文献情報
文献番号
200500363A
報告書区分
総括
研究課題名
骨及び関節疾患の診断・治療薬の開発に関する研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
新飯田 俊平(国立長寿医療センター研究所 運動器疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
- 池田 恭治(国立長寿医療センター研究所 運動器疾患研究部)
- 池田 義孝(佐賀大学医学部)
- 林 眞一(鳥取大学医学部)
- 高田 隆(広島大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者の骨・関節疾患の克服に貢献することを目標に、我々が発見した新規の骨吸収因子、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)を標的とした新規の骨吸収抑制剤の開発と潜在的骨粗鬆症患者の早期医療介入を促すための集団検診などに適した簡便な骨吸収マーカーの開発を目的に研究を行った。
研究方法
抗GGTモノクローナル抗体を作製した。この抗体をコラーゲン誘導性関節炎(CIA)マウスに投与し、骨吸収抑制の効果を検討した。生体内でのGGTによる破骨細胞誘導活性を調べるため、rhGGTをラットに投与した実験とGGTを強制発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。
尿GGT測定が骨吸収マーカーとして利用可能かどうか、インフォームドコンセントのもと55歳以上の女性の集団検診(総計551名)において尿GGT検査を実施し、統計処理を行った。骨吸収亢進と尿GGTの上昇の関連を明らかにするため、骨代謝疾患モデル動物(OPG欠損マウス、大理石骨病op/opマウス)を用い、尿GGT値の測定などの比較検討を行った。
尿GGT測定が骨吸収マーカーとして利用可能かどうか、インフォームドコンセントのもと55歳以上の女性の集団検診(総計551名)において尿GGT検査を実施し、統計処理を行った。骨吸収亢進と尿GGTの上昇の関連を明らかにするため、骨代謝疾患モデル動物(OPG欠損マウス、大理石骨病op/opマウス)を用い、尿GGT値の測定などの比較検討を行った。
結果と考察
CIAマウスに対しGGT抗体の腹腔投与を行った結果、炎症関節における破骨細胞の減少と関節破壊の抑制効果が認められた。正常ラット歯肉溝からrhGGTを浸潤させると急激な破骨細胞誘導と歯槽骨破壊が惹起された。GGTの過剰発現Tg-マウスでは骨量減少を示された。以上の結果から、GGTは生体内で骨吸収に作用すること、関節炎では治療の標的となることが示された。一方、集団検診の結果、尿GGT値は既存マーカーDPDと良好な相関があり、GGTのカットオフ値を40 IU/L(Cr補正値)に設定すると感度61%、特異度92%となり、予測値(尿GGT値40以上のとき、骨吸収亢進状態である確率)は68%という値になった。OPG欠損マウスでは骨吸収亢進が起こるが、このマウスでは正常マウスより高い尿GGTが検出された。また、M-CSF欠損性大理石骨病マウスにrhM-CSFを投与して骨吸収を亢進させると、尿GGT値はDPDの値とパラレルに変動することが示された。以上の結果、尿GGTは骨吸収亢進を示すマーカーとして実用化できると考えられた。また、尿GGT上昇のメカニズムはまだ不明であるが、両者の連動性が明らかになった。
結論
1.GGTは関節炎による骨破壊抑制の標的として有効である。
2.尿GGTの測定は骨吸収亢進を反映する。
2.尿GGTの測定は骨吸収亢進を反映する。
公開日・更新日
公開日
2006-04-28
更新日
-