文献情報
文献番号
200500357A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆性疾患の介入予防に関する研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(国立大学法人筑波大学大学院病態制御医学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 山田 達夫(福岡大学医学部)
- 田邉 敬貴(愛媛大学医学部)
- 矢冨 直美(東京都老人総合研究所)
- 白川 修一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
20,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症の予防介入の対費用効果を高めるには、認知症の前駆期にあると判断される人を対象にすべきである。このような考えに立って、予防介入(運動、栄養、睡眠からなる)を実践し、被介入者の認知機能を継続的に測定し、介入の効果を検討する。
研究方法
・茨城、大分、愛媛、東京の4ヶ所でのスクリーニングから認知症の前駆期を診断した
・4ヶ所における認知機能の測定結果から全国的に使用できる判定データを作成した
・前駆期にある者を対象にMRI、SPECTを継続して撮像した
・前駆期の個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行う
・介入群では1年毎に、非介入群では3年毎に認知機能、身体機能などを評価した
・利根町のデータを用いて介入群と非介入群の間で3年後の認知機能変化を比較検討
・この結果から、予防介入の効果(認知症移行率、認知機能評価テスト成績)を検討
・初回調査時のうつ気分に注目して、その存在による認知症発症への寄与を検討
・大分、愛媛、東京のデータを一括して介入効果を検討
・4ヶ所における認知機能の測定結果から全国的に使用できる判定データを作成した
・前駆期にある者を対象にMRI、SPECTを継続して撮像した
・前駆期の個人を中心に運動、栄養、睡眠からなる予防介入を行う
・介入群では1年毎に、非介入群では3年毎に認知機能、身体機能などを評価した
・利根町のデータを用いて介入群と非介入群の間で3年後の認知機能変化を比較検討
・この結果から、予防介入の効果(認知症移行率、認知機能評価テスト成績)を検討
・初回調査時のうつ気分に注目して、その存在による認知症発症への寄与を検討
・大分、愛媛、東京のデータを一括して介入効果を検討
結果と考察
1.介入群と非介入群の比較では、前者で認知症移行率が低いことを明らかにした。
数字の上では介入効果を示す結果が得られたが、確かに有効だと結論するには、さらに厳密に統計学的検討を行う必要がある。
2.認知症ならびに前駆状態(CDR0.5)の発症率を算出し、先行報告と類似の結果を得た。
1年間当りの認知症発症率1.3%であった。知的正常665名から4名(0.6%)、前駆状態(CDR0.5)300名のうち33名(11%)が認知症状態に進んだ。前駆状態から認知症への進展率については3.7%/年だった。
3.最も優れた前駆状態の定義とは何かを検討した。
Single MCI, SMC(±), 1SDが感度31%、特異度82%で最も良い。
4.認知症発症において主観的うつ気分が危険因子であることを明らかにした。
初回に知的正常と診断されてもGDSのcut-off値6点以上の者では、どのMCIの定義に拠っても、認知症発症率は2-3倍高かった。
5.地域在住認知症患者の最初期の画像所見を明らかにしつつある。
前駆状態のさらに前段階に特徴的な帯状回前部における血流低下を指摘した。
数字の上では介入効果を示す結果が得られたが、確かに有効だと結論するには、さらに厳密に統計学的検討を行う必要がある。
2.認知症ならびに前駆状態(CDR0.5)の発症率を算出し、先行報告と類似の結果を得た。
1年間当りの認知症発症率1.3%であった。知的正常665名から4名(0.6%)、前駆状態(CDR0.5)300名のうち33名(11%)が認知症状態に進んだ。前駆状態から認知症への進展率については3.7%/年だった。
3.最も優れた前駆状態の定義とは何かを検討した。
Single MCI, SMC(±), 1SDが感度31%、特異度82%で最も良い。
4.認知症発症において主観的うつ気分が危険因子であることを明らかにした。
初回に知的正常と診断されてもGDSのcut-off値6点以上の者では、どのMCIの定義に拠っても、認知症発症率は2-3倍高かった。
5.地域在住認知症患者の最初期の画像所見を明らかにしつつある。
前駆状態のさらに前段階に特徴的な帯状回前部における血流低下を指摘した。
結論
利根町での結果から、介入の有効性を認めるデータを得た。今後さらに他の3地域の結果と合わせて精緻な統計学的手法により検討する。
公開日・更新日
公開日
2006-04-13
更新日
-