖等も評価した。開始後は、プロテクター装着状況、転倒と外傷を毎日記録し、大腿骨頚部骨折発生を3群で比較した。介護者負担についてアンケートを行った。
結果と考察
平成17年12月で42施設、456名が登録され、施設別無作為化により硬性プロテクター(硬性)群128名、軟性プロテクター(軟性)群147名、対照群181名に割付られた。参加者の転倒リスクは低体重、低ADL、低MMSEに関連し、血液検査から潜在的なPTH分泌亢進および骨代謝亢進の可能性が強く示唆された。平均6ヶ月の間に大腿骨頚部骨折が5例発生し、硬性群2名、軟性群0名、対照群3名であった。プロテクター2群まとめて対照群と大腿骨頚部骨折率を比較すると、前者で0.73%、後者で1.66%とプロテクターは介護施設高齢者の大腿骨頚部骨折をほぼ半減させていた。ただ、製品別にみると骨折抑制を示したのは軟性だけであった。硬性群は完全着用率62%、夜間以外着用率25%でコンプライアンス87%、軟性群は完全着用率70%、夜間以外着用率9%でコンプライアンス79%とコンプライアンスは大変高かった。さらに、プロテクター使用支援の負担が大きいとした介護者は硬性群26%、軟性群19%で、支援に1日硬性群16.8分、軟性群14.3分を要し、製品差はなかった。
結論
ヒッププロテクターの製品差を明らかにするための無作為比較試験に介護施設入所者456名が登録され、6ヶ月間にプロテクターは大腿骨頚部骨折を半減させていたが、製品別では骨折抑制を示したのは軟性だけであった。コンプライアンスは両者とも高かった。プロテクター使用支援に係わる介護負担の実態が明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2006-05-23
更新日
-